
並列つなぎの回路を見つけよう
単元名:電気のはたらき
藤田 貴憲 教頭付
学校法人智辯学園 智辯学園和歌山小学校
本時のねらい
①主体的・対話的な思考・表現
これまで学習してきた回路や電流の特性を元に、ブラックボックス回路として提示された乾電池2個のつなぎ方を解明する作業の中で、回路のつなぎ方を思考・表現する。
②回路作りの知識・技能
電池1個を入れても電池2個を入れてもモーターが同じ速さで回るつなぎ方を解明することで、並列回路の特性を理解する。
授業の実際
本時は、意見交換しながら自分の考えを深める学習にしたいと考え、2人1台でタブレット端末を活用した。冒頭では、あらかじめ[発表ノート]で作成した教材(ブラックボックスの回路)を一斉配付した。児童は、教材に[マーキング]でかき込み、正しい回路図を予想した。
児童たちの予想を、プロジェクタに投影して考えを共有しながら、実験教材を使った回路づくりに取り組んだ。途中、正しく回路が作れた子どもの[発表ノート]をプロジェクタに投影して、「正しい回路は何か」を議論し、意見共有を行った。
最後に、皆で確かめた「正しい回路」を[発表ノート]で配付した。配付されたお手本の画面は拡大して確認できるので、1人ひとりの作業が確かなものになり、多くの子どもが授業時間内で回路を完成できた。

単元計画(全7時間) | ||
単元導入 |
乾電池でモーターを回して、気付きを共有しよう(1時間) |
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第1次
乾電池のはたらきを調べよう |
第1時 |
乾電池をつなぐ向きとモーターの回る向きには、どんな関係があるのだろうか |
第2、3時 |
モーターをもっと速く回すには、どうすればいいのだろうか(直列つなぎの回路を見つけよう) |
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第4時 |
ブラックボックス回路を解明しよう(並列つなぎの回路を見つけよう)(本時) |
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第5時 |
どうしてモーターの回転の速さが変わるのだろうか(乾電池のつなぎ方と電流の大きさ) |
本時の展開
学習の流れ | 主な学習活動 | 指導のポイント
(タブレット端末活用場面) |
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1.課題をつかむ |
乾電池が1個でも、2個でも、同じ速さでモーターが回るブラックボックス回路を演示し、課題を配付する。 |
1[発表ノート]で、あらかじめ用意しておいた課題をする。 |
2.友だちと思考錯誤することで、考えを深める |
どのように導線をつなげばいいのか、既習事項をもとにして書き込みながら考える。 |
2[マーキング]で書き込みながら考えを伝え合うことで、議論が具体化され、深まりのある協働作業が生まれる。 |
3.考えた回路を発表し合う |
自分たちが考えた回路で、きちんと電流が流れるのか、友だちの考えを聞きながら確認する。 |
2ペアで考えた回路を[発表ノート]にまとめ、白板に[投影]して説明する。 |
4.ペアで回路を作ってみる |
実験教材で、予想通りの結果ができるのかを確かめる。上手くいかない場合は、再度考え直して試行錯誤する。 |
2[マーキング]で書き込みながら自分の気付きや考えを伝え合う中で、建設的な話し合いが生まれる。 |
5.気付きを全員で共有し、正しい回路を完成させる |
正しく解明できた回路を発表し、どうしてそうなったのかを確認する。 |
3[発表ノート]で解明した回路を白板に[投影]し、クラス全員で考えを共有する。 |
6.並列つなぎと、その特性をまとめる |
できあがった回路(並列)と、前時で作った回路(直列)を比較して、並列つなぎの特性をまとめる。 |
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タブレット端末活用のポイント (効果と児童生徒の反応)
1発表ノートで教材作りを効率化(時短)
発表ノート、画面撮り、カメラ

[発表ノート]は、デジタル教科書などの画面を[画面撮り]機能で切り取って、ノートに簡単に貼り付けることができる。また、[発表ノート]上から[カメラ]を起動して、撮影してノートに貼り付けることもできる。子どもに提示したいものがあれば、撮影して貼り付けるだけで、一つの教材を作ることができるので重宝している。
2協働作業や意見共有を「見える化」する
発表ノート、ノートの配付、マーキング

学習課題をプリントで配付すると、そこに考えを書いて、消して、また書いて…という行為を繰り返すことになり、時間と労力がかかる。子どもたちが試行錯誤して考えやすいように、[発表ノート]で教材を作成し、学習課題に取り組ませた。教材はあらかじめ作成しておき、授業中に一斉配付した。その際、3台端末に教材が配付できなかったが、その端末に対してボタン一つで再配付することができた。トラブルがあっても、操作に困ることなく安心して授業を進められた。
3「個」に応じた探究活動を助ける
発表ノート、学習者機画面への投影

いち早く正しい回路を完成させた子どもの[発表ノート]を、他の子どものタブレット端末に配付して共有した。子どもたちは手元で正しい回路を確認し、友だちと相談しながら回路を完成させることができた。以前は、書画カメラで教員の手元の動きや実物教材を撮影して、スクリーンに提示し、子どもたちは目を細めながら見ていた。今回、手元の端末に投影したことで、思い思いに画面を拡大して確認したり、画面を指さして教え合ったりする姿がみられた。
こんな場面でも使える!実践を振り返って
タブレット端末と学習活動ソフトの活用で、
考えたり、実験したりする時間が格段に伸びた
理科では、子どもが実験する時間をどのようにして確保するかが重要だ。これまでは個々の考えを共有するために、紙に書いた考えを書画カメラで拡大投影し、それを見せながら説明する必要があった。本時のようにタブレット端末や学習活動ソフトを使って考えれば、自分の画面を手早くスクリーンに投影し、マーキングなどで書き込みながらわかりやすく説明できる。こうした一連の流れによって、子どもが考えたり、実験したりする時間が格段に伸びたと思う。
(2020年7月掲載)