授業でのICT活用

実践レポート

梅村好道 教諭

迷惑メールを見極める力と判断力を

―「こんなメールが来たらどうする」―

梅村 好道(岐阜県関市立旭ヶ丘小学校 教諭)

関市立旭ヶ丘小学校は、「仲間との学び合いの中で、確かな学力を身に付ける学習活動の工夫」を研究主題として、子どもたちの基礎学力の定着を図るために、さまざまな教育活動を推進しています。このほど、同校の梅村好道教諭が、コンピュータ教室を使って指導された、3年1組、総合的な学習の時間「メールを楽しく使おう」の授業を取材しました。 ご使用ソフトウェア:SKYMENU Pro

(2007年2月取材)

コンピュータ教室で行われた3年生「総合的な学習の時間」(単元:情報モラル:メールを楽しく使おう)の授業の様子

ユーザID、パスワードを入力してログオン

本時は、IT活用教育支援ソフトウェア『SKYMENU Pro』の[メール機能]を使って、コンピュータ教室内でメールの交換を行い、電子メールで情報の受発信を行う際のマナーや気をつけることなどを学習。そして、チェーンメールやデマメールなど迷惑メールを受け取った際に、適切な判断、対応が行えることが目標だ。

まず、子どもたちが、Windowsの画面から、ユーザID、パスワードを入力して、ログオンを行った。

楽しそうにメールを作成する子どもたち梅村教諭は、前時の振り返りとして、電子メールを使って情報を発信するときに、気をつけることを子どもたちに確認。楽しそうにメールを作成する子どもたちメールを受け取った人が、いやな思いをしないように気をつけること。遊び半分で発信したことが、相手を傷つけたり、犯罪行為になるケースもあることを復習した後、[メール機能]を使っての実習が行われた。

アドレス帳から送り先を指定

メールの受信者をアドレス帳から選択メールの送り先の設定は、[みんなのアドレスちょう]の中に登録されている[なまえ]の一覧から選択し、[メールをうけとるひと]に登録して行う。[なまえ]には、クラス全員のメールアドレスがあらかじめ登録されているので、マウス操作で簡単に送り先の指定が可能だ。ローマ字変換対応表とにらめっこしながらも、みんな楽しそうにメールの作成、交換を行っている。操作に困っている友達がいると、周りの子どもたちが自然に教え合っていた。

チェーンメールは止める勇気を

そんな中、突然、「メールがどこまで届くか実験中」という件名のメールが子どもたちに一斉に送られてきた。そのメールには、「9人にこのメールをおくってくれればいいのです」と書かれていた。梅村教諭は、メールの実習を中断し、[メッセージ送信機能]を使って「協力してほしいというメール、楽しそうなメールが来たとき、どうしたらよいか、考えがもてたらOKをクリックしてください」と全員にメッセージを送信。子どもたちの考えがまとまるのを待って、どのように対応すればよいのか問いかけた。メールの怪しい部分に書き込みをいれる

メールの怪しい部分に書込みをいれる「怪しいメールは開かない」、「内容を見て怪しい部分がないか調べる」、「この部分が怪しいのでは」と子どもたちは次々に発表を行う。梅村教諭は、先ほどのメールに、[ペン機能]を使って、子どもたちが怪しいと指摘した部分に書き込みを行い、どうしてこの部分が怪しいと思うのか、怪しいメールを受け取ったらどうすればよいのかを問いかけ、子どもたちの考えをさらに深めていく。その上で、何人に回しなさいというメールをチェーンメールということ。チェーンメールには、不幸の手紙のような内容もあること。チェーンメールが来たら止める勇気を持つことを指導した。

怪しい部分に気づくこと

さらに、「こんなメールが来たらどうする」と、人気のゲーム機が当選しましたので住所を教えてくださいという内容のメールを送信し、子どもたちに対応を考えさせた。

「後から住所を聞いてくることが怪しい」、「出した覚えがないメールに返信が来るのがおかしい」と、怪しい部分が子どもたちから挙げられた。それを受けて、このようなメールを受け取っても、返信してはいけないこと。ものすごく得な話が来たときは、相手が見えないインターネットの中では、十分に注意することを指導。

そして、授業のまとめとして、メールには、問題が含まれているメールが送られてくることもあるので、怪しい部分に気づくことが大事であること。多くの人に迷惑がかかるメールを他の人に送ることは、自分も悪いことをしていることだと自覚するように指導を行った。

総合的な学習の時間 指導案

INTERVIEW

情報教育への取り組みや、今日の授業のねらいなどについて、関市教育委員会 学校教育課 鈴木義成氏、関市立旭ヶ丘小学校の野村務校長、梅村好道教諭にお話を伺いました。

授業を支援するソフトウェアは不可欠
関市教育委員会 学校教育課 鈴木義成氏本市では、情報教育の授業の充実を図るためには、先生方の授業を支援する教育支援ソフトウェアは必要不可欠のものと考え、市内全ての学校に導入しています。導入するにあたっては、十分利活用が図られるよう、コンピュータの苦手な先生でも見た目がわかりやすく、簡単に使用できること、導入後のサポート体制が迅速に対応できることを重要なポイントとしています。
道具としての基礎・基本と情報モラルをバランス良く
関市立旭ヶ丘小学校 野村務校長小学校では、学習活動の中で、情報機器に慣れ親しみながら、道具として使いこなすことが求められています。本校では、さまざまな体験を通じて基礎・基本の指導に取り組んでいます。また、相手を思いやるといった情報モラルの部分の指導も非常に大事です。バランスをうまく取りながら指導していきたいと思います。
メール指導の必要性
関市立旭ヶ丘小学校 梅村好道教諭今日の授業について、「子どもたちの家庭にコンピュータがある割合等を調べてみると、大半の家庭にコンピュータがあること、そして子どもたちがそれを利用していることがわかりました。そこで、学校での情報モラル指導の必要性を感じ、小学校3年生でメールの指導を行うのは、少し早いかなと思う気持ちもありましたが、今回取り上げてみました」といわれる。
ローマ字の指導は4年生で行うため、ローマ字入力にてこずるのではと心配されていたが、ローマ字変換対応表を見ながら文字を入力し、メールを楽しく使っている子どもたちの様子を見て、その吸収力の速さに、梅村教諭も少し驚かれたという。
授業のねらいと効果については、「メールの実習を通じて、マナーや気をつけないといけないこと、やってはいけないことを身につけさせたいと考えました。迷惑メールを受け取ることや、迷惑メールには怪しい部分があることを学習することによって、メールのやり取りをするときは、十分に気をつけないといけないことが理解してもらえたと思います」
迷わずに使える操作性
また、[メール機能]については、「市販のメールソフトのような操作性で、機能もシンプルでわかりやすい点がよいと思います。3年生の子どもでも操作を迷わずに使えました。メールの送り先を1件1件登録する必要がなく、アドレス帳から簡単に選べることも便利です」と感想をいただいた。
 『SKYMENU Pro』の[メール機能]は、ActiveDirectoryに対応しているExchange Serverと連携することにより、ActiveDirectoryのアカウントをそのままメールのアカウントとして認識できるようになっている。また、[ユーザ情報保守]で登録したユーザを自動でアドレス帳に登録する機能が備わっているため、利用者がアドレス帳を作る必要がないことも特長の1つだ。
学校紹介
岐阜県関市立旭ヶ丘小学校

岐阜県関市立旭ヶ丘小学校

「心豊かでたくましい旭の子-わかるまで学ぶ子・なかまを思いやる子・体をきたえる子-」を学校教育目標に、算数科を通しての基礎学力の定着や、あいさつ、時間を守るといった良い生活習慣の確立を図るための教育活動を実践。自然や文化、人と「かかわり合う力」を育む体験活動も積極的に展開されている。