実践レポート
中学校1年 数学生徒1人1台の活用 1人1台 × SKYMENU Cloud

[発表ノート]で考え交流する立方体の展開図

単元名:立方体の展開図は何種類?

小田原 規之教諭

兵庫県西宮市立鳴尾南中学校

本時のねらい

立方体の展開図について生徒がより深く考えることができるようにするため、[発表ノート]の活用を工夫して作図の試行錯誤がしやすい学習環境を整えた。

[発表ノート]で作成した展開図をグループ交流につなげることで、様々な立方体の展開図を考えさせたい。[発表ノート]の特徴である個人学習から協働学習につなげることで考えを深めるとともに、展開図づくりの考え方を身に付けさせたい。

授業の実際

本市の研究グループ「情報教育」では、1人1台のタブレット端末を授業で活用する場面や方法についての研究を推進している。

本時では図形分野において、形の変化や移動をイメージすることが苦手な生徒が多いことに着目した。数学的操作を伴う授業では、生徒数の教具が必要だったり、試行錯誤する段階で図を描いたりする時間を要するという課題がある。そこで、本時では[発表ノート]の様々な機能を活用した。[方眼]設定を行った基本の展開図を用意することで、マス目に合わせて図形を変形させやすくなり、図形の変化や移動をイメージしながら個人思考の時間を十分とることができた。次に[グループワーク]で協働学習の時間をとり、グループメンバーの展開図を持ち寄り個人では考えられなかった展開図を考えさせた。回転移動や対称移動で同じ展開図となるものを検討したり、アナログ教材であるマグフォーマーを用いて実際に展開図から立体が組み立てられるか確認したりして、展開図づくりへの理解を深めさせた。

本時の展開

学習の流れ 主な学習活動 指導のポイント
(タブレット端末活用場面)
導入

①小学校の既習事項である立方体の展開図を復習する。

②他にも展開図がないか考える。

展開

③[発表ノート]で立方体の展開図を考え、組み立てられるかイメージする。

1[発表ノート]による作図(個人思考)

④個人で考えた展開図を[発表ノート]の[グループワーク]で共有し班で交流する。マグフォーマーで展開図を組み立てて確認する。 2班のメンバーの考えを[発表ノート]で共有(協働学習)
⑤何種類の展開図があるか全体で交流する。 3[発表ノート]を提出し全体交流
まとめ

⑥立方体の展開図が11種類存在することを確認する。

⑦展開図づくりの考え方を身に付ける。展開図の正方形のつながりに着目して立体化した場合の形をイメージしながら、11種類の展開図をいくつかのグループに分類する。

SKYMENU Cloud活用のポイント(効果と児童生徒の反応)

1[発表ノート]による作図(個人思考)

発表ノート、図形入力、オブジェクト操作、方眼、配付

▲ [発表ノート]の[方眼]に合わせて図形を移動させ、展開図を考える

1人1台のタブレット端末環境が整っていない状態で、今回のような学習内容を実施するためには、プリントの方眼紙に作図するしかなく、かなりの時間を要していた。本実践では[発表ノート]で課題を作成する際に、[方眼]を設定できたり、[方眼]に合わせて図形を移動させたりできる機能が非常に効果的であった。全体説明を行った後に、授業の流れを止めることなく、プリントを配る感覚で簡単にノートを配付できた。

生徒は図形を操作して、様々な展開図を考えることに集中して取り組んでいた。図を描くことが苦手な生徒や時間がかかる生徒にとっては、思考の時間を大幅に増やせた。

2班のメンバーの考えを[発表ノート]で共有(協働学習)

発表ノート、グループワーク

▲ [グループワーク]を用いて、それぞれが考えた展開図を共有する

[グループワーク]を用いることで、個人思考から協働学習への移行を容易に行えた。ノートを持ち寄って一覧表示にすることで、班のメンバーそれぞれが考えた展開図を共有できた。回転移動したり、対称移動したりすることで同じ展開図となるものを話合わせてまとめたり、自分では考えつかなかった展開図が立体化できるか検討したり、活発な意見交流が行われた。主体的・対話的で深い学びにつながる学習過程となった。実際に展開図を立体化できるか確認する場面では、アナログ教材を用いており、デジタル教材とアナログ教材それぞれのよさを活かしながら学習を進めることも大切である。

3[発表ノート]を提出し全体交流

発表ノート、提出

▲ 各班でまとめて提出した[発表ノート]を提示し、全体で交流する

各班でまとめた[発表ノート]を提出することで、全部の班の展開図を一度に提示できるため、比較検討が行いやすくグループワークから全体交流への移行もスムーズである。

実際の展開図を黒板に貼付けることで、同様の展開図かどうかの確認を行った。そのためには、どのような図形の移動をすればよいかを全体で思考する中で、深い学びの時間となるようにまとめを行った。

こんな場面で使える!実践を振り返って

今回は『SKYMENU Cloud』の[発表ノート]を作図のための数学的活動のツールとして使うことで、図形を動かしながら様々な展開図を考えることが容易となり、単元の学習目標にツールの特性を合わせた活用が効果的であった。

さらに作成した展開図は[グループワーク]機能を使うことにより、意見共有が効率化され、『SKYMENUCloud』の汎用的な授業支援機能が非常に役立った。

生徒の理解を深めるためには、マグフォーマーや黒板の図形などアナログ教材をデジタル教材とうまく組み合わせることが重要であると実感した。

(2023年9月掲載)