研究会・セミナー

全国教育工学研究協議会全国大会 JAET2011丹波大会

「普段使いのICT活用」をテーマに授業を多数公開

公開授業では、丹波市内の6つの小・中・高等学校で36の授業が公開されました。

公開授業校の1つ、丹波市立前山小学校では、氷上情報教育研究会の先生方が「授業づくり」「情報モラル」「体育教育」の3つをテーマに、授業を公開されました。丹波市では、昭和58年から研究会を中心に、情報教育の推進に取り組み、実践を積み重ねておられます。ICTが前面に出る授業ではなく、ICTを効果的に活用することを通して、子どもたちはどのように変わったのか。教師は、どんな学力を子どもたちに保障したのか。常に子どもたちの学びに焦点を当てた情報教育の取組を行われてきました。

近年では、各教科に示された情報活用能力を身につけさせるための授業デザインのあり方を考えるとともに、ICTを活用した「わかる・できる・のびる授業づくり」や情報モラル教育に積極的に取り組まれています。

電子黒板の前に集まり、技のポイントを話し合う5年体育「跳び箱運動~首はね跳びをしよう~(授業者:大槻武志教諭)」では、子どもたちがグループで教え合い、練習方法を考えながら「首はね跳び」を完成させていく授業が展開されました。

体育館には、電子黒板が設置され、首はね跳びのポイントなどがわかる教員自作の教材「デジタル体育指導書」を常に提示。子どもたちがいつでもお手本演技の動画を確認できる環境を作られていました。子どもたちが必要に応じて教材を閲覧し、技のポイントや練習の方法を話し合う姿が見られました。

「普段使い」から「最先端」のICT活用まで

分科会の様子分科会では、「授業におけるICT活用」「学習コンテンツ等教材開発」「情報モラル・セキュリティ」など10のテーマに分かれ、83の研究論文が発表されました。普段の授業におけるICT活用の効果から、フューチャースクール実証校における児童1人1台のタブレットPCの活用効果といった先進的な実践の研究報告も行われていました。

また、「ICTを活用した効果的な授業づくり」「情報活用能力の確かな育成」など5つのテーマで9つのワークショップも行われました。

ワークショップの様子『ICTを活用した効果的な授業づくり「電子黒板を利用した授業づくり(座長:岩崎有朋・鳥取県教育センター研修指導主事)」』では、わかる授業づくりのために、電子黒板で利用できる効果的な教材とその活用法について、参加者が実際に教材を体験し、検討するワークショップが展開されました。

確かな学びを保証する指導と評価

基調講演では、「子どもたちの確かな学びを保障する指導と評価」と題して梶山正司・文部科学省初等中等教育局教育課程企画室長が登壇。

新学習指導要領では、児童生徒の思考力・判断力・表現力等を育む観点から言語活動の充実が求められていること。さらに、各教科において言語活動を充実させることを通して児童生徒の資質・能力を向上させるプロセスにおける「学習評価」が重要と指摘されました。

『「わかった・できた・のびた」と実感できる授業づくり-明日からの授業にさりげなく活躍するICT-』をテーマに行われたパネルディスカッションでは、堀田龍也・玉川大学教職大学院教授、野中陽一・横浜国立大学准教授、木原俊行・大阪教育大学教授、加藤明・兵庫教育大学大学院教授、岸田隆博・丹波市教育委員会教育部長が登壇。

子どもが「わかった」「できた」「のびた」と実感し、勉強を面白いと感じる、当たり前の授業サイクルを生む授業づくりと、そのためのICT活用のあり方について議論が交わされました。

パネルディスカッション:「わかった・できた・のびた」と実感できる授業づくり

(2011年12月掲載)