授業でのICT活用

図書室改善PVの予告編を作ろう

タブレット端末の校内共有利用を支える個人フォルダの活用

本時のねらい

グループで図書室の来場者を増やす案を考え、プロモーションビデオ(以下、PV)を作るための企画会議を行う。企画会議では個人で考えた改善案をもとに、図書室の現状から課題を出し合い、グループの案を話し合う。相手の意図をとらえながら聞き、自分の意見と比べるなどして考えをまとめ、話すことをねらいとする。

授業の実際

前時までは、児童1人ひとりが図書室の来場者を増やす提案について考え、レポートを書いてきた。本時からは、グループで同じ内容の提案をまとめ、PVで伝える活動を行う。

まず、それぞれが興味を持った場所の写真を見せながら紹介する。自分たちの改善案を話し合うための手立てとして、ワークシートに現状の図書室についてPMI法で分析したものを書き込んでいく。今回は、タブレット端末に直接書き込み、それぞれの考えを可視化して記録していく。

最後に、自分たちのグループで考えた改善案をイメージできる一枚の写真にキーワードを書き込んだり、ナレーションを吹き込んだりして、PVの「予告編」を作る。

本時の展開

学習の流れ 主な学習活動 指導のポイント
(タブレット端末活用場面)
導入 本時のめあてを確認する。
図書室の改善案を話し合って、PVの予告編を作ろう
 
展開 3人1組で、自分が撮影した図書室の気になる場所の写真を見せながら、説明する。 1個人フォルダから写真を読み出して見せる。
画面を指したり、拡大したりして焦点化を図る。
図書室の良い点や問題点、興味を持った点などの観点で話し合う。 ・グループフォルダからワークシートを読み出してマーキ ング機能で書き込みをしながら話し合う。
・教員機の授業支援機能で学習者機の様子を映し、進捗を確認する。
予告編を作る。
(1枚の写真や資料にキーワードを書き込んだり、ナレーションを吹き込んだりして作る)
・ワークシートや写真・資料を自由に読み出す。

2ワークシートに書いた絵をカメラ機能で読み取り、画面に取り込むことも認める。
3参考になるグループの画面を電子黒板に提示し、発表させる。
まとめ ふりかえりをする。  
単元計画(全12時間)
第1次 個別に図書室に取材をして、良い点や問題点を見つけワークシートに記入する。
第2次 ワークシートをもとに改善案を考え、提案書の構成をする。
第3次 構成をもとに提案書を書く。
第4次 グループで提案する改善案を話し合ってPVの予告編を作る。(本時)
第5次 PVに利用する写真や動画を選択し構成を考える。
第6次 アフレコをしたりテロップを入れたりしてPVを完成させる。
第7次 各グループでPVを使いながら改善案のプレゼンテーションをする。
第8次 相互評価を行い評価の高い提案の良さについて話し合う。

タブレット端末活用のポイント(効果と児童生徒の反応)

順番に個人フォルダから写真を読み出し、伝え合う
個人 / グループフォルダ

タブレット端末の画面を3人で共有し、1つの写真をもとに考えを出し合う。今まで別々に調査し考えてきた活動を共有する一つのきっかけとした。本校は、タブレット端末を全校で共有して使っているため、児童は使うたびに利用する端末が異なる。以前は、データの共有に手間がかかったが、授業支援ソフトを導入してからは、ほかの端末からも容易に写真やファイルにアクセスできるようになった。

アナログの資料もどんどん活用
カメラ

当初は、予告編に出す映像は、予め撮影してグループフォルダに保存している写真やワークシートを想定していた。しかし、授業の中で、子どもたちはワークシートを撮影することを思いつき、カメラ機能で取り込んでいた。

このように、アナログの紙を映像にし、予告編を作ることができる。手元にある多くの紙媒体のものを手軽にデジタル化し活用を進めていく視点も大切だと考える。

参考にさせたい児童や発表者の画面を提示
デジタルワークシート

グループごとに作った予告編の中で、特に参考にさせたい表現物の画面を、電子黒板に転送して共有した。画面を参考にするだけでなく、「なぜその写真を選んだか」「テロップの言葉にはどのような意図があるか」も同時に説明させた。

少人数での共有はタブレット端末、一斉での共有は電子黒板と、共有する範囲によって機器を使い分けることが必要と考える。

今後の課題(実践を振り返って)

タブレット端末を使った表現活動は、作品(表現物)を作ることを目的としてしまいがちである。本時であれば、あくまで「改善案を話し合う」という言語活動が目的であるべきで、そのねらいに迫るために児童にタブレット端末をどう活用させるか、授業者は問い続けなければならない。今後も「映像を媒介とした言語活動」を充実させていきたい。

(2014年4月掲載)