授業でのICT活用

面積 ~考えよう・伝えよう・深めよう~

2クラスで授業の形態を変えて実践研究を行った
本時のねらい
  • 長方形や正方形の和や差や等積変形など、既習事項を生かして問題解決のために思考を深めている。【数学的な考え方】
  • 友だちの考えを理解し、友だちの考えから自分の考えを深め、生かそうとする。【関心・意欲・態度】
授業の実際

1組は、これまでの授業の形態を変えずに、教員用タブレット端末を活用した。子どもたちがノートに書き込んだ図や式、説明などを教員用タブレット端末で撮影し、モニターに投影してクラスみんなで思考を深めた。投影した子どものノートをもとに、その子どもがどう考えたのかをほかの子どもたちが見て考えることができ、全体思考をじっくり深めることができた。

2組は、学習者主体の授業に近づけるために、児童用タブレット端末を1人1台使用した。児童用タブレット端末上に配付した図に自分の考えを書き込み、個人思考を深めた。直線を引くことが容易でより正確な図を書くことができること、書いたり消したりすることが容易で何度も試行錯誤できることから、とりあえず書いてみて考えるという子どもたちの姿が見られ、どの子どもも意欲的に取り組めた。

単元計画(全16時間)
第1次

広さ比べをしよう

面積とは?

第2次

長方形の面積の求め方は?

正方形の面積の求め方は?

複合図形の面積の求め方は?(本時)

第3次

大きな面積を表す単位は?

第4次

既習事項の理解を深める

本時の展開

学習の流れ 主な学習活動 指導のポイント
(タブレット端末活用場面)
既習事項を確認 前時までの図形の面積の求め方を復習する。 【1組、2組】
前時の子どものノートを大型モニターに投影して学習を振り返る。
学習課題をつかむ 色をぬった部分の面積を求めるには? 【1組、2組】
問題を大型モニターに投影する。
個人で思考する 図形を切ったり、動かしたり貼ったりして思考を深める。 【1組】ワークシートを配付する。
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【2組】児童用タブレット端末に教材を配付する。

ペアで自分の考えを伝え合う 自分と同じところ、ちがうところを見つけながら交流する。
全体で学びを広げ深める 友だちがどのように考えて、面積を求めたのかをみんなで考え、深める。 23

【1組】ノートに書きこんだ図を投影し、クラス全体で共有できるようにする。
【2組】児童用タブレット端末に書き込んだ図を投影し、クラス全体で共有できるようにする。

今日学んだことを振り返る 今日分かったこと、気づいたことをノートにまとめる。

タブレット端末活用のポイント(効果と児童生徒の反応)

児童用タブレット端末を活用して個人の思考を深める
マーキング

2組では、児童用タブレット端末を使うことで直線を容易に書くことができたり、何度も消したり書いたりして試行錯誤ができた。子どもたちは、とにかく「求め方」を考えることに焦点化して取り組むことができた。個人の試行が深まるとともに、相手に分かりやすく伝えたいという意欲が出てきた。それぞれ相手に意識を持って、工夫して書き込むようになった。また、友だちの考え方を聞いて、自分の考えた図や式を変更したり、付け加えたりする姿も見られた。

ノートやワークシートをそのまま投影
投影

1組では、紙のワークシートを拡大提示した。

図を切ったり、動かしたりして、等積変形して求めた様子を大型モニターを活用して、みんなに説明する子どもの様子が見られた。

子どもの考えたノートやワークシートをそのまま提示することで、その子どもがどんなふうに考えたのかをほかの子どもたちが見て考えることができ、全体での試行活動が深まった。

みんなで考えを深める
投影、マーキング

2組ではさらに、児童用タブレット端末でそれぞれに考えた[発表ノート]を回収し、全体で共有した。提示した図を指し示したり、さらに[マーキング]したりしながら説明することで、どこのことを言っているのかがよく分かり、全体思考を深めるのに有効だった。子どもたちは、自分たちの考えを伝え合うことを楽しんでいた。また、回収した[発表ノート]は、教員用タブレット端末に保存できるので、次時の学習の初めに復習として活用することができた。

「伝えたい!!」が子どもの考えたことをつなぎ、深める

児童用タブレット端末を用いることで「操作したい!」という欲求から意欲的に授業に取り組むことができたと感じる。色分けしてマーキングをし、図や式を書いたり、多様な考えを持ったりすることにつながり、「伝えたい」という欲求につながっていると感じた。また、単元の途中で、子どもたち自身が自分の考えを伝えるのにノートと児童用タブレット端末とどちらが有効かを考え、使い分ける姿も見られた。

今後も、子どもたち同士が自分の考えを伝え合い、深める手段として、児童用タブレット端末を効果的に活用した授業づくりを進めたい。

(2019年2月掲載)