本時のねらい | 第3次では、自分たちの作戦をチーム全員が共通理解した上で、その観点をもとにして、実際のゲーム内容をチームで話し合いながら、自分たちの動きを修正していく必要がある。本時のねらいは、『自分たちのチームの特徴に応じて選んだ作戦の精度を高めるために、タイミングやスピードを合わせて動くことができる』と設定した。 |
授業の実際 |
チームに1台のタブレット端末を配付し実践した。ゲーム前に、「1:どんなことを心がけて動くか」、「2:タグを取られた時にどのように動くか」をタブレット端末に配付した「デジタルワークシート」に記述させ、ゲーム中の動きを兄弟チームに撮影させた。振り返りの場では、記述したシートと、自分たちのゲーム映像の3点を用いて作戦について話し合いが行われるような手立てを取った。 このことにより、自分たちの映像を見て、「こっちの方が空いていたよね。」といったような動きを確認しながらの、具体的な話し合いが行われていた。チームの動きについて、十分な共通理解ができていたと言える。また、映像を見ることはなく、記述した「デジタルワークシート」を見ながら、その観点で話し合いを行っているチームも見られた。 |
腰につけたタグを取られないように、相手をかわしてボールをもって走る。「タグラグビー」は、陣地を取られないようにタグを取って相手の前進を止めたりして攻防を楽しむゲーム。
本時の展開
学習の流れ | 主な学習活動 | 指導のポイント (タブレット端末活用場面) |
1.準備運動をする | パス回し、鬼ごっこをする | ・技能ののびが分かるように記録する |
2.課題を確認し、話し合う | 前時のゲームにおける課題を確認し、作戦を立てる | ![]() |
3.ゲームをする | 作戦をもとにゲームをする | |
4.作戦について話し合う | ゲームでの自分たちの動きをもとに、作戦について話し合う | ![]() |
5.ゲームをする | 作戦をもとにゲームをする | |
6.ふり返る | 作戦の精度は高まったかについて話し合う | ・作戦の成否の原因を思考させる |
単元計画(全12時間) | |
第1次 | タグとラグビーボールを使っていろんなゲームをしよう 学習テーマを考えよう |
第2次 | ボールを持ったらどう動けばよいのだろう タグを取られないように相手をかわす走り方は? 相手を前に出さない守り方は? タグをとられた人からパスをもらうには? チームの特徴を活かした作戦を考えよう |
第3次 | チームで考えた作戦を使ってゲームを楽しもう |
チームで考えた作戦を練り上げよう(本時) | |
作戦を活かして勝利を目指そう |

毎時間、教員機から各チームのタブレット端末の「デジタルワークシート」に2枚のシートを配付し、作戦を考えさせた。また、「デジタルワークシート」は撮影した動画や静止画を簡単にシートに貼り付けられるので毎時間試合の動きを記録し、蓄積させている。
前時の自分たちの動きで、うまくいかなかったところを、配付した「デジタルワークシート」に記述させた。その際には、前時の自分たちの映像を参考にしてもよいことを伝えた。
児童は、課題を解決するために、どんなことを心がけるか、そして実際にどう動くかについて話し合っていた。2枚目のシートによって、具体的な場面でどう動くかという共通理解がチーム内でなされており、その動きを行うためのかけ声や合図などの相談も行われていた。

タブレット端末を持たせる以前から、チームの動きについて話し合うということはさせていたが、その内容は運動技能が高い児童によるチームメンバーへの指示が大半であった。
だが、デジタルワークシートに記録された自分たちのチームの映像を視聴することによって、自分達の動きについての共通理解が得られることから、作戦についての意見がそれぞれの立場から出され、具体的な話し合いが行われていた。
タブレット端末を活用することで、1人の児童の指示で終始する話し合いから、チーム全員が共通の土台に立った上での話し合いに変わった。タブレット端末活用がチームでのコミュニケーションを促進するツールになり、有効な手立てであった。
しかしながら、映像を見るだけで、肝心な話し合いが十分になされていないチームも見られた。この点については、何らかの手立てが必要であった。作戦を練り合う場面では、タブレット端末を活用するチームの他に、タブレット端末を使わずに、ボールを実際に使って作戦の動きを確認するようなチームも出てきてほしい。
自分たちの作戦を練り合う際に、必要なツールは、タブレット端末か、ホワイトボードなのか、ボールだけでいいのかを自分たちで判断させる力を身につけさせることが重要だと考えた。
(2014年2月掲載)