学習課題との“出会い”を重視し、
楽しみながら学ぶ授業に
千葉県習志野市立鷺沼小学校の諸岡 大輝 教諭は、『SKYMENU Cloud』の[発表ノート]機能を活用し、授業の導入やレクリエーションに使える教材を多数作成。コミュニティサイト「SKYMENU Teacher’s Community」で積極的に発信しています。楽しい教材を通じて、児童が学習課題と「出会い」、気づきを得ながら学びを深める授業の様子や、教材づくりの工夫について取材しました。
諸岡 大輝
千葉県習志野市立鷺沼小学校 教諭
『SKYMENU Cloud』の活用で、意見共有や他者参照がより円滑に
本校は習志野市の中心部に位置する、児童数約670名の中規模校です。私は教員4年目で、今年度は6年生の担任を務める傍ら、情報主任として校内のICT活用を推進しています。また、当市では、今年で5期目となる「ICTマイスター」制度が実施されています。各校から毎年1名が校長の推薦により任命され、ICT活用の推進役を担います。私は2年前に第3期生として活動し、今年度は第5期生の先生を支援する立場で、校内研修や教材作成、活用促進のための資料整備などに取り組んでいます。
そうしたなか、当市ではGIGAスクール構想第2期整備を前に、2025年5月より学習者支援ツール『SKYMENU Cloud』が整備されました。これまでは、OSに標準された学習用ツールや電子黒板、実物投影機で実践していましたが、そこに新たに『SKYMENU Cloud』が加わることで、意見共有や他者参照がより円滑に進められるようになりました。
手で動かせて楽しい[発表ノート]教材で、学習課題と“出会う”
私は、児童と学習課題との「出会い」を大切にしたいと考えています。学びの入口で「おもしろそう」「やってみたい」と感じられるかどうかは、その後の主体的な取り組みに大きく影響するからです。
そのため、授業では実物提示や体験を通じて、児童の興味を引き出す工夫をしてきました。例えば、昨年実践した社会の授業では、かつお節を実際に削って見せ、五感を刺激。児童の「見たい」「触りたい」「もっと知りたい」という気持ちが自然に湧き上がるような場をつくるように心掛けていました。
一方で、算数や国語など、実物や体験からスタートすることが難しい単元や題材もあります。そこで、デジタル教材を工夫することで、学習課題との「出会い」を少しでも豊かにできないかと考えました。これまでは、Microsoft PowerPointを用いて教材を作成し、児童が手を動かしながら楽しんで取り組める課題を用意してきました。『SKYMENU Cloud』が導入されて以降は、それらを[発表ノート]に移行。Microsoft PowerPointのデータは[発表ノート]に簡単に取り込めるので、教材作成にそれほど苦労はありませんでした。
[発表ノート]で作成した教材は、操作性が良く、児童の学習活動がよりスムーズになったと感じています。例えば、[方眼]機能の「オブジェクトの吸着」の仕組みです。図形がグリッド線にぴったりと吸着するように動くため、図形の操作を伴う教材づくりにおいて効果的です。ほかには[ペン]機能も使いやすいです。例えば、国語の教材では「じはやふる」という部首だけ書いたマスを多数貼りつけた教材を作成しました。マスの空白の部分に、児童が[ペン]で書き込み、漢字を完成させるというものです。画面右側に常に描画ツールが表示されているので、書き込みがしやすく、児童は楽しみながら取り組んでいました。
6年算数「円の面積」
導入で取り組んだ[発表ノート]教材が、本時のねらいに迫る“伏線”に
は、6年算数「円の面積」の単元で活用した教材「円ブレム」です。これは授業の導入で使用することを想定した教材で、一つの円を4分割したパーツを並べ替えて、指定された形を作るパズルです。児童は、パズルを通して図形に親しみながら、自然と構造に目を向けるようになります。
このパズルで作った複雑な形の図形は、後に面積を求める課題として登場します。いきなり複雑な図形を見て面積を求めるのはハードルが高いものですが、先にパズルに取り組んでいたことで、児童の多くが「元は一つの円だったパーツを動かしただけだから、面積も円と同じだ」と自然に気づくことができました。
また、中心角90度のおうぎ形の面積を求める場面では、「パズルのときの形だ」「円の4分の1だ」と口にする児童も見られ、導入での活動がその後の学習につながっていることを実感しました。
授業で使う教材には、“遊び”の要素が重要です。パズルやかるたなど、児童が楽しみながら考えられる活動を通して、最終的に本時のねらいにつながる“伏線”となるよう設計しています。
6年算数「体積の求め方のくふう」
導入5分のパズル教材で、「どこを底面と捉えるか」を意識させる
[発表ノート]を授業の伏線として活用した例として、同じく6年算数「体積の求め方のくふう」という単元での実践があります。本時はこれまで体積の求め方として学習してきた「底面積×高さ」という考え方を応用し、複雑な図形の体積を求めていく内容です。
授業の冒頭では、ブロックを動かして底面の形を作る[発表ノート]教材を配付し、全員で取り組みました。この教材に取り組むことで、児童は柱状の図形であればどんな形であっても、「底面積×高さ」で求められることに気づき、本時のねらいに迫れるようにしています。
その後、本時の学習問題を貼りつけた[発表ノート]を配付。まずは個人で問題に取り組む時間を5分ほど設定しました。児童の端末を確認しつつ、解答が出そろってきたら[ライブ公開提出箱]に提出するよう声を掛けていきます。そこで、解答までたどり着けず悩んでいた児童は、友達のノートを参考にしながら再度答えを求めていました。また、解答を求める方法が一つではないことを伝えて、すでに解き終わった児童にもほかの解答を探すよう促します。
このような授業展開において、[ライブ公開提出箱]は重宝します。高学年になると、「自分の答えは合っているかな」「間違ったことを書いていないかな」と不安に感じる児童も少なくありません。[ライブ公開提出箱]で、友達の[発表ノート]をリアルタイムで参照できるため、考えや進捗を確認することができ、一つの安心材料になっているようです。
また、教員側にもメリットがあり、手元の教員用端末で児童の考えをリアルタイムかつ一覧で把握できます。答えが分かっていても、自分から発言したり、発表したりしない児童はいるので、こちらから意図的に指名して発言を促し、さまざまな考えや意見を取り入れながら授業を進めています。
[画面提示]で考えをテンポ良く発表
授業の終末では、複数の児童を指名し、[画面提示]で電子黒板に[発表ノート]を投影しながら発表しました。スムーズに投影できることに加え、[比較表示]などで異なる考え方を並べて投影することもできます。以前と比べて便利になった部分です。
本時では、3名の児童がテンポ良く発表し、最後にどの解き方も「底面積×高さ」で求めていることを全体で再確認できました。[ライブ公開提出箱]で友達の解答や式を確認すると、ほとんどの児童は底面を見つけて、体積を計算することができており、本時のねらいに迫ることができたと感じています。
[発表ノート][ライブ公開提出箱]で広がる、児童の表現力、思考
『SKYMENU Cloud』の[発表ノート]を活用するようになって、特に感じているのは、児童の表現力や思考の広がりです。図形に色分けして書き込んだり、立体の一部に色を塗って体積を表したりと、操作のしやすさが工夫を促し、児童が自分の考えを表現する力を高めてくれています。
また、紙のノートに比べて、書いたものをきれいに、手早く消せるため、「ひとまず何か線を引いてみようかな」と気軽に問題に取り掛かる姿が見られるようになりました。こうした操作性の高さが、児童の試行錯誤を支え、考えを深めるきっかけになっていると感じます。
さらに、複数の解法を考える環境が整ったことも、大きな変化の一つです。これまでは、紙のノートで1つの解法を書いたら終わりにしてしまう児童が多く見られましたが、[発表ノート]ではコピー機能で図形やページをすぐに複製できるため、別の解法に挑戦する姿が自然と見られるようになりました。[ライブ公開提出箱]で友達の視点に触れたり、自分と友達の考えを比べたりする場面が増えたことも大きいです。
教員の教材準備の負担も軽減されています。これまではデジタルの教材以外にも紙の教材をかなり用意していて、印刷してから切って、貼って……と準備が必要でした。発表や板書用に大きく印刷した紙や画用紙も多数用意したりしていました。今は、多くの児童が[発表ノート]に書き込んで回答するため、紙の教材を準備する量がずいぶん減りました。[発表ノート]は、デジタル教科書などの画像をコピー&ペーストで手早く学習課題を作成して配付できるので、とても効率的になりました。
[気づきメモ][ポジショニング]で、多様な意見を可視化し共有する
『SKYMENU Cloud』の活用は、授業だけでなく委員会活動にも広がっています。本校では、2024年度から5、6年の児童約20人で構成された「情報委員会」を立ち上げました。この委員会では、タブレット端末の正しい使い方や学習にお勧めのアプリを紹介するおたよりを作ったり、低学年のクラスに端末の使い方を教えに行ったり、タイピング大会を企画したりと、児童が主体となってさまざまな活動をしています。
委員会の活動内容をメンバー全員で話し合う際に活用しているのが、[気づきメモ]です。例えば「端末の使い方についての問題点」などの議題で話し合う際に、委員の児童にそれぞれの意見をメモ書きのように投稿させました。意見出しの場面では、まずは委員の児童からたくさんの意見を表出させることが重要です。[気づきメモ]なら一人ひとりが発表するよりもテンポ良く意見が出ますし、ほかの友達の意見を参考にして、次々と意見が投稿されます。
最終的には、全員で[気づきメモ]を見て、どのような意見が出たのかを確認し、委員長の児童を中心に多く挙がった意見を取りまとめていきました。タブレット端末の活用における問題について、「夜遅くまで使ってしまう」「落としてしまう」のほかに「危険なWebサイトにアクセスしてしまう」といったセキュリティ的な課題も集まり、児童主体で多様な観点からの話し合いができたと感じています。
一人ひとりの意見を大切にするという点でいえば、2025年9月のアップデートで、背景画像を自由に設定できるようになった[ポジショニング]機能も活用しています。学級活動での運動会のスローガン決めやイベントの役割分担などの場面で、表を作って背景に設定。自身が希望する項目にマーカを置いてもらい、個々の希望や意見を募りました。マーカを置く際、ほかの児童がどこに置くのかは分からないので、児童が意見や考えを率直に表明できるという良さがあります。誰が、どの項目を希望しているのかが視覚的につかめるのも良い点です。まだ使い始めたばかりですが、さまざまな場面で応用できると期待しています。
楽しく学べる教材を発信し、より多くの子どもの学びを支えたい
ICTマイスターとして、今後も『SKYMENU Cloud』などのICT活用を校内外に広げるための取り組みを続けたいと考えています。その一環として、私が作成した[発表ノート]教材は、[グループフォルダ]を活用して校内で共有したり、全国の先生方が参加しているコミュニティサイト「SKYMENU Teacher’s Community」に教材を投稿したりしています。校内の先生方からの感想やコミュニティサイトに寄せられる全国の先生方からのコメントや「いいね」が、次の教材づくりへの励みとなっています。
教材作成を通じて、目の前の子どもたちだけでなく、全国の子どもたちの学びに関われる。その事実が、何よりうれしく、やりがいを感じています。これからも、子どもの学びに寄り添い、楽しみながら学べる教材や実践を発信し続けたいと思います。
(2025年9月取材 / 2026年1月掲載)