![[発表ノート]で作成した教材を、児童に[一斉配付]。ドットの数の求め方を工夫して考え、1つの式に表させた。多様な式から共通点を発見し、関数的な見方に触れた](image/65/ttl01.jpg)
本時のねらい |
本時は、ドット(●)の数の求め方をまとめるなどして工夫して考え、1つの式に表すことをねらいとしている。また、式の意味について考える活動を通して、それぞれの式に共通していることを発見することで、「●の数が増えてもできるよ」や「もし四角だったら」などの発言を引き出し、関数的な見方に触れることもねらいとした。 |
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授業の実際 |
1辺に9個ずつ三角の形(頂点の部分が重なっている)になっているドット図を提示した。ここで、「1つずつ数えなくてもできるよ」という発言を引き出し、「かけ算を使えば1つの式にできるよ」という問いが生まれた。 児童は、配付された[発表ノート]に式と考え方を説明するための図を記入していった。発表する場面では、考えた図からみんなで式を話し合ったり、1つの式からそれに対応する図を完成させたりする活動を行った。 学習の終末では、「この形だったから1つの式にできたのだね」と問いかけると、式について振り返り、その共通点から言葉の式に表すことで、関数的に考えることができた。 |
単元計画(全7時間) | |
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第1時 |
( )を用いた式 |
第2・3時 |
四則混合の式と計算 |
第4時 |
1つの式に表す(本時) |
第5時 |
分配法則 |
第6時 |
交換法則、結合法則 |
第7時 |
乗法の性質 |
本時の展開
学習の流れ | 主な学習活動 | 指導のポイント
(タブレット端末活用場面) |
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課題をつかむ | 1.ドットの数を1つの式で表すという問いをもつ。 2.タブレット端末の操作の仕方について確認する。 |
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解決する | 3.タブレット端末を操作して、式と図を考える。 4.式と図について発表し合い、式と図と言葉を対応させながら理解する。 |
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まとめる | 5.式を見比べて、どの式も辺の数と1辺のドットの数を使って計算していることを捉える。 | ![]() |
振り返り、新たな課題をつかむ | 6.学習したことを振り返り、形や数が変わってもドットの数を計算で求められるか考える。 |
ドット図は、一度にすべて見せるのではなく、予め貼り付けておいた青色の図形を動かすことで、少しずつ見せるようにした。これにより、「全部見せて」や「全部見なくても分かるよ」などの児童同士の対話が生まれ、「だって、1辺の数が分かれば…」「1つの式に表せそうだね」という問いを共有することができた。教師から与えられた目標や課題ではなく、自分たちで目標を立てることにつながった。
予め作成しておいた[発表ノート]を児童に配付した。このノートは、予めドット図と式を記入する枠を入れてあるものである。プリントで配布して回収したり、自分で手書きしたりする手間が省略でき、「1つの式で表す」という目標に短時間で迫ることができた。また、コピーして使用することで、自分の考えを早くまとめられた児童は、「他の式もできる」と多くの式と図にまとめることができた。
[発表ノート]の[提出]の後、それぞれの考え方について話し合う場面では、1つの考え方を1人の児童に発表させるのではなく、式のみ発表させた。学級全体で式の意味を図に記入しながら1つずつ理解していった。また、図だけ見せて、そこから考えられる式を発表し合う活動も行った。最後に、提出された[発表ノート]を一覧で表示し、それぞれの考え方を確認した。この活動により、式をより正確に理解でき、学習の終末に「形が変わってもできる」という新たな問いを生み出すことにつながった。
[発表ノート]は、様々な導入の場面で、
児童の意欲と問いを引き出す工夫ができる
導入の場面で、児童の様々な発言を引き出せるところがこの実践の最大の良さである。アナログでの提示となると、サイズや少しずつ見せることが難しいなどの問題が生じてくる。[発表ノート]の画面をプロジェクタで投影することで、サイズも動きも児童にとって理解しやすいものになる。問題場面に図が必要になる場面では、有効な活用方法と言える。算数科に限らず、様々な導入の場面で、児童の意欲と問いを引き出す工夫ができる。
(2019年2月掲載)