授業でのICT活用

どっちの勝利かデータでプレゼン

子どもたちは、根拠となるデータを自分の目的に応じて取捨選択し、それらを視覚的に整理して友達に伝えることができた
本時のねらい

伝えたいことに応じて、これまでに整理した表やグラフの特徴を考え、適切な資料を選択して分かりやすくデータの意味を説明することができる。(思考・判断・表現)

授業の実際

「データの活用」の領域では、目的に応じて資料を収集・整理・分析していくことが求められている。本実践では、実際に自分達でデータを生み出し、それを整理・分析していくことで、主体的に活動に取り組めるようにした。さらに、自分で伝えたい事柄を設定して、そのための根拠となるデータを整理・分析していく課題を設定することで、表やグラフそれぞれのよさを吟味しながら、自分の考えを他者に伝える姿を生み出した。ここでは、タブレット端末を使用し、データの共有を素早く行えるようにしたり、根拠となるデータを分かりやすく示しながら説明したりできるようにした。子どもたちは、根拠となるデータを自分の目的に応じて取捨選択し、それらを視覚的に整理して友達に伝えることができた。

単元計画(全7時間)
第1次

資料の整理

第1時

データの収集

第2時

ちらばり

第3時

柱状グラフ

第4時

データを根拠に示す(本時)

第2次

のべ

第3次

グラフの工夫

第4次

まとめの練習

本時の展開

学習の流れ 主な学習活動 指導のポイント
(タブレット端末活用場面)
導入

1.本時の問題と課題をとらえる。

くつ飛ばし大会のルールを決めて、データを根拠に、勝利チームを示しましょう。
1[グループワーク]機能を用いて、前時に行ったくつ飛ばし大会の記録を共有し、それを基に表やグラフに整理できるようにしておく。
展開1

2.ルールを決めて、勝利チームを求めるための根拠となるデータを考える。

2勝利チームを決める根拠に最適なものを選択し、[発表ノート]を使ってノートに書かれた表やグラフを撮影するなど、簡単にプレゼン資料が作れるようにする。
展開2

3.勝利チームの求め方を、データを根拠にして、グループの友達に説明する。

3[マーキング]機能を活用して、根拠となるデータに印をつけながら話すことで、視覚的にも分かりやすいプレゼンができるようにする。
終末

4.本時のまとめを行う。

・[画面一覧]機能を用いて、定めたルールごとに比較表示し、どんなルールにするかによって、必要となるデータが変わることに気づけるようにする。

タブレット端末活用のポイント(効果と児童生徒の反応)

全員の記録を共有する
グループワーク

友だちの記録もすぐに見ることができる

前時にクラスの生活班10班を2チームに分けて「くつ飛ばし大会」を実施し、班ごとに記録表にまとめておいた。本時では、[グループワーク]機能を用いることで、全10班の記録表を全員が見られるようにした。子どもたちは、班ごとの記録を自由に確認しながら、2チームの記録を整理し、ノートに度数分布表や柱状グラフを仕上げていった。

根拠となるデータを示す資料づくり
発表ノート

ノートに書いた表やグラフを撮影して活用する

2チームのうち、どちらが勝ったのか問いかけた。すると、判定基準を決める必要があることに気づき、「一番記録がいい人がいるチームが勝ち」「合計飛距離が大きいチームが勝利」などと言いながら、それぞれ自由に基準を決めた。次に、勝利の根拠となる資料を提示しながら、友達に説明する活動を設定した。既習の表やグラフを見比べながら各自の目的に合わせてデータを選択し、[カメラ]機能を用いて表やグラフをスライドに取り込む子どもの姿が見られた。

印をつけて分かりやすくプレゼンする
マーキング

根拠を分かりやすく示しながらプレゼンする

プレゼンする際は、判定の根拠となる資料を相手に見せながら説明するよう徹底した。子どもたちは、表の中の注目して欲しい数値を赤でマーキングしたり、グラフの一部をペンで指し示したりするなど、視覚的に分かりやすく判定理由を友達に説明しようとする様子が見られた。

こんな場面でも使える!実践を振り返って

タブレット端末を活用して効率化することで、自分たちで計測したデータでもスムーズに収集・整理ができるように

通常の進め方だと、教科書のデータを使って、度数分布表や柱状グラフに整理していく学習となるが、受け身の感覚が強く、機械的な作業に終始してしまう場合が多い。そこで、タブレット端末を活用して効率化することで、自分たちで計測した生身のデータでもスムーズに収集・整理ができるようになった。また、判定基準を自分で決め、根拠となるデータを取捨選択する活動を設定したことで、友達に説明する必然性を生み出し、より分かりやすいスライドに仕上げたいという思いにつながった。

(2019年12月掲載)