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- 広島県竹原市立東野小学校
「チーム東野」で取り組む
本校は、学級数7学級(普通学級5学級、特別支援学級2学級)、全校児童43名の小規模校です。普通学級のうち3、4年生は16名の複式学級です。各教室に電子黒板があり、タブレット端末は教員機2台と児童機16台が整備され、1学級が一人一台使用できる環境があります。
本校が大切にしている考えは、全教育活動を「チーム東野」で行うことです。校長のリーダーシップの下、教職員が一丸となって教育活動を行い、「全児童を全教職員で育てる」ことをモットーにしています。それは、ICT教育も例外ではありません。ICT教育推進リーダーだけが、得意な先生だけが進めていくのではなく、どの教員も活用できるようにすることを大切にしています。今では、どの学級でも実践事例があるほど活用が進んでいます。
どの教員も活用できるようにするために
1. 研修の充実
学校全体がICTの活用をすすめていくためには、タブレット端末にどのような機能があり、どれがどのような場面で活用できるのかということを全ての教員に知ってもらい、自分の担当の学年のどの教科で活用できるかということを考える機会を設けなければなりません。その機会を作り出すのがICT担当の役目だと考えます。そこで、長期休業時に研修の時間を設定し、実際にタブレット端末に触れてもらいながら、その可能性をさぐる時間を設けました。
そこで、以下の実践事例をもとに、模擬授業を行いました。
3年生「図画工作科」友達の作品の鑑賞をしよう
図画工作科で作品ができあがれば、毎回のように鑑賞を行います。従来は、友達の作品を見ながらよさやアドバイスを発表したり、ワークシートに感想を書いたり、付箋紙に書いて作品に貼ったりしておこなってきました。しかし、言葉は残らないので振り返る時に、言われたことを忘れたり、ワークシートだと、友達が書いたものを知りたいと思ったら、伝え合う時間を別でとらなければならなかったり、付箋紙では思いが十分に伝えきれなかったりすることもあります。そこで、「相互評価」の機能を使うことで、この課題を解決できると考え、鑑賞の授業を行いました。
この機能は、付箋に書ける文字が決まっており、短い言葉で自分の思いを伝えることになります。また、言葉が短いので、詳しく聞くための対話が児童相互で生まれます。自分の作品に対して書いてくれたことをすぐに読むことができるのもよさです。そして、書いている途中で他の児童がどんなことを書いているのかを見ることができ、なかなか書くことができない児童がどのように書いたらよいかと参考になります。さらに、記録にも残るので、教師が評価する際にも活用できます。
この流れと同じように実際に他の教員に使ってもらいながら研修をしていきます。そして、他にどんな時に活用できるかについても研修の中で考えていきました。研修では、具体的にどんな場面に活用できるかについて考えることで、実践に活かしてもらえると考えるからです。
本時の展開
学習の流れ | 主な学習活動 |
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1. 学習の見通しをもつ | 本時のめあてを確認し、活動の手順を知る。 |
2. 鑑賞を行う | ① 児童がそれぞれ自分の作品を撮影し、「相互評価」の機能を使って、作品を公開する。 ② 友達の作品を見て、ピンクの付箋によさ、ブルーの付箋にアドバイスを書きこむ。 ③ 自分の作品についた付箋を読み、くわしく聞きたいところを質問する。 |
3. 学習をふりかえる | 友達が書いてくれたものを見た感想をふり返りに書く。 |
2. 東野小学校版事例フォルダの作成
発表ノートを活用して児童が学習をする際に、教材をあらかじめ作成することがあります。教材作成は、職員室でパワーポイントを活用して行い、発表ノートで作成したパワーポイントを読み込んでワークシートとして児童に配付を行うことが多いです。
そこで、共有フォルダにこれまで作成した、パワーポイントの資料を学年別教科別で保存をしてもらうように呼びかけをしています。私自身も作成したものをそこに残すようにすることでどの先生も活用できるようにしました。
3. メディアセンターとして図書室をリニューアル
本校の図書室は、メディアセンターとして、平成28年の夏にリニューアルをしました。図書室を学習情報センターとしての役割をもたせ、メディアセンターを活用してタブレット端末を使い学習できるようにしました。
調べ学習をする際には、教科書や資料集からスタートし、図書室の書籍を活用します。タブレット端末のカメラ機能を使い、書籍の資料を写真に撮っておくと、記録に残り、そのまままとめる際に活用することができます。課題に対して資料を活用し調べ、それを発信するためには、発表ノートの機能を活用すると非常に効率的に学習を進めることができます。作成した発表ノートは、メディアセンターで印刷してノートに貼り、ノートへの記録もきちんと残していくことができます。
そのような学習を実現させ、先生方になるべく準備の時間をかけずに授業をしてもらうためには、タブレット端末と同じ空間に図書室の書籍があることが必要だと考え、メディアセンターを設置することを考え、たくさんの方の力をかりて実現しました。
今年度は1学年1実践を目標にして、どの教員もチャレンジ!
今年度は、1学年1実践を目標にしました。その実践を紹介します。
1年生「生活科」たのしい秋いっぱい
はっぱや実であそぼう
この単元では、秋の身近な自然を観察したり、葉や木の実を集めたり、秋の自然を利用して遊んだりして、秋の自然を利用した遊びの楽しさに気づくことをねらいとしています。
本時のねらい
2年生へ自分のつくった服を説明するために、使った葉や木の実を図鑑で調べて、発表の資料をつくる。 |
本時の展開
学習の流れ | 主な学習活動 |
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1. 学習の見通しをもつ | |
2. 図鑑で調べる | ① 自分の使った葉や木の実を図鑑で調べる。 ② カメラ機能で写真に撮る。 ③ 発表ノートに貼り付けて名前などを書き込む。 |
3. ふりかえり | 図鑑で調べて新しく知ったことを伝え合う。 |
① 自分の調べたいものを写真にとる
自分の作品に使った葉や木の実を図鑑で調べ、図鑑の写真や絵をカメラ機能で撮影します。児童は、「たぶんこれは〇〇という木の実だろう。」と予想を立てて、図鑑の索引を使って調べ、自分の採取した木の実と比べて探していました。
② 発表ノートにまとめる
カメラ機能で撮影した写真と、実際に採取した葉や木の実の写真を発表ノートに貼り、名前やわかったことをペンで書きこみます。児童は、2年生に見てもらうことを考えて、写真の必要なところだけをトリミング機能を使って切り出し、伝えたいことがわかるようにしています。
2年生 「国語科」いいつたえられているお話を知ろう
この単元は、神話や伝承の読み聞かせを聞いたり自分で読んだりして、面白かったところを友達と紹介し合うことをねらいとしています。そこで、自分が紹介したいお話を選び、読書推進委員の先生に聞いてもらおうというゴールを設定しました。
本時のねらい
自分が紹介したいお話を選び、紹介する準備をする。 |
本時の展開
学習の流れ | 主な学習活動 |
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1. 学習の見通しをもつ | |
2. お話の準備をする | ① お話を選ぶ。 ② 本の挿絵をカメラでとり、トリミングをして発表ノートで紙芝居をつくる。 ③ スライドショーにして音読の練習をする。 |
3. ふりかえりをする | お話のおもしろさは、どんなところなのかをふりかえりに書く。 |
どの挿絵を入れればお話がきちんと伝わるかを考えて挿絵を選択し、カメラ機能を使って撮影することで、そのお話のよさはどこかを児童がしっかりと考えることができます。また、お話のおもしろさが伝えられるように音読と挿絵を一致させてお話ししていきます。
(2019年6月掲載)