
本時のねらい | 水俣市の環境モデル都市に向けての取組を調べ、環境を守るための人々の工夫や努力について考えることができる。 |
授業の実際 |
前時までに、国や自治体、企業、そして住民が環境を蔑ろにしていたことで、これまでにさまざまな環境問題が表出し、国民の生活が圧迫されたことを学習してきている。本時は、今の水俣市の取組を資料から読み取らせ、伝え合う活動を通じて、環境保全に対する人々の工夫や努力を考えさせた。 調べ学習は、児童1人1人に配付したタブレット端末で行った。「住民」「企業」「行政」の3者の立場(課題別グループ)に分かれ、3者の工夫をそれぞれに配付した資料から調べさせた後、全体で共有し、まとめた。児童は、タブレット端末画面でじっくりと資料を読み取れたことで自分の考えを持つことができた。また、グラフや図を拡大したり、根拠となる部分を指さしたりしながら、自分の考えを友だちに説明する児童も見られ、言語活動の充実につながった。 |
単元計画(全5時間) | |
第1時 | 学習課題をつかむ |
第2時 | 水俣病の発生と経過について調べる |
第3時 | 公害防止の努力と対策について調べる |
第4時 | 環境モデル都市となった水俣市の取組について調べる(本時) |
第5時 | 学習をまとめる |
本時の展開
学習の流れ | 主な学習活動 | 指導のポイント (タブレット端末活用場面) |
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導入 | 1. 学習への課題意識を持つ 2. 本時のめあてをつかむ |
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水俣市の人々の環境に対する工夫や努力について考えよう |
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展開 | 3. 水俣市の人々の工夫や努力を調べる (1)資料からの気づきをメモする 【課題別グループ】 A:住民 B:企業 C:行政 (2)考えを整理する【全体】 (3)整理した内容を基に水俣市の人々の環境に対する工夫や努力についてまとめる 【グループ】【全体】 |
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終末 | 4. 学習のまとめをする | ・プレゼン資料を投影し、本時のまとめをする |
教員機画面の大型提示装置への投影は、課題提示や学習のまとめにほぼ毎時間活用している。本時も、導入部分でパワーポイントで作成した教材を提示し、本時の学習課題や学習の流れの説明し、学習への意欲を持たせた。タブレット端末の整備以前は、ノートPCと大型提示装置をRGBケーブルで接続しなければならず、手間と時間がかかっていた。[投影]機能は、教員機のツールバー上の「投影」ボタンの操作ひとつで、無線LANを介してスムーズに提示できるため、空白の時間が発生することがなく、テンポよく授業を進められる。
「住民」「企業」「行政」の3つの課題別グループに、それぞれの課題に合わせた資料(画像ファイル)を配付し、読み取らせた。わかったことはワークシートに書き留めさせた。各自の課題に合わせた資料(情報)を配付することで、情報を限定できる。児童は限られた時間の中で資料から必要な情報を読み取り、自分の考えを持つことができていた。
今後は、タブレット端末上での「資料の読み取りやすさ」に配慮するなど、さらに工夫して教材を作成したい。
児童には、日頃から「グラフや写真など視覚的な情報は、大型提示装置に投影して説明するとわかりやすい」と指導している。児童の[発表]機能の利用は徐々に浸透してきており、本時も自身の考えの根拠となった資料を大型提示装置で示しながら説明する様子が見られた。
児童が、このように気軽に投影できるのは、学習者機のツールバー上の「投影」ボタンをタップひとつで操作できることが大きい。また、タブレット端末1人1台の環境があり、資料を目の前の画面でじっくりと閲覧できたことも要因だと考えられる。今後は、[マーキング]機能なども使って、焦点化させながら伝えるといった、より相手を意識した発表ができるよう指導していくとともに、いろいろな単元や他教科における発表等に活用を拡げていきたい。
児童にICT機器のメリットを実感させたい。今後、タイプ入力の練習「1行日記」などを継続して取組み、少しずつICT活用スキルを身につけさせたい。ICT活用スキルの向上により、ICTの利便性の実感、さらなる学習の深まりにつながっていくと考える。
タブレット端末は一つの便利なツールであるが、将来的には、相手に伝わりやすい手段やツールを自ら選択して活用する力を身につけさせたい。
(2015年4月掲載)