授業でのICT活用

模擬裁判を通して、裁判員制度について考えよう

授業支援ソフトでクラスの意見をリアルタイムに把握、共有

本時のねらい

実際に起こった刑事事件の模擬裁判を通して、裁判の流れや裁判に登場する人物について理解しながら、裁判員制度のあり方を考えることができる。

授業の実際

授業は2時間行った。1時間目は模擬授業を中心に授業を進めた。裁判中は投票機能を活用して、随時「有罪」「無罪」を投票し続け、担任は数値の変化をメモし、クラスの意見として情報を共有した。1時間目の最後に児童それぞれが裁判の判決とその理由をタブレット端末に書き込んで電子黒板でクラスの状況を共有した。2時間目は全員が裁判員としてグループで審議を行った。始めの20分はプレゼンアプリを活用して、児童それぞれの判決の理由を論理的に構成して発表し合い、グループ討論をした。授業の最後に「裁判員制度は刑事裁判にとって有効か」について児童が意見を言い合った。児童からは「社会の意見が反映されることは良いこと」「法律を知らない私たちが判決を出していいのか」「いろんな事件があって、見たくない証拠もあるはず」などの多様な意見が出された。

本時の展開

学習の流れ 主な学習活動 指導のポイント
(タブレット端末活用場面)
模擬裁判を行う ・模擬裁判を行う。
・裁判員役の児童は証人や被告人に質問をする。
・裁判終了後に児童それぞれの判決とその理由を共有する。
1模擬裁判を行いながら投票機能を活用して証拠や証言の数値的変化を共有する。
2裁判終了後にタブレット端末で児童それぞれの判決とその理由を書き込んでクラスで共有する。
裁判員としてグループで審議を行う ・児童それぞれの理由を順序立てて説明し、グループ内でプレゼンする。
・グループで審議を行う。
・クラスで裁判の判決を行う。
3プレゼンアプリを活用して、自分の考えをプレゼンする。その際、サーバ上の「個人/グループフォルダ」から証拠や証言のファイルをダウンロードして活用する。

・判決に投票機能を活用した。その際、テレビ画面で結果がわからないよう、結果が出るまでテレビの電源は切っておく。
模擬裁判を通して裁判員制度について考える 裁判員制度のあり方について考えて発表する。 ・授業の中で作ってきたプレゼンやファイルを見ながら模擬裁判や自分の意見を振り返る。
単元計画(全12時間)
第1次 国会、内閣、裁判所、三権分立の仕組みを調べる。
第2次 裁判所や裁判の種類、裁判の流れについて理解する。
第3次 模擬裁判を通して、裁判員制度の有効性について考える。(本時)

タブレット端末活用のポイント(効果と児童生徒の反応)

児童の気持ち(民意)を常に確認する
投票機能(レスポンスアナライザ)

裁判ではさまざまな証拠や証言があるが、人それぞれ感じることは違う。また、裁判員制度の大きな特徴として「市民のさまざまな意見を反映させて判決を行うこと」が挙げられる。このことから、裁判中に登場するどの証言でクラスの数値が有罪に傾き、どの証拠が無罪に傾いたか、という「自分以外の意見を知る」ということは重要な情報となる。その際、投票機能は有効で、児童が押したボタンで随時グラフが変化し、クラスの状況を全員が把握できた。

自分の意見をクラスで共有する
画面転送、マーキング、個人 / グループフォルダ、
学習者機画面の一覧表示

裁判終了後に児童それぞれがタブレット端末に「有罪」か「無罪」を決めて、その理由をタブレット端末に書き込んでいる様子である。有罪だと思ったら赤色の画像ファイル、無罪だと思ったら青色の画像ファイルをそれぞれ「個人/グループフォルダ」から選択し、理由を書くように指示をした。電子黒板には誰がどのように感じているのかがひと目でわかり、さらにその意見を大きく映して発表した。

プレゼンで自分の気持ちや考えを整理して発表する
個人 / グループフォルダ

自分が出した裁判の判決をグループの友だちに順序立てて説明するために、プレゼンアプリと「個人/グループフォルダ」上のファイル(裁判の証拠資料)を活用してプレゼンを作成した。プレゼンではグループの友だちにタブレット端末を見せながら自分の意見を主張し、議論した。

今後の課題(実践を振り返って)

『SKYMENU Class』ではコンピュータ教室の『SKYMENU Pro』と違うため、最初は活用に戸惑いがありましたが、逆にコンピュータ教室での活用頻度が少なかったレスポンスアナライザの機能(投票機能)が教室で有効でした。クラスの意見が数字となって現れるので、児童たちはほかの授業でも「クラスの意見を知りたいときに活用したい」と言います。

それから、私の場合、導入で写真を比べて見せ、考えさせてから授業を始めることが多いのですが、写真の比較が容易で、意見を書き込んで共有するのも有効的な活用方法です。

2つとも操作も活用も難しくありません。まずは簡単な機能から気軽に活用してみるとタブレット端末や『SKYMENU Class』の良さが見えてくるのではないのでしょうか。

(2014年3月掲載)