教育情報化最前線

教科の枠を越えた教え合いがICT活用推進の鍵

畑 智貴教諭

大阪府高槻市立五領中学校

学年担当で協力し、動画教材を自作

本校のすべての普通教室に、電子黒板機能付きのプロジェクタと無線LAN環境が整っています。職員室から普通教室にタブレット端末を持っていけば、すぐに授業で利用できる手軽さが、日常的なICT活用を支えてくれています。

数学科の「2次方程式」の単元では、デジタル教科書を大きく提示しながら「解の公式」の求め方を確かめました。生徒たちが「解の公式」を覚えやすいように、あらかじめ作成しておいた動画教材を提示しました。動画は、覚えにくい公式を歌に乗せて覚えてもらうことを意図して作成しました。生徒たちは、身近な教員が登場する動画教材を、興味を持って見てくれます。本時も動画にあわせて歌を口ずさんでいました。

教科の枠を越えて教え合える職員室

「解の公式」の動画は、前日から学年の教員で話し合って考え、当日の朝に[カメラ]を使って撮影しました。本校では、このような動画教材の自作は普及してきており、先生方はためらうことなくさまざまな動画教材を作成して活用しています。「今日は動画ないの?」という生徒もいて、楽しみにしてくれているようです。

このような活用が進んだのは、教科の枠を越えて活用方法を教え合う職員室の雰囲気にあると思います。担当教科外の内容に踏み込んだアドバイスは難しいですが、授業でどのようにタブレット端末や『SKYMENU Class』の機能が活用できるのか、という観点で気軽に情報交換を行っています。

ICTに頼り過ぎず、授業力を磨く

ICTは視覚支援に高い効果があり、生徒の顔が上がります。生徒が興味関心を持てる授業の実現に向けて役立てていきたいと考えています。特に本校は、今後の学習指導要領改訂に先駆けて英語科の授業をAll Englishで実施しています。ICTによる視覚支援の効果が大きく、今後の英語科の指導に欠かせなくなると考えています。

しかしながら、何でもICTで[投影]すればよいというわけではありません。ICT活用が日常化し、浸透してきた今だからこそ、本当に効果的なタイミングで教材を提示できているのかを見直す必要があると思います。今はまだ、目新しさで生徒の顔が上がっている部分もあると思います。しかし、慣れてしまえばその効果も薄くなります。タブレット端末は非常に便利なツールですが、機器の効果に頼り過ぎることがないよう、自身の授業力を磨きたいと思います。

(2016年7月取材 / 2016年10月掲載)