実践レポート
小学校4年 社会

児童が自ら「探究のサイクル」を回し、地域の特色に迫る

児童の「自走」と教員の「見取り」を『SKYMENU Cloud』が支援

千葉県松戸市立上本郷第二小学校の廣瀬 真実 教諭は、自走・自律できる児童の育成をめざし、児童が主体的に意思決定・選択しながら学びを進める授業づくりに取り組んでいます。全17時間で情報の収集や整理・分析、まとめ・表現を通じて探究を繰り返す社会科の授業を取材し、児童の「自走」を支援する工夫や、教員の見取りを支える『SKYMENU Cloud』の役割についてお伺いしました。

廣瀬 真実

千葉県松戸市立上本郷第二小学校 教諭

一人ひとりが課題を持ち、「情報収集」「整理・分析」「まとめ・表現」し、自走

本校は、通常学級12クラス、特別支援学級4クラスの児童365名が学ぶ中規模校です。学校教育目標「知・徳・体のバランスのとれた生きる力を身に付けた児童の育成 ~自走・自律できる生きる力をもった『かみにの子』の育成~」を掲げ、教員全員で授業改善に取り組んでいます。

私が『SKYMENU Cloud』などのICTを授業に取り入れ始めたのは、本校に赴任した2021年度からです。研究主任を務めるなかで、全国学力・学習状況調査の分析を通じ、「複数の情報を整理・活用する力」をより向上させる必要性を感じました。そこで、2024年度からは研究主題を「情報を正確に理解し、自分の考えを表現する力の育成」に設定。2025年度には文部科学省の「リーディングDXスクール事業」の指定を受け、先進校への視察や公開授業などに取り組んできました。

研究を通じ、児童が「自走」するためには一斉指導を見直す必要があると痛感し、この1年で授業スタイルを大きく変えました。必要に応じて一斉授業を行いながら、児童自らが意思決定・選択できる場面がより多くなるよう、授業をデザインしています。

その核となっているのが、2学期から始めた「探究のサイクル」です。児童一人ひとりが課題を持ち、「情報収集」「整理・分析」「まとめ・表現」といった学習を行うことで、児童が「自走」しやすくなると考えています。今回は『SKYMENU Cloud』を活用し、「探究のサイクル」を回しながら3つの課題に取り組んだ、4年社会「県内の特色ある地域」の実践をご紹介します。

児童が本時でまとめた[発表ノート]
児童が本時でまとめた[発表ノート]

一つの単元内で「探究のサイクル」を繰り返す

本単元では、小学校中学年の副読本「のびゆく松戸市」に取り上げられている自治体について調べ、自然環境や歴史と産業のつながり、地域の発展について考えます。

今回は、銚子市・館山市・南房総市と特色ある産業(水産業、房州うちわ、花づくり)を題材に、全17時間の授業を計画しました。このうち11時間は個別協働の時間とし、「なぜその産業が盛んなのか」「どのような工夫がされているのか」という課題に対して、児童一人ひとりがめあてを立て、調べ、交流し、振り返る――というサイクルを繰り返しました。

黒板のマグネットや[ライブ公開提出箱]で友達の状況を知り、交流

ここからは、館山市・南房総市の房州うちわについての課題に取り組んだ第9時を例にご紹介します。授業の導入で必ず使うのが、Microsoft Excelのシートを共有化した「振り返りシート」です。「何を・どのように・誰と」の3点を意識しながら、めあてを記入させます。本時では、「友達と交流して、房州うちわはなぜ今も新しく作られているのかを調べる」「[発表ノート]を書くのが得意な人と交流したい」といった記述が見られました。

めあてを入力し終えたら順次、本時で重視するキーワードを黒板に書き、名前のマグネットを貼ります。私は先ほどのシートを読んで児童が取り組む内容を把握しますが、子どもたちはあまり見ません。そのため、黒板を見れば「誰が何をするか / しているか」がひと目で分かるようにしています。

もう一つ、子どもたちが友達の考えや進捗を確認するのに活用しているのが、[ライブ公開提出箱]です。授業の初めに[発表ノート]を[ライブ公開提出箱]に提出させ、それぞれのタイミングで参照できるようにしています。ほかの教科でも使う機会を多く設けているので、児童は慣れた様子で活用しています。課題で何か分からないことがあったときに使うだけでなく、次に交流する友達を探す際にも役立っています。

「○○さんに聞いてみたら?」と児童に声をかけ、つなぐ

写真1子どもたちを見取り、声をかけ、つなげる

本時でも、[ライブ公開提出箱]で友達の[発表ノート]を見ながら進めたり、端末に[発表ノート]を映し出しながら友達に説明したりと、楽しそうに学ぶ子どもたちの姿が、教室のあちこちで見られました。

このような個別協働の時間で私が常に意識しているのは、「全員に聞き、つなげる」ことです。日頃から子どもたちには、「目的を持って動こうね」と繰り返し伝えています。その上で、私は「なぜ立ち歩いているの?」「目的は何?」と積極的に声をかけています。

例えば、本時で悩んでいる様子の児童がいたので話しかけると、「房州うちわの工夫についての課題が分からない」と言いました。[ライブ公開提出箱]を見たり立ち歩いたりするなかで、その課題について多く記述している児童を把握していたため、「○○さんに聞いてみたら?」と伝え、つなぎました。

授業前に毎回「振り返りシート」をしっかり確認するのは、時間がなくて難しいこともあります。[ライブ公開提出箱]を活用すれば、子どもたちの進捗状況を一覧かつリアルタイムで把握できるので、大変重宝しています。[ライブ公開提出箱]、「振り返りシート」、マグネット、机間指導などすべてを通じて見取り、意思を聞き、つなげる役割を担っています。写真1

板書、掲示物、[画面一覧]など児童を見取りやすい教室環境に

写真22学期は「探究のサイクル」を掲示し、意識させた

見取りと支援のさらなる充実に向け、学習環境づくりにもこだわっています。例えば、子どもたちに「探究のサイクル」を意識してもらいたいという思いから、2学期の間は写真2のように「授業の流れ」を掲示していました。ある程度浸透したと感じたので、3学期はあえて外しました。「学び方」を重視するようになった結果、子どもたちの成長や変化に伴って掲示物を変える意識がより強まったように思います。

また、全体計画は教室内に掲示するとともに、「今、どの段階を学習しているか」についても併せて矢印で示しています。このほかにも、拡大教科書を掲示したり[画面一覧]を大型提示装置に映したりと、自分なりに工夫しています。

あえてアナログな部分も残している理由は、すべてを端末に集約すると、児童一人ひとりが今何をしているのか、把握しきれなくなるからです。「あの子は今、教科書を見返したいから拡大教科書の前にいるな」「あの2人は大型提示装置を見ながら話しているから、次の交流相手を探そうとしているのかな」といったように、所々で児童の状況を確認できるからこそ、的確な支援につなげられているように思います。また、一斉指導の割合を減らした分、「ここぞ」という全員の視線を集めたい場面においても紙の掲示物が役立っています。

単元を貫く「振り返りシート」や[発表ノート]で、学習の積み重ねを実感

授業の最後には、めあてと同じシートに振り返りを記入させます。書くときのポイントとして伝えているのは、「めあてを達成するためにしたこと」「そのなかで分かったこと」「分かったことから自分が考えたこと」「次の時間にやりたいこと」の4つです。当初はなかなか書けませんでしたが、ほかの教科でも繰り返し行うことで少しずつ文量が増え、質も高まってきました。

また、児童自身の振り返りには[発表ノート]も役立っています。紙のノートは提出してしまうと、何を書いていたのかを思い出しづらい面がありますが、[発表ノート]は学習の記録として手元に残るため、必要なときにすぐ見返せます。本単元では特に、17時間分の学習が1冊にまとまったことで、子どもたちは学習の積み重ねをより実感しやすかったのではないでしょうか。一連の流れが分かり、私自身も添削や評価を行いやすかったです。

児童が本時で記入した「振り返りシート」
児童が本時で記入した「振り返りシート」

教員と一緒に「情報収集」や「整理・分析」を学ぶ時間も必要

「探究のサイクル」を3回繰り返した後は、単元の終末で一斉指導を2時間行いました。このとき、あえて「まとめ・分析」だけでなく、教員と一緒に「整理・分析」について学ぶ時間も確保しました。4年生のうちから、情報収集や整理・分析の力をさらに身につけさせたいと考えているからです。

本単元では、3つの地域の違いや共通点について、Yチャートの形で[発表ノート]に整理させました。大型提示装置に映し出しながら、「○○さんはこう整理したんだね」「ここが共通しているね」と、確認し合いました。「この時間は情報収集をしようね」と一定の制限を設け、教科書にメモしたり関連性を見いだしたりする練習も必要だと感じます。

このように、「情報収集」「整理・分析」「まとめ・表現」それぞれの手法を知り、繰り返し練習することで、高学年に上がったときにサイクルを自力でどんどん回せるようになると考えています。そのために、操作がシンプルな『SKYMENU Cloud』を低学年のうちからたくさん使い、基本的な操作に慣れておく。そして、中学年から「質」を高める学習を行うことが、「自走」の力につながっていくのではないでしょうか。

必要な支援を通じ、主体的に「探究のサイクル」を回せる児童に

この1年で、子どもたちは大きく変化しました。授業に集中していない児童はおらず、全員が何かに取り組み、動いていることが分かります。以前は受動的だった児童の積極性も増しました。自分の考えを持てるようになったことで、その成果を聞いてほしいという気持ちが高まっているのだと思います。

また、昨年度と今年度の学力テストを比較したところ、4年生は全項目で数値が向上していました。特に、これまで中間層だった児童に前向きな変化が見られました。児童も設問も違うので単純比較はできませんが、授業スタイルを変えた一つの成果として受け止めています。

何よりも、教員主導で教えるより、一人ひとりが自分から知りたいことを調べ、深く掘り下げていくときの方が、子どもたちは楽しそうな表情をしています。児童が主体的に「探究のサイクル」を回し、必要なときには一斉指導を取り入れる現在のスタイルを、これからも研究していきたいと思います。

(2026年3月取材 / 2026年8月掲載)