学習指導要領 / 教育の情報化
新機能[マインドシート]活用のポイント

子ども一人ひとりが「学びに向かう力」を発揮し、
共に高め合う授業へ

GIGAスクール構想第2期を迎え、学習指導要領の改訂に向けた議論が進むなか、「学びに向かう力、人間性等」の再整理が進んでいます。村井 万寿夫 北陸学院大学 教授は、子どもたち一人ひとりが初発の思考を持ち、他者との対話や協働を通じて学びに向かう力を伸ばす授業改善に『SKYMENU Cloud』の[マインドシート]が役立てられると話されます。本機能の特長や活用のポイントを解説いただきました。

村井 万寿夫

北陸学院大学 教授

初発の思考や行動が、「主体的・対話的で深い学び」の実装につながる

GIGAスクール構想第2期で全国的にデジタル学習基盤の整備が進み、各校のICTの活用率が高まっています。先生がツールの使い方に慣れてきた今、児童生徒への教材提示といった「教具としての活用」だけでなく、「子どもたちの学習ツール」としての視点を持ち、学びの質を上げることをめざしていく必要があります。文部科学省が2025年に示した「教育課程企画特別部会論点整理」(以下、論点整理)でも、「『個別最適な学びと協働的な学び』という学習形態のみが強調され、『主体的・対話的で深い学び』につながっていない例があるとの指摘がある」と、学習内容を重視する必要性が述べられています。

もう一つ着目したいのが、「学びに向かう力、人間性等」の再整理です。論点整理では図1のように、「初発の思考や行動を起こす力・好奇心」と、「学びの主体的な調整」「他者との対話や協働」の往還を通じ、粘り強く継続的に思考・行動する経験が繰り返され、「学びに向かう力、人間性等」が育まれる、とあります。子どもたちがまず自分の考えを持ち、それを基にグループ学習やクラス全体の学習で深めていくイメージです。こうした授業改善は、『SKYMENU Cloud』の新機能[マインドシート]を使えば、より取り組みやすくなると考えています図2

図1
文部科学省(2025)教育課程企画特別部会論点整理
https://www.mext.go.jp/content/20260129-mxt_kyoiku01-000045057_01.pdf
図2[マインドシート]の特長

初発の思考が促され、子どもたちが授業に参加するきっかけに

「SKYMENU Teacher’s Community Site」に投稿された全国の先生方の実践を拝見し、[マインドシート]は思考や考えに焦点化したツールとして、図3に示した5つの特長があると考えました。

図3

まずは何より、子どもたちが思いつきやつぶやきといった「初発の思考」を出しやすくなると思います。それを支えているのが、テーマとカードの2つだけというシンプルさです。先生がみんなで考える問いをテーマとして配置し、子どもたちはそれに対する考えを書き、線でつなげる。カードが小さいため、一言書くだけでよいのもポイントです。

例えば、大阪市立中泉尾小学校の橘 瑛子教諭は、小学5年家庭科「暖かい住まい方で快適に」の授業で[マインドシート]を活用されています。「暖かい住まい方を快適にするにはどのような方法や工夫があるか」という問いを設定し、グループごとに1枚の[マインドシート]を作成してカードに意見を入力させました。その後、どんな種類で分けるかを考えさせ、線で結び、まとめさせています。[マインドシート]を使うのは初めてながらも、慣れた様子でまとめることができていたそうです。子どもたちが初発の思考を持ち、広げられた良い活用例だと思います。図4

図4「暖かい住まい方」から思いつく言葉をカードに書き、考えを広げた[マインドシート]

授業で問いを提示して数人しか手が挙がらなかったとき、「何でも思ったことを言ってみて」と先生は言いますよね。しかし、子どもたちはみんなの前で勇気が出なかったり、その教科に苦手意識があったり、この時間は聞き手に専念しようと思っていたりするかもしれません。[マインドシート]を使えば、気軽に、まず一言から考えを書き、そこから学習をスタートできます。手を挙げた / 挙げていないという差が出ず、みんなが授業の最初から参加できるでしょう。[気づきメモ]でも思いつきやつぶやきを入力し、共有することは可能である一方、[気づきメモ]ではタイムライン上でみんなの考えが流れていきますが、[マインドシート]の場合は全体で俯瞰できる、という違いがあると思います。

枠や型にはめない柔軟性が、子どもの考えを広げる

[マインドシート]のワークスペースは通常の[発表ノート]の縦横比約10倍にまで広がるので、たくさん書きたいときは子ども自身で広げ、思考を拡散できます。大阪市立天王寺小学校の荒木 聖教諭は、[マインドシート]を使うことで枠にはめず、一人ひとりの物語の読みを大切にする授業を展開されています。

小学3年国語「ゆうすげ村の小さな旅館」の授業で、「美月さんがうさぎだとわかる、しかけを見つけよう」という学習課題を設定。文中から見つけた言葉や出来事、また、さらにそれがうさぎであると分かるしかけにどう関係しているかを書かせました。図5

図5教科書本文を読み、見つけた言葉や出来事を書き出し、線でつなげた[マインドシート]

「しかけ」というキーワードを課題に入れることで探す意識が強まり、どの児童もとても意欲的になる。それが主体的な学びにつながっていきます。もしこの活動を紙や[発表ノート]で行う場合、先生は前もって枠組み(表)を用意するでしょう。そして児童はそこに書き込んでいくことになる。そうすると、1つや2つではどうしてもだめで、枠組み(表)を埋めないといけないという意識になってしまいます。それでは、「どれ?」という考え方をさせられなくなる上、人と比べたり、競ったりする意識を持ってしまうかもしれません。

[マインドシート]は型や枠がないところから始まるので、児童の意識や読みに合わせて任意にカード化でき、非常に自由度が高いです。こうした学びはまさに「個別最適」といえます。荒木先生の授業でも、1つ見つけた子、すべてのしかけに気づいた子など、さまざまな児童がいたことでしょう。それぞれが児童にとってのその時間に得られた学びであり、一人ひとりの「学びに向かう力」につながっていくと思います。[マインドシート]は、比べず、競わず、児童一人ひとりの「思考を促す」ことに役立つツールといえます。

また本時では、[マインドシート]に加えて[ライブ公開提出箱]も活用し、互いの気づきや考えを参考にできる環境を作られていました。授業を通じ、荒木先生は「子どもたち同士の『自然なフォロー』が生まれていた」と受け止められていました。

[マインドシート]を自由に拡縮し、アップとルーズの視点で考える

ピンチイン・ピンチアウトで簡単に拡大・縮小できるので、アップやルーズという「見る視点」を児童が自分で決められるという特長もあります。書き表した考えや気づきを俯瞰するという活用を実践しているのが、大阪市立今里小学校の梶野 るい教諭の授業です。小学3年国語「漢字の組み立てと意味」で、[マインドシート]を活用して既習の漢字を拡散、分類・整理する学習を展開されています。

[グループワーク]を使い、クラス全員が同じシート上で活動します。まずは個人で教科書・漢字ドリル・端末内のデジタル辞書の3つをヒントにしながら、既習の漢字を部首ごとにどんどん記入させました。きっと子どもたちは書き込みたい部首の部分を拡大したり、部首ごとにどれくらい漢字が集まっているかを見るために縮小したりと、視点を自分で変えながら意欲的に活動していたことでしょう。写真

写真画面を拡大・縮小し、自分が書いた漢字や友達が記入した漢字を確認する児童

もちろん、ほかの先生やクラスの子から見たらほかの漢字がもっと出てくるかもしれないけれど、同じ時間内で考えを出し合った、書き込み合った子どもたちによる学習が、この[マインドシート]に凝縮されています。

梶野先生の実践レポートはこちら

「案出し」から「分類・整理、まとめ」までスムーズに行える

梶野先生は個人で漢字をたくさん出させた後、グループごとに担当の部首の中でさらに漢字を仲間分けさせました。子どもたちは、「にょう」の中からさらに「しんにょう」「そうにょう」に分けるなど、3年生なりに分類・整理しました。[マインドシート]には、思考をつなげ、広げるだけではなく、自由にグループを作ったり、それを塊で移動したりといった、分類・整理をスムーズに行える機能が備わっています。

現場の先生方に[マインドシート]について尋ねると、分類・整理については中学年や高学年から意識していくのがよいという声が多く聞かれました。確かに、高学年になるとより発展的な活用も可能です。大阪府大東市立四条小学校(実践時:大東市立住道南小学校)の坂井 亮人首席は、小学6年理科「発電と電気の利用」の「新商品開発プロジェクト」の活動の中で、各班の案出しの際に[マインドシート]を活用されました。

各班の[マインドシート]を見ると、マッピングだけを行った班、グループ化だけを行った班、図6のように、考えを広げた後にグループ化した班など、多様なまとめ方をしていました。グループ化の際の視点に関しては全体で共有し、ときに各班に声をかけながら進められたそうです。作成した[マインドシート]が、最終の成果物につながった班もあったといいます。

図6新商品開発の案出しに活用。既習の学びがつながり、子どもたちのアイデアが広がった[マインドシート]

福岡県朝倉郡筑前町立中牟田小学校(実践時:筑前町立三輪小学校)の井上 倫子教諭も、小学6年理科で活用されました。「かけがえのない地球環境」の学習のまとめで[マインドシート]を使い、思考を精緻化させる実践を展開。シートの中心に「地球を守る」という言葉だけを記述し、あえて枠組みを固定せず、子どもたちの自由な思考の拡散とその後の収束がどのように起こるかを見守られました。グループ化しながらそれぞれの環境問題が関わり合っていることに気づいたり、自分たちの生活に結びつけてできることをまとめながら地球温暖化を深掘りしたりと、子どもたちなりの視点で「つながり」や「解決策」を意識できており、素晴らしいです。「自由な思考の拡散」と「キーワードを線でつなぎつつ、グループ化も適宜入れながら整理する」という[マインドシート]の良さを具現化した事例といえるのではないでしょうか。図7

図7「地球を守る」というテーマから既習の内容を結びつけ、対策や原因などに分類してグループ化した[マインドシート]

個の思考の深まりによって、集団の学習が前進する

ここまで、先生方の授業を例に、[マインドシート]の特長を伝えてきました。柔軟かつシンプルな操作性によって一人ひとりの初発の思考が促され、どんどん考えが増えていく。それらをみんなで共有したり書き込んだり、分類・整理したりする。こうして[マインドシート]が「みんなで学ぶ足場」となり、そこから「集団性」という特長も見えてきました。

次期学習指導要領に向けた検討の基盤となる基本的な考え方の一つに、「多様性の包摂」があります。論点整理では、どの学校でも多様な個性や特性を有する子どもが在籍している実態を踏まえ、多様性を包摂し、一人ひとりの意欲を高め、可能性を開花させる教育の実現が喫緊の課題であると述べられています。

これらを踏まえ、先生たちには今一度、集団の中で子どもたちが生き、力を伸ばすことを大切にしてほしいと考えています。ラグビーの精神で知られる「One for all, All for one」をイメージしてください。個の思考の深まりによって集団の学習が前進する場合もありますし、集団の中で個の学びに向かう力が向上することもあるでしょう。[マインドシート]で例えれば、一人ひとりが考えを書き、同じ画面の中でお互いに増えていって、だんだんと深い学びになっていきます。端末を活用した学習は、見た目は個別のイメージがありますが、[マインドシート]以外にも[ライブ公開提出箱]を使ったり、大型提示装置に映してみんなで教材を見たりすることを通じて、集団力をもっと上げてほしい。そうすれば、リモートが当たり前となったこの時代に、みんなで学校に集まって学ぶ意義を、子どもたち自身もしっかりと意識できるのではないでしょうか。

村井 万寿夫 北陸学院大学 教授

「主体的・対話的で深い学び」の実装は、自分の考えを持つことから始まります。

教師による導きや支えが、子どもを後押しする

授業の初めに問いかけたとき、子どもたち全員が手を挙げるのが理想ですが、それはなかなか難しいことです。しかし、分からない子はできる子の答えを聞くだけ、できる子に教わってノートに書くだけでは、主体的な学びにはつながりません。やはり、「主体的・対話的で深い学び」の実装は、自分の考えを持てるところから始まります。授業を振り返ったとき、全体としては順調に進んでいても、時間内で子どもたち一人ひとりに学びがあったといえるでしょうか。

毎時間は難しいかもしれませんが、この時間ではできる限り自分の考えを持ってほしいという場合、[マインドシート]を使ってみてください。問いをテーマとして配置し、「思うことを書いてみて」と伝えてください。

そしてこのとき重要になるのが、教師による導きや支えです。自分の考えを書くときには、小さな勇気や決断が必要です。子どもたちの近くに行って、一つでも書いていたら「すごいね」と声をかけましょう。もし書けていない子がいれば、「何か思っていることはない?」と寄り添ってください。子どもたちのそばでそっと背中を押してあげる、それだけで自信を持って考えを書けるようになるはずです。

デジタル学習基盤が整備され、生成AIといったこれまでにないどんなに便利な道具が教室に入ってきたとしても、私たち教師の役割は決して変わりません。ぜひ[マインドシート]を取り入れ、子どもたち一人ひとりが「学びに向かう力」を発揮し、共に高め合う授業をめざして取り組んでみてほしいと思います。

(2026年4月取材 / 2026年7月掲載)