
本時のねらい |
鉄棒の授業で、低学年の児童は逆上がりができるようになりたいという思いが強い。しかし、一概に「逆上がりができない」といっても、できない要因はさまざまであり、逆上がりができない児童は、成功するお手本を見ても自分の動きに反映することが難しい。そこで、教員が事前に撮影した成功例といくつかの失敗例を動画で比較することで、失敗の原因を視覚的に理解させ、自分が成功するためにはどこを改善すればいいのか、成功への見通しを持てるようにと考えた。 |
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授業の実際 |
前半20分では、教室で成功に繋げるポイントを全員で考えた。まず、成功例と失敗例を並べて視聴し、[動画比較]機能で2つの動画を重ねて再生した。その中で、失敗する時は「腕が伸びている」「踏み込みの位置が浅い」「腰が鉄棒から離れている」など、成功への改善点を確認した。 後半20分では、鉄棒のあるグラウンドに移動し、グループ練習に取り組んだ。グループ内で一人ひとりの逆上がりの回り方を[動画撮影]し、その都度[スロー再生]や[動画比較]をしながら、成功した児童はよりきれいな回り方を、失敗した児童は成功へのポイントを話し合った。これらの活動を通して、児童は活発に意見を出し合い、成功へのイメージを模索することができた。また、タブレット端末とさまざまな機能を活用することで、「失敗から学びとろう」という前向きな学習から意欲向上に繋がった。 |
単元計画(全6時間) | |
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第1時 |
2年生でできた技にもう一度挑戦し、鉄棒の回り方や感覚を確認する。 |
第2・3時 |
逆上がりの成功例・失敗例を比較し、成功するポイントを考えた上で練習に取り組む。(本時) |
第4・5・6時 |
いろいろな技に挑戦することを楽しむ。 |
本時の展開
学習の流れ | 主な学習活動 | 指導のポイント (タブレット端末活用場面) |
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本単元のめあての確認 | ||
全体でポイントの確認 |
成功例と失敗例を比較する。 |
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移動 | ||
グループ練習 |
逆上がりの練習に取り組む。 |
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学習の振り返り |
めあてができたかを振り返る。 |
事前に撮影した教員の成功例動画と失敗例動画を並べて視聴した。失敗例を見たときに、成功例との違いをすぐには見つけられない児童もいたが、動画を重ねてスロー再生すると、「足の場所が違う」「あっ、腰が離れた」などたくさんの点に気付くことができた。
視覚的に違いが明確になり、成功のポイントをはっきりと自分で認識できたことで、「早く自分も練習したい」「試したい」という練習へのモチベーションの向上にも繋がった。
後半のグループ練習では、 [カメラ(動画撮影)]と[再生機能]などを活用し、自分たちで確かめた成功のポイントを意識しながら練習に取り組んだ。自分たちで撮影することにより、撮られている児童のやる気が向上した。昨年度は「失敗して恥ずかしい」と自信を無くしていた児童も、何度か挑戦した後に「どうだった」と笑顔で友だちが撮影してくれた画面をのぞき込んでいた。また、撮影した同じグループの児童たちも、今までは手持ちぶさたで気が逸れがちだったところが、撮影するという役割を持ったことと、[動画]という話し合う題材があることで、積極的にアドバイスをしていた。どのグループも[スロー再生]をしながら、活発にアドバイスし合えたことで、本時の授業は個人の学びから集団での前向きな学びとなった。
導入での教材準備がこれまでと比べて効率的に
動画を重ねることで、技能のポイントを明確に押さえられた
持ち運びが便利なタブレット端末と『SKYMENU Class』の[動画撮影][動画比較][動画再生]の機能を使うことによって、導入での教材準備がこれまでと比べて非常に効率的になった。また、授業では、動画を重ねることで、技能のポイントを明確に押さえた指導をすることができた。さらに、教室で共有したポイントをもとに自分たちが挑戦した動画を使ったことで、焦点がぶれない活発な教え合いができた。「鉄棒は苦手」と言っていた子が、「さっきより前で踏み込めた」と笑顔で喜んでいた。児童たち自身でPDCAサイクルを主体的かつ頻繁に行えたことで、前向きな成長に繋がったと実感した。
(2019年11月掲載)