授業でのICT活用

実践レポート

渡辺康夫 教諭

インターネットの影の部分を学ぶ

―ビデオ映像など多様なメディアを利用し、子どもたちの理解を深める―

渡辺 康夫(千葉県船橋市立行田東小学校 教諭)

船橋市立行田東小学校は、「情報と主体的に関わる子をめざして」を研究主題として、子どもたちの情報活用能力の育成を図るために、さまざまな教育活動を推進しています。
このほど、ICTを活用した授業実践に取り組まれている渡辺康夫教諭にお話を伺うとともに、コンピュータ教室などを使って行われた6年生「総合的な学習の時間」の授業を取材しました。 ご使用ソフトウェア:SKYMENU Pro

(2006年12月取材)

コンピュータ教室で行われた6年生「総合的な学習の時間」(題材名:危ない・危なくない(インターネットの向こう側))の授業の様子

かんたんログオン画面で個人認証を行う

かんたんログオン画面今回取材させていただいたのは、6年3組、総合的な学習の時間「危ない・危なくない(インターネットの向こう側)」という題材の2時間目の授業。子どもたちがインターネットやメールの影の部分について調べ、その結果を発表する内容だ。

渡辺教諭が、コンピュータの電源を入れてログオンするように指示すると、子どもたちは、IT活用教育支援ソフトウェア『SKYMENU Pro』の[かんたんログオン]画面から、学年、組、自分の名前を選んでログオン。渡辺教諭は、教員機の[標準操作パネル]上で、子どもたちがログオンしたことを確認し、本時の学習活動について説明を行った。

インターネットを使って調べる方法の説明では、[教員画面送信機能]を使って、参考になるWebページを提示し説明を行った。

3つのグループにわかれて、調べ学習を行う

ビデオ映像を学習者機のモニター画面で視聴する子どもたち全員でメールの危険性について啓発する内容のビデオ映像を視聴した後、コンピュータ教室、図書室、家庭科室の3つの教室にわかれ、グループ別にインターネットやメールの危険な部分について、調べる活動を始めた。

図書室で調べ学習を行う子どもたちと家庭科室でビデオ映像を視聴する子どもたちコンピュータ教室では、インターネットを使って、図書室では、渡辺教諭が準備していた本や新聞の切り抜きを使って、家庭科室では、そこに設置されている大画面モニターでビデオ映像を視聴して、各自が気づいたことを記録用シートに書き込んでいった。

授業の後半には、再び全員がコンピュータ教室に集合し、調べたキーワードを発表し合った。このとき、学習者機には、子どもたちが発表に集中できるよう、[キーボード・マウスロック機能]でロックが掛けられていた。

子どもたちが調べたキーワードを模造紙に書き込み指示。渡辺教諭は、発表されたキーワードを、インターネットのWebサイトに関連するもの、メールに関連するものに分類し、黒板にはった模造紙に書き込んでいく。そして、発表されたキーワードについて、補足説明を加えながら、インターネットやメールには、さまざまな危険性が潜んでいることを指導された。

インターネットの危険性を実感させ、理解させる

渡辺教諭に、今日の授業のねらいや、指導上の留意点についてお伺いした。

「インターネットの世界が、子どもたちの中にもどんどん入ってきています。本校でも、多くの子どもたちが携帯電話を持ち始めています。そこで、今回の授業では、インターネットの世界には危険が待ち構えているかもしれないことを、子どもたちに実感させ、理解させることを主眼に置きました。そのために、前回の授業の導入部分では、小学生が出会い系サイトへのアクセスから危険な目に遭遇した事件の報道番組の一部を見せました。インターネットの危険性について、身近な問題としてとらえるきっかけとして効果がありました」

さらに、今日の授業の指導上の留意点については、「危険性に関連したキーワードを、さまざまな形で調べ、まずは見つけて来ることを指示しました。調べてきたキーワードには、さまざまな言葉が混じっていましたが、できるだけ多くのキーワードを発表させることがポイントでした。今までに聞いたことのある言葉や、初めて知る言葉もある。それをみんなで発表し合いながら、何か怪しい世界があることを感じさせ、インターネットの向こう側には、人がいることに気づかせることに留意しました」といわれる。

メディアの特性を学習活動に活かす

複数のメディアを使って学習を行ったねらいについては、「複数のメディアを利用することで、各メディアの特性に気づかせること、課題に即した適切な情報を複数取り出すことを目標としました。例えば、図書は、内容は安定していますが、情報が古くなっている部分もあります。一方、インターネットは、子ども向けのページでも、文字量が多かったり、こちらが意図した内容でない場合もあるかもしれませんが、情報量は圧倒的に多いです。この2つのメディアを使って調べることで、情報と情報のつながりや、情報の質の差に気づかせたいと考えました。また、ビデオ映像は、子どもたちへのインパクトが強いので、学習の動機付けに効果があると考えました」とねらいをお話いただいた。

クライアント復元機能でコンピュータが安心して利用できる

『SKYMENU Pro』の利用状況については、「本校では、平成18年の夏に、『SKYMENU Pro』が新しいバージョンになりました。以前から『SKYMENU Pro』を利用していましたが、さらに使いやすくなったと感じています。まず、インタフェースが改善され、マニュアルを見ないでも直感的にさまざまな機能が使えるようになりました。また、 [ワンタッチキー]が付属されたことで、より簡単に使えるようになったと思います。[クライアント復元機能]も重宝しています。コンピュータに詳しくない子どもは、デスクトップの環境が変わっていると、それだけで戸惑います。[クライアント復元機能]により、再起動するだけで初期設定の環境に戻りますので、安心してコンピュータを利用できるようになり、助かっています。さらに、[かんたんログオン機能]も大変便利です。本校では1年生から6年生まで、この機能を使って個人認証を行っています。個人認証を行うことで、自分専用のフォルダにデータの保存が簡単に行えるので、授業がしやすくなりました」とお話をいただいた。

総合的な学習の時間 指導案

学校紹介
千葉県船橋市立行田東小学校

千葉県船橋市立行田東小学校

「人間性豊かで、たくましい子どもの育成」を学校教育目標に、「楽しくて一人ひとりのよさが発揮できる学校」をめざして教育活動を展開。平成17年度より、文部科学省が進めている「地上デジタルテレビ放送の教育活用促進事業」のモデル校として、デジタルテレビ放送を授業で効果的に活用するための研究にも取り組まれている。

http://www.city.funabashi.chiba.jp/gakkou/0001/gyoudae-e/index.html