実践レポート
小学校4年 国語

児童の「やりたい!」を出発点に、「生き物図かん」づくりで育む「書く力」

[マインドシート]で思考を整理し、[ライブ公開提出箱]で相互参照

大阪市立天王寺小学校の荒木 聖 教諭は、子どもたちの「やりたい!」を出発点にした授業づくりを大切にし、ICTや『SKYMENU Cloud』を活用しながら、互いの考えを参照したり、表現方法を工夫したりできる学習環境を整えられています。今回は、動物が大好きな子どもたちとともに進めた「生き物図かん」づくりを通して、情報を調べて整理し、相手に伝わるように書く力を育んだ国語科の授業について、お話を伺いました。

大阪市立天王寺小学校 荒木 聖 教諭

荒木 聖

大阪市立天王寺小学校 指導教諭

多様な背景をもつ児童の力を引き出せる学びの環境に

本校は大阪市天王寺区に位置し、児童500名ほどの学校です。創立150年に及ぶ伝統がありつつ、近年ではICT活用も積極的に進められてきました。ICTが授業の中に溶け込み、日常的に活用されている点も特徴の一つです。

近年、本校の児童数が増加しており、私が担任する4年生の学級も、多様な背景をもつ子どもたちが在籍しています。学びを進めるうえで前提となる知識や理解、経験に少なくない違いがあります。そうしたなかで、それぞれが自分のペースで学びに向かい、発揮・伸ばせる学習環境づくりを大切にしています。

また本学級の子どもたちは、中学年らしい溌溂としたエネルギーをもっています。そのエネルギーを、どのように発揮させ、一人ひとりの学びをより豊かにできるだろうかと、いつも考えながら授業づくりに取り組んでいます。

「やりたい!」を出発点に、ICTを活用して探究的に学ぶ

そうしたなかで大切にしているのが「日常的なICT活用」と子どもたちの「やりたい・やってみたい」という思いを出発点にした学びです。例えば、総合的な学習の時間では、子どもたちが自分の興味から課題を設定し、調べ、発信する探究的な学びに取り組んでいます。昨年度(3年生時)は、市内にある「天王寺動物園」と連携し、動物の飼育環境を改善するためのクラウドファンディングのプロジェクトに協力。子どもたちは目標の達成を目指し、ICTを活用してチラシやポスター、動画の制作・発信などに取り組みました。こうした経験を重ねて、子どもたちは「自分で調べる」「自分で考える」「自分で表現する」という学び方を少しずつ身に付けられ、自信を持ち、主体的に学ぼうとする姿につながったように思います。

そして、今年度4年生となった子どもたちは、教科の学びのなかでその学び方を生かし学習に取り組んでいます。今回は、日常の学びの延長線上にある実践として、4年国語「わたしのクラスの『生き物図かん』」の授業をご紹介します。

【単元】「わたしのクラスの『生き物図かん』」

お気に入りの動物のリーフレットづくりで、書く力を育む

本単元は図鑑を作成する活動を通し、「文章の構成や段落のつながり」を考えて説明文を書くことをねらいとしています。意識したICT活用は2点あります。

1点目は、「情報の収集→構成メモの作成→本文の作成」を1つの[発表ノート]上で完結できるようにしたことです。1つのワークシートとしてセットで配付することで、効率よくそれぞれのペースで学習が進められるようにしました。また、第1時の時点で配付したことで、本単元全体の学習が見通せるようにしました。

2点目は、セットのワークシートを始めに配付し、[ライブ公開提出箱]を活用することで「いつでも、だれの・どの学びの状況も参照」できるようにしたことです。参考にしたい内容、タイミングをそれぞれが選択できる状況にしました。

学習の導入では、教科書の「パンダのひみつ」というリーフレットを読み、その構成を丁寧に捉えることから始めます。子どもたちは、段落ごとの意味のまとまりや「はじめ、なか、おわり」の構成、引用の仕方などについて、具体的なモデルをもとに理解を深めていきます。その上で、教科書を見本としながら、自分の興味のある生き物を題材に図鑑づくりに取り組みました。書籍やWebサイトなどから情報を収集し、配付された発表ノートにまとめていきます。それらをもとに構成メモのページに、内容・段落のつながりを考えながら構成を組み立てていきます。

単元は全9時間で構成し、調べ学習・構成メモの作成・本文作成をそれぞれ2時間ずつ合計6時間位置付けるとともに、最後に作品を交流する時間を設けています。学習の大きな流れは示しつつも、その中でどのように進めるかは子ども一人ひとりに委ね、自分のペースで学びを進められるようにしました。

ただし、本単元は自由に書くだけの活動ではありません。「段落の構成やまとまり」「引用のルール」といった基礎的な知識や技能は確実に押さえる必要があります。そのため、教科書を繰り返し読み込み、そこから学んだ構造や表現を自分の文章に生かしていくことを最も大切にしました。

単元計画
本時の展開

調べたことを[マインドシート]で整理し、「構成メモ」で流れを考える

情報を集める段階(第2~3時)では、[マインドシート]を使って、「青いカードは資料名」「赤いカードは調べた内容」と色分けして、関連する情報を整理しました図1。[マインドシート]は、スペースの拡張や色の変更、カードのつなげ方を自分なりに整理できるので、どの子も積極的に取り組めていました。

調べたことを記録、整理する[マインドシート]
図1調べたことを記録、整理する[マインドシート]

構成を考える段階(第4~5時)では、始めに配付した[発表ノート]のうち、構成メモのノートを活用して「はじめ、なか、おわり」の内容を考えさせました図2。調べたことをそのまま書くのではなく、一度構成メモで整理し、「どのような順で書くか」「何を書くか」はっきりさせてから本文に入らせるようにしました。

はじめ、なか、おわりの内容・つながりを考える「構成メモ」
図2はじめ、なか、おわりの内容・つながりを考える「構成メモ」

なお、単元のはじめに[発表ノート]を[ライブ公開提出箱]に提出させ、全員分のノートをいつでも見られるようにしています。これにより、子どもたちは単元を通じて、自分のペースで進めながら、必要に応じて友達の構成や文章を見て、参考にしながら学びを進めることができました。

構成メモマインドシートライブ公開提出箱
子どもが[発表ノート]を行き来し、主体的に取り組む

本時(第6時)は、構成メモをもとに、本文を書いていく時間です。授業のはじめには、漢字や音読といった、いつもの学習活動を行い、その後、めあてを確認してから本文の作成に入ります。全員が同じタイミングで同じ作業をするのではなく、自分の進み具合に合わせて書いていきます。

[発表ノート]は、構成メモ・リーフレット本文・調べた内容(マインドシート)が1つのノートにまとまっているので、書きながら構成メモを見直したり、必要な情報を確認したりできます。「ここどうやったっけ」とシートを何度も見返しながら取り組む児童の姿が見られました。

また、[ライブ公開提出箱]で友達の様子も見られるため、「同じくらいの進度」の友達のノートを参考にしたり、「先に進んでいる子」の文章を見て書き方を考えたりする様子もありました。一人でずっと書き続けるのではなく、時には、まわりの友達に相談したり質問をしたりしながら進めていました写真1。

[ライブ公開提出箱]での相互参照や対話で図かんづくりを進める
写真1[ライブ公開提出箱]での相互参照や対話で図かんづくりを進める

[ライブ公開提出箱]は、教員も活用しています。端末で児童の画面を確認しながら、机間指導を行いました。全体の進み具合を把握しながら、「段落のつながりやまとまり」「引用の位置」といった指導のポイントとなる部分をチェック。個に応じた助言ができ、効果的な支援につながりました。

単元の最後に行った交流でも[ライブ公開提出箱]を活用しました。完成した作品を学級で相互に読み合いました。感想の共有については、「直接書いてもらった付箋をもらえたほうが嬉しい」という子どもたちの声を取り入れ、図鑑の閲覧はデジタルで、感想は付箋に書いて手渡す形式で進めることに。一言添えて付箋を渡し合う姿が見られ、どの子も満足そうな様子でした。

「図書室に行こう」と声を掛け合い、休み時間に調べに行く姿も

図3児童が作成したリーフレットの文章。「はじめ、なか、おわり」や改行などを意識して取り組めている

今回の学習では、子どもたちは最後まで主体的に学ぶことができていました。調べる時間が足りないと感じた子どもたちが、「図書室に行こう」と声を掛け合い、休み時間にも本を探したり調べたりしに行く姿が頻繁に見られました。実際に半数近い子が自主的に学習を進めたり調べたりしていて、楽しみながら取り組んでいる様子がありました。

また、書き進め方にも特徴が見られました。自分だけで書き進めるのではなく、友達の構成や文章を見に行き、「こういう書き方もあるんだ」と参考にしながら進めている姿がありました。[ライブ公開提出箱]で、お互いに見られる状態にしていたことで、自然とそうした学び方になったのだと思います。内容面についても、一定の成果が見られ、「説明の順序」「段落のつながりやまとまり」「引用の仕方」といった点を多くの子が理解して書けました。構成メモをもとに書くことで整理して考えられていた様子でした図3。

友達の考えを参考にしながら、自分のペースで進められた

ICTの活用については、いくつかの良さが見られました。まず、一人ひとりの進め方に合わせて取り組め、1つの[発表ノート]で全ての学習が完結できるようにしていたことにより、各活動がシームレスにつながったことです。例えば、調べ学習→構成メモといった活動の境目がスムーズにつながり、いつでも簡単に見返すこともできました。この効果は大きかったです。普段、書くことに苦手意識のある子どもも、修正を繰り返したり、調べた情報をもとに構成を考えたりしながら積極的に取り組めていました。

さらに、先述の図書室の例のように、授業の中だけで終わらず、そのまま続けて取り組む様子も見られました。端末を開けばすぐに書けるため、休み時間や家庭でも気軽に続きができ、結果として自主的に学ぶ姿がたくさん見られました。

もし、紙で同じことをやろうとすれば、ここまで子どもたちが積極的に取り組んだり、子ども同士で自然に参考にしあったりするような姿は見られなかったのではないかと思います。ICTが特別なものではなく、「開けばすぐできる」「普段から使っている」ものとしてあることで、子どもたちがそれぞれのペースで、主体的に学べたのだと考えています。

すぐに書けて、いつでも友達の考えを参考にできる環境が大切

ICTは子どもがやりたいことを「やりやすくしてくれるもの」だと思っています。[発表ノート]や[ライブ公開提出箱]のように、「すぐに書ける、いつでも見られる、友達の考えを参考にできる」という環境があったことで、学びを進めやすくなりました。こうした環境の中で学習を続けてきたことで、子どもたちの中にも、自ら学ぼうとする姿が日常的に見られるようになってきました。市が行う学習状況調査でも、全ての教科において平均を上回る結果でした。日々、主体的に学ぼうとしている姿と無関係ではないと思います。

今後もこのような学びを続けていく中で、お互いに影響を与え合い、それぞれが伸びていき、やがて学校全体によい影響を与える存在になっていってほしいと考えています。

(2026年6月取材 / 2026年9月掲載)