実践レポート
小学校4年 社会

「水を守るために、何ができるだろうか」
ICTでつながり、対話し、自己決定へ

『SKYMENU Cloud』で考えを表出、交流し、学びの足跡を可視化

山口市立平川小学校の藤島 宗一郎 教諭は、子ども同士の「つながり」を大切にしながら、一人ひとりが自分なりの答えを見つけられる授業づくりに取り組んでいます。『SKYMENU Cloud』を活用して考えの表出や交流を支え、友達の意見を参考にしながら主体的に学ぶ社会科「水はどこから」の実践について伺いました。

山口市立平川小学校 藤島 宗一郎 教諭

藤島 宗一郎

山口市立平川小学校 教諭

子ども一人ひとりの思いや考えを表出させ、つながるためにICTを生かしたい

本校は児童数約850人の、県内では最も大きな規模の学校です。「平川大好き、つながること大好き 夢・目標をもち、チャレンジする子ども」という学校教育目標の下、地域とのつながりや近隣の中学校、高等学校、大学などとの連携を大切にして教育活動に取り組んでいます。

私は本年度から本校に赴任し、4年4組の担任を務めています。前任校で長くICT担当を務めていたことから、本校でも端末の活用の定着、そして日常化をめざして取り組みを進めています。ICTを活用する理由の一つが、本校の学校教育目標にある「つながり」を大切にするためです。

私は子どもの頃、人前で話すのがすごく苦手でした。クラスのみんなが積極的に手を挙げる授業はもちろん素敵ですが、幼い頃の自分はそれができなかった。とはいえ、頭の中には考えを持っていたので、こうした子どもの思いもくみ取ってあげたいと思うようになりました。つながりのかたちは、対面だけではありません。ICTを使えば、人前で話すときに緊張してしまう子や、意見を言い合うことが難しい子も、思いや考えを表現できます。特に、『SKYMENU Cloud』は意見を表出したり、友達の考えを参照したりする機能が豊富です。これらは、クラスの中の関係性をつくることにも役立てられると考えています。

加えて、山口市では「子どもたちが未来を生きぬくための力」として、学ぶ意欲や挑戦する力、自己決定力などの非認知能力の育成を重視しています。こうした力を育むために、友達との「つながり」の中でさまざまな考えに触れた上で、自分で考えて決めるという場面を多くつくるように心がけています。

今回は、[気づきメモ]に集約した情報を使って[グループワーク]で友達と意見を出し合いながら、日常的に使う水を大切に使い続けるためにできることを考える4年社会科「水はどこから」の実践をご紹介します。

【単元】水はどこから

「水がどこから来てどこに行くのか」児童の問いを重視し、単元を展開

本単元では、飲料水を安全・安定的に供給するための仕組みや工夫、それらが地域の人々の健康な生活に役立っていることを、施設の見学や教科書、Webサイトなどの資料を通じて学びます。今回、単元のねらいを「限りある水を大切にするために、自分たちにできることを考える」に設定しました。

最初に、個々で「学習課題」を立てさせました。すると、「使った水はどこに行くのか」「水はどこから来ているのか」といった疑問が多く挙がりました。そこで、個々の学習課題とは別に、学級全体で取り組む大きな単元の学習目標として「水がどこから来てどこに行くのか」に決定。児童一人ひとりが主体的に取り組めるよう、教科書とは順番を少し変更し、「ダム、川、浄水場」といったように、実際の水の流れに沿って学習を進めました。

さらに、児童から下水処理についての疑問が出たため、教科書ではコラムとして掲載されている「水の循環」についてもしっかりと取り扱いました。下水が汚れすぎると微生物が死んでしまい、水がきれいにならないまま川や海に流れてしまいます。その結果、深刻な公害や飲み水の不足につながる可能性があることを伝えることで、水の循環への理解を深めさせました。

単元計画(全7時間)
本時の展開

[Webページメモ]で、調べたことをどんどん蓄積する

本時(第6時)では、「水を大切にするためにどんなことができるか」について考えました。授業の最初に、あらかじめ「節水」「自然を守る」「自分たちにできそうなこと」のフォーマットを用意した[発表ノート](Yチャート)を配付。班ごとに考えを整理し、具体的な意見を出し合えるよう、Yチャートを活用しました。

Yチャートでの活動を始める前に、前時までに[気づきメモ]に入力させていた、参考にできそうなWebページを、[発表ノート]へ送るよう指示しました。図1

図1[気づきメモ]から[発表ノート]にメモをコピー。ノートを共有し、話し合った
[気づきメモ]から[発表ノート]にメモをコピー。ノートを共有し、話し合った

本機能を使う前は、必要なWebページをブラウザのブックマークバーに入れていましたが、数が増えると整理できなくなることがたびたびありました。その点、[気づきメモ]は、学習内容ごとに児童それぞれが「自分のメモ」として一時的にストックできるため、非常に使い勝手が良いです。単元の導入で「校内にある水に関する施設」を見つける活動を行ったときも、子どもたちは蛇口や水回りの写真を撮り、どんどん[気づきメモ]へ送って活用していました。

また、Webページを画面キャプチャしてメモに貼りつけられる[Webページメモ]機能も、大変便利です。画像を貼りつけるだけでリンク先が自動で表示されるため、総合的な学習の時間で集中して調べる場面などで重宝しています。

参考になるWebページを持ち寄り、Yチャートで考えを整理

Webページを[気づきメモ]から[発表ノート]へ送り終わると、「節水」「自然を守る」ためにできることについて、班ごとに分かれて考えました。[グループワーク]に参加し、Webページを参考に話し合いながら1枚のYチャートにどんどん記入していきました。ここで役立ったのが[手書き文字認識]機能です。タイピングスキルの個人差が大きい4年生でも、スムーズに取り組めました。

「節水」に関しては、「洗濯するときはなるべくまとめて洗う」「使い終わった風呂の水を洗濯に使う」「タガメを飼っているから水槽の水の量を減らす」などの意見が出ました。ただ、「自然を守る」という観点はどの班も意見が出にくかったため、途中で「『自然を守る』の方が見つかるといいね」「Webサイトで検索してもいいよ」と声をかけると、積極的に調べていました。

今回個人ではなく班ごとの活動にしたのは、子どもたち同士のつながりを持たせたかったからです。[グループワーク]を使うと、たくさんのテキストボックスが目に入ります。話すことに苦手意識がある子どもでも、「○○さんはこんなことを書いているんだ」と思いながら学べるのではないかと考えました。もしこの活動を模造紙で行う場合、話すことに苦手意識がある児童が参加しづらかったり、一部の意見に偏りやすかったりする可能性があります。ICTを活用することで、特定の子どもに限らず、全員の意見が広く「見える化」されるというメリットがあります。

そして本時では、テキストボックスの背景や枠の色を変え、班の誰が書き込んだのかを分かりやすくする工夫も見られました。使う色を相談し合ったり、端末の使い方を教え合ったりと、慣れない[グループワーク]であっても、子どもたちなりにコミュニケーションを取れていたと感じます。写真

班で話し合いながら、「節水」「自然を守る」それぞれの視点で自分たちにできることを考える
写真班で話し合いながら、「節水」「自然を守る」それぞれの視点で自分たちにできることを考える

「いい考え!」「たくさん書いているね」友達からの感想が自信につながる

班での意見出しをある程度終えたところで、班の代表者にYチャートを[ライブ公開提出箱]へ提出させました。そして、6月に新搭載された[フィードバック]機能を使い、ほかの班の意見を見る時間を取りました。

子どもたちは、「いい考え!」「たくさん書けてていいね」「海や川にポイ捨ては良くないよね」といったように、テキストボックスに目印を立てて思い思いにコメントしていました。図2

[フィードバック]機能で友達の意見を参照し、コメントを送り合った。目印を立ててコメントする児童も
図2[フィードバック]機能で友達の意見を参照し、コメントを送り合った。目印を立ててコメントする児童も

まだ数回しか使ったことのない機能でしたが、予想以上にたくさんのコメントが飛び交っていました。「いいねがたくさん付いた」「コメントをもらったよ」と喜ぶ子どもの姿も見られました。そして、これまでも[発表ノート]や[グループワーク]を使って似たような活動を行ったことがありましたが、子ども同士がコメントやリアクションを送ることに特化した[フィードバック]機能のおかげで、よりスムーズに取り組めるようになりました。

「あしあとシート」で毎時間の学びをつなぎ、振り返る

授業の最後には、[マインドシート]をベースに作った「あしあとシート」に本時の振り返りを記入させました。これは、単元の最初に設定した「自分の学習課題」を上部に配置し、毎時間の振り返りをつなげて使うシートです。[マインドシート]を最初に見たとき、振り返りを線でつなぐイメージが浮かびました。ただ線でつないでいるだけですが、「書いて、追加して」を繰り返すなかで、これまでの振り返りが自然と目に入ります。こうして過去の自分の学びとのつながりを意識することで、知識が蓄積されていくのではないかと考え、作成しました。図3

毎時間の振り返りをつなぎ、知識を蓄積していった「あしあとシート」
図3毎時間の振り返りをつなぎ、知識を蓄積していった「あしあとシート」

本時では、「水道の水をこまめに止める」「水を出したままにしないことを心がける」など、子どもたちがそれぞれ自分の考えを書けたのは収穫でした。今後は、友達の意見を参考にしたり話し合ったりする場をもっと設けるなどして、「これなら自分にもできる」という日常に結びつけた考えを、子どもたちそれぞれがより見つけられるように工夫していきたいと思います。

単元を通じた学びの蓄積は、勉強した証しになる

これまでは、単元の内容に合わせて「ここで子どもの思考を可視化するために[ポジショニング]を使おう」「[気づきメモ]で主体的な記録を促そう」といったように、各活動の工夫を中心に考えていたように思います。これからは、「あしあとシート」のようなポートフォリオを取り入れ、1時間で完結させるのではなく、単元を通じて子どもたち自身が少しずつ学びをつなげ、広げていけるような授業設計に挑戦していきたいです。

「あしあとシート([マインドシート])」は、画像や動画などをつなげられるので、単元を通じて学びを豊かに蓄積し、自分の「勉強した証し」として完成させられると考えています。子どもたちは前向きに授業に取り組めるようになると期待しています。

子どもたちが自分自身の課題をしっかり持ち、友達とつながりながらさまざまな知識を得て、自分なりの「答え」を見つけていく、そのような授業の実現をめざし、『SKYMENU Cloud』などのICTをこれからも有効活用していきたいと思います。

(2026年7月取材 / 2026年11月掲載)