授業でのICT活用

映像記録を基に、プログラムを検証・改善しよう

授業の様子
本時のねらい

計測・制御のためのプログラムの作成を通じて、コンピュータを用いた計測・制御の基本的な仕組みを知り、簡単なプログラムの作成ができるようにするとともに、情報処理の手順を工夫する能力を育成する。

授業の実際

計測・制御の学習では、作成したプログラムを実行させ、その動きを確認し、さらに修正改善を加えていくことが大切である。そこで本時は、生徒に実感を持たせ、協働して、お互いの意見を合わせて作り上げることを経験させたいと考えた。

簡単な操作でプログラムできる自律型ロボット教材とタブレット端末を用いて、課題を達成するために必要なプログラムをグループで協議して改善する学習活動に取り組ませた。

タブレット端末はグループで2台活用。1台はプログラムの編集用、もう1台はプログラムを実行する様子を[カメラ]機能で動画撮影する記録用とした。撮影した動画でロボットの動きを振り返りながらプログラムの修正点を話し合うことで、正確な情報をもとに修正点を検討でき、生徒同士のコミュニケーションも充実した。

単元計画(全6時間)
第1時 計測・制御システムの基本的な仕組みを知る。
第2時 プログラムの役割と機能を知る。
第3時 簡単な計測・制御を行うプログラムを作成する。
第4時 ロボットの性能を調べる。
第5時 課題を解決するプログラムを作成する。(本時)
第6時 私たちの生活と計測・制御について考える。

本時の展開

学習の流れ 主な学習活動 指導のポイント
(タブレット端末活用場面)
つかむ 1. 前時までの学習内容を振り返る
2. 本時のめあてを知る
1前時に取り組んだときに撮影した動画を提示し、本時の学習内容を確認させる
めあて:センサを活用したプログラムを作成しよう
おさえる 3. プログラムを予想し、作成する 2個人思考後、グループで協議してプログラムを予想させる。その際、[ロック]機能でタブレット端末の操作を禁止しておく
深める 4. プログラムを実行する 2実行する際は、[カメラ]機能で動画撮影を行わせ、記録を残させる
・記録した動画をもとに再検討する
5. 課題を解決するプログラム作成のポイントについてワークシートにまとめる  
まとめる 6. 本時の学習を振り返る ・成功したグループが撮影した動画を紹介する

タブレット端末活用のポイント(効果と児童生徒の反応)

学習課題を学習者機に提示し説明
教員機画面送信

導入部分では、パワーポイントで作成したアニメーション教材を学習者機画面に送信して説明した。[教員機画面送信]機能で目の前のタブレット端末画面に提示したことで、学習の流れを理解させ、関心を持たせられた。

また、以前は実験の手順を確認する質問が多く寄せられていたが、課題解決に迫る具体的な質問が多くなった。課題を明確に把握できたことが質問の質の変化につながったと考える。

学習者機の操作をロックし、学習に集中させる
ロック

授業の中でタブレット端末を使うべきときと、使う必要がないときを[ロック]機能で明確に切り分けている。本時では、先生や友だちの話を聞くときや個人思考でワークシートに書く際は、[ロック]機能で学習者機の操作に制限をかけ、学習活動に集中させた。

タブレット端末は便利なツールだが、その便利さゆえに興味本位で使われることがある。学習以外の目的での利用を未然に防ぐことにも役立てている。

映像からプログラムを検証し、改善
カメラ

プログラムの実行時に、ロボットの動作を[カメラ]機能で撮影させた。撮影した映像を見ながらプログラムの修正・改善を行わせた。曖昧な人間の記憶に頼らず、確かな映像記録の活用が課題解決につながることにも気づかせたいと考えた。

自律型ロボットの動きをタブレット端末で撮影。映像をもとにプログラムの改善点を話し合った。

こんな場面でも使える!実践を振り返って

タブレット端末はあくまで補助的なツールであり、タブレット端末に頼り過ぎないように意識している。授業の流し方を大きく変えずに、タブレット端末を活用することでより効果的な場面を考えて活用したい。今後は、生徒たちが作成した映像作品を他己評価する際に、良いと思ったシーンを[画面保存]機能と[マーキング]機能で表し、より具体的に相手に評価を伝えるといった、これまで実現できなかった学習活動に取り組みたい。

(2015年5月掲載)