教育情報化最前線

1人1台活用は次のステップへ 1人1台活用を日常化する11の場面

1人1台端末が日常的に活用されている全国の教育委員会、学校の先生方の活用事例から、11のおすすめ場面をご紹介します。

場面1

学習の振り返りをまとめる

学習カードに動画を貼り付け、提出。
自分の努力の積み重ねを残す

梅津 郁也教諭

学校法人聖ドミニコ学院 聖ドミニコ学院小学校

「ここが良くなった」「ここを変えるといいのでは」。
動画は何度でも確認できるから、振り返りが具体的になる

小学5、6年体育では、[発表ノート]で学習カードを作り、動画、写真を貼り付けて振り返りをさせています。

学習カードは、[提出箱]に提出すれば、学級全員で共有できます。これにより「○○さんは上手になったね!」といった気づきが生まれます。加えて、動画なら何度も繰り返し確認できるので、「ここが良くなった」「ここを変えるといいのでは」と、振り返りの内容が具体的になります。体育の実技は、すぐにできるようになる課題ばかりではありません。学習カードで、自分の努力の積み重ねを残せることは、とても有意義なことだと考えています。

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場面2

課題や成果物の提出で評価活動に生かす

成果物を撮影し[発表ノート]で提出。
[添削]機能をアドバイスや評価に生かす

富浜 陽子教諭

兵庫県立姫路東高等学校

生徒の理解度を把握し、コメントを添えて返却。
学習意欲の向上や教師の時間短縮につながる

本校の家庭科では、あらかじめ授業のポイントとなる項目を記載した[発表ノート]を生徒に配付。毎時間の終わりに、その時間の成果物を[カメラ]で撮影させ、提出してもらっています。

生徒が提出した[発表ノート]は、授業後に[添削]機能で閲覧。生徒の理解度を把握するとともに、[スタンプ]を押したり、コメントを書き込んで返却します。生徒一人ひとりにコメントを添えて返却できるので、生徒の学習意欲の向上につながっていると思います。また教師側は、パソコンで効率よく添削できるので、時間短縮になっています。

[発表ノート]の内容は、データとして蓄積されるため、生徒の学習過程や成果の記録にもなります。そのため、ポートフォリオ評価にも活用しています。

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場面3

他者の画面を閲覧し、気づきを促す

児童がまとめたノートをカメラで撮影。
[画面一覧][画面比較]で全体共有

比嘉 邦浩教諭

沖縄県西原町立西原南小学校
(実践時 : 沖縄県西原町立西原東小学校 教諭)

児童の思考を可視化し、効率的に共有。
[画面比較]で解き方を比較し、焦点化させる

小学4年算数「2けたでわるわり算」で、思考の可視化、共有のために1人1台端末を活用しました。

まず、[カメラ]機能で撮影したノートの画面を[画面一覧]機能を使って電子黒板上の教師画面で共有。進捗状況を確認しました。次に[画面比較]で似たような考えを比較し、「140÷30」の解き方について児童の考えを焦点化。余りの出し方について、新たな疑問が生まれ、話し合う児童の姿も見られました。

これまでの授業では、数名分しか考えが書かれたノートを取り上げられませんでした。しかし『SKYMENU Cloud』の[画面比較]を活用することで、今まで以上に思考を可視化し、効率的に共有できるようになりました。また、発表が苦手な児童の考えを取り上げ、全体共有を図りながら他の児童が説明するという「思考の繋ぎ」も行えました。

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場面4

他者の成果物を閲覧し、気づきを得る

前時に立てた予想を[提出箱]で全体共有。
児童が自ら気づきを得る

桑原 有輝教諭

熊本県天草市立河浦小学校

[提出箱]でみんなの予想を閲覧。
実験、観察を前に、ねらいや意図を確認する

小学6年理科「植物の成長と水の関わり」では、根や茎および葉には、水の通り道があり、根から吸い上げられた水は主に葉から蒸散により排出されることを学習します。「葉をつけたままのホウセンカ」と「葉を取り除いたホウセンカ」にビニール袋を被せて時間を置いた場合、ビニール袋の様子はどのようになるのか。前時は、児童に実験結果を予想させ、[発表ノート]にまとめて提出させました。

次の時間は、学級全体で予想を共有するところからスタートしました。[提出箱]の設定を変えて、児童たちが[提出箱]を自由に閲覧できるようにすると、興味深そうにほかの児童の予想を閲覧していました。個で予想を確認した後は、教室前方のスクリーンに児童の予想をいくつか映し出して、学級全体で共有しました。

GIGAスクール構想以前と比べ、前時の学習を振り返ること、そして本時の実験、観察の目的をより分かりやすく、より効率的に確認できるようになったと感じています。

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場面5

グループワークで相互評価を行う

班で[グループワーク]し、作品を鑑賞。
コメントを送り合う

久保田 智子教諭

神戸市立若草小学校

紙の鑑賞カードでは、十分に書ききれなかった児童も、端末での文字入力では、積極的に取り組めた

小学5年図画工作「言葉から思いを広げて~銀河鉄道の夜」で、互いの作品画像を貼り付けた[発表ノート]を[グループワーク]機能で共有し、コメントを送り合いました(2021年6月実施)。

友達へのコメントは、黄色の[付箋]を使うように指示。写真だけでわかりづらい時は、再度実物を観に行き、友達が表したかったことをくみ取りながら、コメントを入力していました。図工室は静まりかえり、文字を打ち込む音だけが響いていました。

これまでの鑑賞の時間では、「しゃべらずに、静かに観よう。一か所に集まらずに観よう」などと余計な指示を出していたように思います。紙の鑑賞カードでは、十分に書ききれなかった児童が、端末での文字入力では積極的に取り組むことや、席の離れた友達の作品や思いを知ることもできました。

また、児童にとって[発表ノート]の操作は簡単であり、時短になっていました。コメントをじっくりと考え、入力するゆとりが生まれていました。[グループワーク]終了後、児童は友達からのコメントをうれしそうに読み、「ありがとう!」と声に出している児童もいました。2022年12月現在では、コメントの質が高まり、もっとたくさん書けるようになっています。

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場面6

考えや意見を可視化して、見取りに生かす

教員、児童がお互いの立ち位置や
考えを見合い、話し合う

潮田 皓一教諭

北九州市立北方小学校
(実践時:北九州市立門司海青小学校 教諭)

自分の考えに自信を持ち、共感し合う。授業に参加する意欲が高まる

小学6年道徳「手品師」で、[ポジショニング]機能を活用しました。本題材は教材を通して、誠実に生きるとは、どんな気持ちや行動が大切なのかを考える学習です。売れない手品師が「夢である大劇場への出演」と「小さな男の子との約束」とで葛藤する場面では、子どもたちが手品師になったつもりで[ポジショニング]。心の揺れ動きを可視化しました。

どこに自分の気持ちがあるかをマーカで示すだけでなく、コメントに理由も明記することで子ども同士が考えを共有し合い、タブレット内での対話活動を広げることができました。

また理由を含め、友達の考えを発表せずにじっくりと見合えたことで、自分の考えに自信をもったり、友達と共感し合ったりすることができ、子どもたちの授業に参加する意欲がより高まったと思います。

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場面7

学校へ登校できない児童生徒への支援を行う

ボタン一つでオンライン授業開始。
[発表ノート]を活用し双方向で

臼井 英成指導室長

茨城県那珂市教育委員会 学校教育課指導室

中庭 一俊指導主事

茨城県那珂市教育委員会 学校教育課指導室

「オンラインで授業ができるようになった」と答えた先生が小学校で88%、中学校で79%に

当市において新型コロナウイルス感染症による臨時休業時に有効だったのが、Web会議システム「Zoom」と連携した『SKYMENU Cloud』の[ミーティング]機能です。これは、タブレット端末の活用が広がるきっかけとなった機能です。

この機能の活用方法は、学校現場の先生方が見つけてくれました。先生が参加者を選択して開始をクリックすると、子どもたちはほぼワンクリックでオンライン授業に参加できます。先生方は、オンライン授業に大変苦労していたため、すぐにこの機能を各学校と共有しました。子どもたちはWeb会議システムで先生の話を聞きながら、[発表ノート]などの画面で作業するといったように、画面を上手に切り替えてオンライン授業に参加しています。

事後、教育委員会から市内小中学校を対象に、オンライン授業に関するアンケートを実施したところ「『SKYMENU Cloud』やWeb会議システムを使ってオンライン授業ができるようになった」と答えた教員は、小学校で88%、中学校で79%に上りました。

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場面8

日常的に情報活用能力を育む活動を取り入れる

[シンプルプレゼン]で
毎日の2分間日直スピーチ

守屋 一将教諭

学校法人聖ドミニコ学院 聖ドミニコ学院小学校

「資料に何を載せるべきか」「資料にないことを自分の言葉でどう補足して伝えるか」。子どもが考えるように

本校の6年生は、毎日の日直の2分間スピーチで[シンプルプレゼン]を活用しています。昨年(5年生時)に、ある日直の子が「スピーチで[発表ノート]を使ってもいいですか?」と聞いてきたのがきっかけでした。そのスピーチの出来がとても良く、それ以降はどの子も[発表ノート]に内容をまとめてスピーチするようになりました。

6年生では、さらなるステップアップとして「自分の言葉で話す」ことに取り組ませたいと考えました。そこで[発表ノート]から、記載できる画像の点数や文字数が制限される[シンプルプレゼン]に切り替えて実施しています。制限のレベルは子どもたちに任せていますが、あえて上級の制限を設定し、「難しい」と言いながらも頑張って発表する子もいます。

[シンプルプレゼン]によって、「資料に何を載せるべきか」、また「資料にないことを自分の言葉でどう補足して伝えるか」を子どもが考えるようになってきています。

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場面9

健康観察や出欠確認を行う

[出欠ノート]で、生徒の健康観察情報を共有。
朝の業務を改善

大村 斎人教頭

愛知県豊田市立上郷中学校

始業前までに、全生徒の出欠状況、健康状態を把握。入力情報の並べ替えで欠席理由の傾向もつかめる

生徒の出欠状況や健康状態をより素早く、より効率的に把握するために、本校では[出欠ノート]機能と[健康観察]機能の活用を始めています。

朝、保護者からの電話連絡を受けた教職員は、[出欠ノート]を開き、出欠状況と欠席理由など担任への連絡事項を入力します。一方で生徒は、毎朝[健康観察]から体温と合わせて「体がだるい」「腹痛」などの体調に関する選択肢にチェックを入れています。入力された内容は[出欠ノート]へ反映、集約されるので、授業前にすべての教員が一覧で状況を共有、確認できるようになりました。多くの教員から「便利になった」という声が上がっています。

さらに[出欠ノート]は、「欠席」や「体温」など必要な情報ごとに並べ替えができるのがメリットです。「欠席」を選んで並べ替えると、1つのクラスで何人欠席しているのかが、ひと目で確認でき、欠席の多いクラスがすぐに分かります。これにより学校全体で生徒の健康状態や欠席理由の傾向を把握できます。

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場面10

連絡帳をデジタル化し、連絡漏れを防ぐ

連絡帳をデジタル化。
連絡事項が明確に伝わり、教員、保護者から好評

佐々木 健視教諭

学校法人成田山教育財団 成田高等学校付属小学校

保護者:子どもの書き忘れや書き間違いがなくて良い
教 員:伝え漏れがあっても、[電子連絡板]で連絡できる

本校では[電子連絡板]を使い、これまでの学校と児童、保護者との連絡手段であった「連絡帳」をデジタル化。情報共有の効率化をきっかけに、1人1台端末の活用が日常化しています。

保護者からは「子どもの書き忘れや書き間違いがなくて良い」「宿題の有無が正しく分かる」といった肯定的な反応があり、教員からも「保護者にお願いしたい事が正確に伝わるようになった」「伝え漏れがあっても、[電子連絡板]で連絡できる」と好評です。

また[電子連絡板]による連絡帳のデジタル化は、教務主任の業務に大きなメリットがありました。それは全学級の連絡内容を確認できるという点です。教務主任は手元の端末から、全学級の連絡板を閲覧し、伝達漏れの有無、宿題の量などを確認。必要に応じて学級担任にアドバイスをしています。これは紙の連絡帳では実現できないデジタルならではメリットです。

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場面11

職員室から各教室への連絡をデジタル化する

朝はすぐに教室へ。
[電子連絡板]で情報を確認、共有

伴野 美布教諭

愛知県日進市立竹の山小学校

池之野 博美教諭

愛知県日進市立竹の山小学校

教員が各自の端末で見られる[電子連絡板]なら、いつでも教室で必要な情報を確認できる

本校では以前、8時20分に職員室で連絡事項の確認や打ち合わせを行っていました。しかし、ゆとりをもって子どもたちに接することができるように、朝の打ち合わせの代わりに[電子連絡板]を活用することになりました。教員が各自の端末で見られる[電子連絡板]なら、教室にいても内容を確認できるというメリットがあります。

本校では、教職員専用として「職員連絡板」と「本日の欠席」という2つの連絡板を用意しています。これらは教職員なら誰でも書き込めるので、各自が周知したいことを記載しています。先々の日付の内容も書き込めるので、連絡事項ができた時点であらかじめ書き込んでおけるのも利点です。何よりも、朝の決まった時間に職員室に集まらなくなったので、以前よりも子どもたちと関わる時間にゆとりができました。

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(2023年3月公開)