実践レポート
小学校4年セミナーレポート

[気づきメモ][発表ノート]で気づき・学び合う授業へ

中学年でもできる! 主体的な活用

宮崎 雄太 教諭

千葉市立小学校

児童の主体的な学びをICTで支える

私は千葉市内の小学校にて、4年生担任・ICT担当としてChromebook、通称“ギガタブ”や『SKYMENU Cloud』の活用を進めています。今回は、中学年における児童の主体的な学びや『SKYMENU Cloud』の活用についてお伝えします。

まず「主体的な学び」については、文部科学省「『個別最適な学び』と『協働的な学び』の一体的な充実」の資料の中で「学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら、見通しを持って粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげる」とあります。「見通しを持って粘り強く取り組み」「自己の学習活動を振り返って次につなげる」、この2点を意識し、授業づくりを行っています。

例えば、担任する4年生の学習でよく使うのが[気づきメモ]です。有用性を感じているポイントは、操作が簡単で振り返りの蓄積がしやすいこと、カメラも活用できること、そして、グループメモによる共有・協働も可能であることの3点です。うまく活用することで、文部科学省の示す「個別最適な学び」や「協働的な学び」の一体的な充実にも有効だと考えています。

[気づきメモ]で学びを振り返る

図工と体育の取り組みを例にお伝えします。まず私は、以前から体育や図工など実技教科の振り返りに課題を感じていました。特に児童へのコンスタントなフィードバックが続けられずにいました。児童が体育カードに記入しても、毎時間すべての児童のカードを見るのは難しく、ファイルに綴じて集めるという方法にもやりづらさがありました。図工では、完成後の振り返り程度になることも多かったです。

しかし、主体的な学びを実現するためには、児童が“なんとなく”制作や練習をするのではなく、意図や課題を明確にした上で、制作・練習をし、思考や活動に対して振り返り、次の活動につなげる必要があります。そのためには、教師からのフィードバックも大切ですし、可能ならば、児童同士での交流も行いたいところです。

そこで、『SKYMENU Cloud』の[気づきメモ]を使って、工夫したことやうまくできたこと、難しかったこと、次に頑張りたいことなどを児童が画像・動画と共に記録するようにしました。[気づきメモ]はSNSメッセージアプリのような操作感・画面構成で児童もすぐに慣れて使いこなしていました。

学びの過程を教師が見取る

図1学びの過程を写真と共に[気づきメモ]に残す

図1は、図工の「おもしろだんボールボックス」での[気づきメモ]です。段ボールをカッターで切り開き、思い思いのアイテムを収納する箱を作りました。児童からは「満足満足。」といった充実感を表すコメントや「切るので時間がおわった。」というコメントが写真と共に共有されました。後者の児童の言葉だけを見ると、マイナスなイメージを受けるかもしれませんが、実はこの児童の作品は怪獣をイメージしたもので、授業中ずっと熱中して歯のようなギザギザを切り出していたのです。写真からも、この児童が粘り強く取り組んでいる様子が見取れます。

また、別のある児童は当初、箱を縦長の向きで使おうとしていましたが、友達の様子を見たり、入れるものについて考えたりして、横長の向きで作ることにしたようです。完成した作品や単元の最後に書く作品カードや振り返りだけでは、児童が「どう考え」「なぜそうしたのか」といった思考をなかなか見取れません。それが[気づきメモ]なら、途中経過の写真から、児童の思考の変化や活動の流れも分かります。これは、特に図工のような実技教科で力を発揮するのではないでしょうか。

体育のマット運動では、[気づきメモ]を使って「どんな技をやって、どうだったか」「次はもっとこうしたい」などの振り返りを行いました。[気づきメモ]なら、動画の貼り付けや再生も簡単です。提出の操作やファイルを開いたりする必要なくフィードバックが行える点も重宝しています。

なお、当校では[気づきメモ]を使った振り返りや評価を実施しやすくするために、[教科・タグ]で「特別活動」「テスト計画&振り返り」「社会(グループ)」などのオリジナルのタグを設定しています。タグ設定により、指定した児童の、指定した[教科・タグ]での振り返りだけを確認することも可能です。設定した[教科・タグ]は学級単位でなく学校全体に反映されるので、ぜひ、学校でご相談の上、設定してみていただければと思います。

解き合いを前提にした問題づくり

方法1[提出箱]で閲覧、答え合わせ

算数の学習では、児童が作問をする機会がありますが、一人一台端末が無かった頃は、友達と作った問題を解き合うのも大変でした。ここでは、解き合いを前提にした[発表ノート]での作問の実践事例を紹介します。問題の性質によって、2種類の方法を使い分けました。「複合図形の面積を求める」学習では、[提出箱]で問題を共有する方法を採りました。ページをめくるだけで答え合わせができるようになっています。「○人分解けた!」や「○○さん、答えが間違っているかも」など活発な交流が生まれていました図2

図2提出箱で問題を共有し解き合う
解き合いの時間には、[提出箱]から友達が作った問題を閲覧し、解答した

方法2[グループワーク]で複製・直接書き込み

次は高学年の例になりますが、6年生の「対称な図形」で扱うマス目を利用した作図の問題は、直接書き込めることが重要だと考えました。そこで、[グループワーク]でノートを共有し、すぐに[グループワーク]を終了して友達のノートを複製してから解き合いを行いました。友達が作った様々な難易度の問題を意欲的に解いていく様子が見られました。紙に比べ共有が簡単な[発表ノート]を利用すれば、児童は解かれることを前提として作問できます。

そして、「友達の問題だからこそ解きたい」という意識もプラスに働きます。そもそも、その単元で理解すべきことを意識しないと作問もできません。紙で「作って終わり」だった作問とは違い、ICTを活用して「解き合い」が前提となり、主体的な学びにつながったことに加え、数学的な内容の理解も進んだと思います。

「知りたい」を生かして探究し、気づきを共有する

理科では、単元や時間ごとの専用の[発表ノート]を作成するのではなく、汎用的に使えるノートを用意しました。各班で自由に写真を入れたり、気づきを書いたり、インターネットで検索した画像を貼ったりして学習を進めています。「骨のつくりについて考えよう」の学習では、児童が自分の腕を観察し、触って確かめたり、骨格模型で気になる箇所を[カメラ]で撮影したり、インターネットで調べたりして、[発表ノート]にまとめました図3。模型の写真を撮影し、ポイントにペンツールで印を入れている班もありました。学習中、押さえておくべき事項を教師から伝え、追加で書き込んでもらったりもしています。

図3理科では汎用的な[発表ノート]を使ってまとめる

児童が調べたりした情報は[気づきメモ]でも共有しています。他者から学ぶという意味でも、他の班の気づきをどんどん見てもらうことを心掛けています。[発表ノート]なら、友達のノートを参照しながら自分のノートをまとめ、最終的に自分のノートだけを持ち帰ることも可能です。児童自身が探究したいことを深められるようにしているので、学びの個性化を図れています。

また、ノートに後からページを追加することも可能です。まとめや振り返りのときなどに使うページは、教師が任意のタイミングで[一覧]モードから[資料置き場]に置き、児童自身のノートに追加してもらいます。そうすれば、一つの単元のノートが1冊のノートにまとめられるため、学習全体の復習・振り返りにも有効です。授業全体を通して、児童が充実した実験や観察を行い、ICT活用によって生まれた時間的余裕を探究に充てることもでき、科学的な興味・関心の向上、ひいては主体性の育成にもつながっていると思います。

「学びのコントローラー」は誰のもの?

子どもたちが学びに主体的に取り組めているか、よく考えるようになりました。子どもたちが大好きなゲームでは、「今日はどこまで行って、レベルをどこまで上げなさい」など、人から指示されません。やりたいことを自分で決めて、自分で進められます。そして、もっとこうすれば良かったなと振り返り、工夫して、楽しみながら取り組みます。

では、授業はどうでしょうか。私たち教師が、「何をするか」「どのようにやるのか」を決めてしまう、コントロールをしている場面が多くはないでしょうか。今、子どもたちが一人一台端末を持ち、以前に比べ格段に主体的な学びが実現しやすくなっています。しかし、その実現には、私たち教師が抱えている「授業はこうあるべきだ」という感覚や意識の、大きな転換が必要だと感じます。もちろん、すぐにすべての教科・単元の授業をいきなり変えるのは難しいことです。そこで、家庭学習などの取り組みやすいところから「学びのコントローラー」を児童に手渡し、主体的な学び手の育成を進めていきたいと考えています。

(2024年5月掲載)