実践レポート
小学校6年 道徳児童1人1台の活用1人1台 × SKYMENU Cloud

児童の心の動きを可視化し、対話活動を広げる

教材名:手品師
潮田 皓一 北九州市門司海青小学校 教諭

潮田 皓一教諭

北九州市立北方小学校
(実践時:北九州市立門司海青小学校 教諭)

本時のねらい

大劇場のステージに立てるチャンスを断り、男の子との約束を守った手品師の誠実さに触れることで、どのような状況にあっても、常に誠実に行動し、明るい生活をしようとする心情を育てる。

授業の実際

教材を通して、誠実に生きるとは、どんな気持ちや行動が大切なのかを考える学習である。その中で、子どもたちの心の揺れ動きから、より道徳的価値に近づくようにする。売れない手品師が「夢である大劇場への出演」と「小さな男の子との約束」とで葛藤する場面を、子どもたちが手品師になったつもりで[ポジショニング]機能を使って心の揺れ動きを可視化できるようにした。どこに自分の気持ちがあるかを置くだけでなく、理由も明記することで子ども同士が考えを共有し合い、タブレット内での対話活動を広げることができた。授業の終末での振り返りも[発表ノート]を使って記入し、提出させた。その際に、振り返り記入後の交流を[発表ノート]にある[グループワーク]機能を使って、感想を交流した。

SKYMENU Cloud活用のポイント (効果と児童生徒の反応)

1手品師になったつもりで悩み、その心の揺れ動きを可視化する

ポジショニング

▲ [ポジショニング]で、友達の立ち位置と理由を確認する

「夢である大劇場への出演」と「小さな男の子との約束」のどちらに行くか手品師が迷う場面で、子どもたちが手品師だったらどうするかを[ポジショニング]で表した。子どもたちも手品師になったつもりで考えたため、真ん中にポジショニングする児童もいた。多く の児童が「男の子との約束」を選択していたが、理由の欄には「大劇場には行きたいけれど…」と迷っている文言が少なくなかった。理由を含め友達の考えを発表せずに見合えることで、自分の考えに自信をもったり、友達と共感し合ったりして、より授業に参加する意欲を高めたように感じた。

2「誠実に生きる」ことについて、考えを広げ深める

発表ノート、配付

▲ 対話の前に、[発表ノート]に考えをまとめる

授業の終盤に、「誠実に生きる」とはどんな気持ちや行動が大切なのかを振り返った。まず、自分の考えをまとめるために[発表ノート]で振り返りのフォーマットを[配付]し、記入できるようにした。クラス全体で考えてきた「誠実に生きる」という考え方に対して自分はどう思うのか、自己にプラスする時間を意図的に作った。また、その後の主体的・対話的で深い学びに繋げるために、自分の考えに友達との対話を通して自分の考えが広がったり、深まったりするためには自分の考えをもって臨むことが重要であると考える。そこで[発表ノート]を活用して、自己との対話を活性化できるようにした。

3自分の考えを広げ、深める
タブレットでの対話活動

発表ノート、グループワーク

▲ [グループワーク]で学級全体の振り返りを共有

2の振り返りを[発表ノート]内で交流し、考えを広げたり深めたりできるようにしたいと考えた。そこで、[グループワーク]機能を使って学級全体で1つのグループを作り、お互いの「誠実に生きる」ことについての振り返りを見合えるようにした。友達の考えを見ることができることで、自分の考えに自信をもったり、自己肯定感を高めたりすることに繋げることができたと考える。そして、[発表ノート]で提出された考えを印刷し、道徳ノートに貼って学びの足跡とすることができた。

こんな場面で使える!実践を振り返って

[ポジショニング]は、どの考えも人それぞれで大切だと考えさせる場面に効果的に活用できる機能だ。一つ前の道徳の学習で「ロレンゾの友達」という話があり、そこでも「3人の友達の、誰の考えに一番自分は近いか」を[ポジショニング]で表し、子どもたちの話し合う考え方の基として授業に取り入れることができた。[発表ノート]は、子どもたちの考えを一括で把握することに長けている機能だ。社会では資料からの気づき、国語では感想など、子どもたちがどう考えているかをひと目で確認できる。また、グループ化できることで、自由に友達と考えを共有できることが大きなメリットだ。コロナ禍ということもあり、友達との交流が制限される中で、自分の考えを広げたり深めたりすることに大いに役立っている。

(2022年4月掲載)