教育情報化最前線

「自分の考えを伝えたい」 ノートの拡大提示で児童の意欲高まる

片山 美津江首席

大阪府高槻市立五領小学校

播村 順平教諭

大阪府高槻市立五領小学校

児童のノートを投影し、考えを共有

本校の先生方は、朝、職員室の保管庫からタブレット端末を取り出して、教室に移動しています。移動の際は、端末ケースに肩紐が付いているので持ち運びに便利です。各普通教室には、大型テレビと無線LAN環境が整っており、デジタル教科書を投影して説明したり、ノートやワークシートを[カメラ]で撮影して投影したりしながら紹介するという使い方が定着しています。

6年算数「円の面積」の授業では、複雑な図形の面積を、既習事項を使って工夫して求めました。児童がノートにまとめた多様な考え方を[カメラ]で撮影し、大型テレビに投影。児童には[マーキング]で書き込みながら発表させました。机間指導しながら、多くの児童のノートを撮影できるので、大型テレビに次々と投影して、さまざまな考え方を共有できました。児童に、より深く考えさせられたと思います。以前は、児童が前に出てきて黒板などに自分の考えを書いたりする時間が必要でした。同じ45分では、本時のように多くの考え方を共有することは出来なかったと思います。

児童が“伝える”ことを意識する

児童は、自分のノートが投影されて紹介されることを、うれしく感じています。自分の「考えを伝えたい」という気持ちが高まり、いつ紹介されてもいいようにノートを色分けしてまとめたり、情報を整理して書いたりする児童が増えました。相手にわかりやすく説明したり、考えたりする力が身につくとともに、友だちの発表をきちんと聞こうとする姿が見られるようになりました。

視覚支援や教材作成の負担軽減に

[カメラ]や[マーキング]を使って資料を提示するといった活用は校内で浸透してきています。先生の話を聞いて想像することが難しい児童にとって有効な視覚支援になっています。

また、教員の教材準備の負担軽減にもつながっています。[マーキング]で書き込んだ内容は保存できるので、次時の振り返りに活用しています。授業だけでなく保護者会での説明資料の提示や授業参観時に校内を案内するサイネージとしての活用も広がっています。

ICTは道具なので、あくまで授業を補助するツールだと考えています。視覚支援の手段としてノートなどを共有し、児童の意欲向上や効率的な授業展開に役立てたいと思います。

(2016年7月取材 / 2016年10月掲載)