
本時のねらい | 地理的分野においては、諸地域の持つ多様性や地域的特色に関する学習を通して世界の地理的認識を養うことをねらいとしている。そこで、単元導入前にヨーロッパの国々について情報を集め、まとめ、伝える場を設定することで、学習への興味・関心を高めるとともに単元全体を見通した課題意識を醸成することを目的として本授業を設定した。 |
授業の実際 |
情報を「集める」場面では、パソコンルームでの1人1台環境を生かしつつ、図書室の図書等も活用し、それぞれの班に割り当てたヨーロッパ各国の特徴を調べた。「まとめる」場面では、調べた内容を1人1枚の画用紙にまとめた。本時では、班に1台のタブレット端末と「デジタルワークシート」を活用し、班内で1つのプレゼンテーションに集約し全体での発表を行った。小学校での学習経験を考慮し、生徒が作成したクイズ形式による発表も実施。学級全体で課題意識を共有することで、単元を通した主体的な学びへつなげることができた。 |
単元計画(全7時間) | |
第1次 | テーマに基づき、ヨーロッパの国々について調べる。 |
第2次 | 調べたことをグループごとにまとめる。 |
第3次 | プレゼンテーションを作り、学級全体で交流する。(本時) |
第4次 | 白地図を利用し、ヨーロッパ全体の地形を学ぶ。 |
第5次 | ヨーロッパの歴史について学ぶ。 |
第6次 | ヨーロッパの気候と農業のかかわりを調べる。 |
第7次 | EUのしくみについて学ぶ。 |
本時の展開
学習の 流れ |
主な学習活動 | 指導のポイント (タブレット端末活用場面) |
導入 | 1. ヨーロッパの国旗当てクイズをする。 ・大型ディスプレイに国旗のフラッシュカードを提示する。 |
・生徒の手元に紙の白地図を用意し、国名と国の位置を確認させる。 |
展開 | ヨーロッパについてまとめたことを発表しよう | |
2. 個人でまとめたものを班で集約する。 | ![]() |
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3. まとめたものを全体の場で発表する。 ・プレゼンを各班、順番に発表する (気候、地形、農業、ユーロ、EUのしくみ)について 4. 各班が作成した問題を答える。 ・調べたことについて、問題を作成し班ごとに回答する。 (気候、ユーロ、宗教についての問題) |
![]() ・必ず一人一役を与え、発表する機会を与える。 ・3択問題を作成させ、クイズ形式で問題を提示させる。 ![]() |
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まとめ | 5. 本時の内容をまとめる。 ・現在ヨーロッパで起きている事象などにふれ、知識を深める |
・EU諸国が世界の経済に与えている影響や、ヨーロッパの時事問題に触れることで、実生活との関連付けを図る。 |
生徒たちが紙でまとめた資料を「デジタルワークシート」で一つのプレゼンテーションに集約。生徒はタブレット端末上で並び替え等を行い、瞬時に班ごとのスライドショーを作成することができた。
司会者・発表者・製作者などの役割分担をすることで、全員が責任感を共有し、主体的に活動に取り組むことができた。
学習者機画面の投影(発表)
「デジタルワークシート」で作成した資料をもとに、各班のまとめを発表した。発表の際は[学習者による発表]機能を活用し、生徒自身が大型ディスプレイに画面を投影したことで、より主体的に発表することができた。また、生徒の発表後に教師が適宜補足することで、学習内容を焦点化するとともに今後の学習へつなげることができた。
小学校での学習経験を考慮し、発表の形態はプレゼンテーションを行う班とクイズを作成する班に分け、生徒が作った問題を自分たちで回答する場面を設けた。[投票]機能を活用し班で回答を考えることにより、地理的分野に苦手意識を持つ生徒も積極的に関わることができた。
導入として、生徒が伝え合う場面を重視した学習活動を行ったことで、単元全体を通して主体的な学びにつなげることができた。今回は手軽に取り組める手法として紙にまとめた資料をスライド化する取組を行ったが、端末上でまとめる力や著作権への配慮、相互評価の在り方などに課題が見られた。今後は他の地域や分野についても同様の実践を積み重ねていくことで、教科学習において生徒の情報活用能力を高める取組へつなげていきたい。
(2015年3月掲載)