授業でのICT活用

自分の考えと根拠を伝え合い整理しよう

授業の様子
本時のねらい
  • [マッピング]を提示しながら、進んで自分の考えや根拠を伝えようとする。(関心・意欲・態度)
  • 課題に対する自分の考えと、それを裏づける根拠をまとめることができる。(書くこと)
授業の実際
  • 物語の中で押さえたいポイントを前時の振り返りとして確認した。
  • ワークシートを提示しながら2分程度で発表し、グループで互いの考えの伝え合いをした。
  • 友達のワークシートをタブレット端末で見ながら、意見を聞けるようにした。納得した箇所には赤色で、疑問に思った箇所には青色でワークシートに丸をつけた。また、大型テレビにメロスの基本的な人物像をまとめた資料を投影した。
  • 伝え合い後、1人ひとりで[マッピング]を整理した。新たな考えや友達の考えを加える場合は、言葉カードに色をつけるようにした。ワークシートを大型テレビで投影しながら振り返った。自分の考えを伝え合い、課題に対する自分の考えが変化した生徒を意図的に発表させた。
単元計画(全10時間)
第1時 全文を通読し、印象に残った部分や表現について意見交流しよう
第2~3時 場面や構成を確認しよう
第4時 メロスの基本的な人物像を[マッピング]でまとめよう
第5~7時 登場人物の人物像の変化を捉えよう
第8時 課題「メロスは真の勇者か」について、根拠や自分の考えを[マッピング]に書き出そう
第9時 課題について、根拠や自分の考えを[マッピング]で整理しよう(本時)
第10時 課題についての作文を書き、作品のおもしろさを味わおう

本時の展開

学習の流れ 主な学習活動 指導のポイント
(タブレット端末活用場面)
前時の振り返り

1. 前時の振り返りをする。

1物語の中で押さえておきたいポイントを、[目隠し]機能を用いて確認。

展開

2. 本時の課題を知る。

・グループで伝え合いをする。

①[マッピング]を提示しながら2分程度で発表する。

②感想や意見を伝え合う。





・1人ひとりで[マッピング]を整理する

2[発表ノート]をグループ化することで、友達の[マッピング]を手元で見ながら意見を聞けるようにする。

・教員用タブレット端末で、生徒の学習画面を映して、 個の進捗状況を把握。

3伝え合い後の[発表ノート]を見ながら、友達の[マッピング]を参考にしたり、比べたりする。

・大型テレビにメロスの基本的な人物像をまとめた[マッピング]を投影。

本時の振り返り

3.本時の振り返りをする。

・[マッピング]を大型テレビに投影しながら、振り返ることで、色分けされた言葉カードによって考えの広がりを可視化できるようにする。

タブレット端末活用のポイント(効果と児童生徒の反応)

[目隠し付箋]機能で今までの学習を確認する
目隠し付箋

共通理解を図りたい箇所を隠し、ポイントを押さえる今までの学習内容を本時の内容につなげるために、[目隠し付箋]機能を使用した。前時までの学習内容の中で、共通理解を図りたい箇所のみを隠すことで、視覚的にポイントを押さえることができた。目隠し部分のはがし方がとてもユニークで、生徒からは「次もやりたい」という声があがった。授業の導入で行うことにより、生徒の学習意欲を高める効果があった。次時では、同じデータを使いながら、授業内容にあわせて目隠しの箇所を変えることができるので、たいへん使いやすかった。

[マッピング]で自分の考えを可視化する
マッピング

 [マッピング]を使って取捨選択しながら要点をまとめる視点がしぼりやすいように、あらかじめ項目をつくっておいたマッピング用紙を生徒に配付した。カードには、根拠の中でもキーワードとなる部分を書くように指示することで、どこが大切であるのかを取捨選択しながら要点をまとめる能力を養うことができた。間違いに気づくと簡単に修正できることもあり、[マッピング]を使い始めると、生徒の集中力が高まった。国語が苦手な生徒も[マッピング]完成を目指し、何度も繰り返し本文を読んでいることがわかった。

グループワークで考えを広げる
グループワーク

友達の考えを自分の[マッピング]に移動させ、参考にする[マッピング]をグループ化することで、友達の考えを自分のタブレット端末で見ることができた。自分では思いつかなかった考えや、まったく異なる考えに出会うことができた。また、カードをコピーすることで友達の考えを自分の[マッピング]に移動させ、参考にすることもできた。グループ化されているため、自分の考えに対して友達が良いと思ったり、疑問に思ったりしたところが[マーキング]機能により自分の[マッピング]にも書き込まれる。そのため、自分の考えに自信を持てた生徒が多くいた。

こんな場面でも使える!実践を振り返って

国語が苦手な生徒が積極的に取り組む姿が見られた

今回の授業では、[マッピング]をPDF化して保存することによって、そのデータを教員が印刷し、生徒に紙媒体で配付することも可能であることに気づくことができた。これによって工夫次第で学びの蓄積も可能であるとわかった。国語が苦手な生徒が積極的に[マッピング]に取り組む姿が多く見られたことがとてもうれしかった。わからない言葉や描写を自分で考え、自分なりの答えを見つけることもできていた。

(2017年11月掲載)