実践レポート
小学校6年 図画工作児童1人1台の活用 1人1台 × SKYMENU Cloud

デジタル交換日記で、学びを蓄積!共有!

題材名:6年間の想いを刻みこもう!マイ・オルゴールBox

久保田 智子主幹教諭

神戸市立若草小学校
兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科研究生

本時のねらい

  • 毎時間の振り返りに、[発表ノート]の[提出]・[添削]・[返却]機能を繰り返し活用することで、学びの過程を蓄積させ、主体的な造形活動を促すことができる。
  • [発表ノート]の[資料置き場]を活用し、端末の操作を時短化させ、文字入力の時間を確保することで、振り返りや鑑賞活動をより効果的に行うことができる。
  • [発表ノート]の[グループワーク]機能、[提出したノートの一覧表示]機能を活用し、お互いのよさや美しさ、表したかったこと、学びの過程などをクラス全員で共有し、高め合うことができる。

授業の実際

6年生の児童は、図画工作科でこれまでに学んだデザイン、彫り、着彩などの知識・技能を集大成として木彫りのオルゴールBoxを製作した。配当時間が長い本題材においては、児童ひとりひとりが、毎時間の自分の目標をもち、学びに向かう力を維持しながら、主体的な造形活動に取り組むことが必要である。

そこで、振り返りはもちろん、次時に取り組みたいことや自己評価を[発表ノート]に入力し、毎時間提出させた。教師はその[発表ノート]に、児童のがんばっていた点をほめ、アドバイスを手書きの[ペン]で入力して返却した。[提出]・[添削]・[返却]を繰り返すと、デジタルでも心の通った交換日記のようになった。また、学びの過程を蓄積させることもできた。端末の操作を時短化させ、コメントをじっくり入力できるよう、[発表ノート]の[資料置き場]を随所で活用した。題材のまとめは、[グループワーク]機能を用いて鑑賞活動を行ったり、[学習者同士での閲覧設定]機能で、各々が蓄積した学びの過程を、全員で共有し合ったりする活動を通して有意義に行うことができた。

SKYMENU Cloud活用のポイント(効果と児童生徒の反応)

1配付された発表ノートを活用して、振り返る

発表ノート、資料置き場、カメラ

事前に、Wordで作った振り返りシートを背景化した[発表ノート]を配付した。児童は、その[発表ノート]に日付を入力し、振り返りと次回挑戦したいこと、自己評価を入力していく。片付けや掃除のあとに、短時間でもより効果的にその活動を行わせるには、操作の時短化が必要である。そこで、[発表ノート]の[資料置き場]に、毎時間使う自己評価のA・B・Cや日付の[付箋]を用意しておいた。児童は、[資料置き場]からそれらの[付箋]を自分の[発表ノート]にドラッグして貼りつけるだけでよい。そのぶん、じっくりと振り返りを入力する時間が確保できた。児童は、端末を使って振り返りを行うことに楽しさを感じ、紙に記入させていた時よりも、多くの文字量でコメントできる児童が増えた。また、製作途中の作品の写真を、[発表ノート]の続きに主体的に撮影させた。

▲ [資料置き場]に用意された[付箋]を貼りつけて[発表ノート]に振り返りを入力する

2学びに向かう力をアップさせた、デジタル交換日記

発表ノート、資料置き場、カメラ

この場面では、本題材に取り組み始めて5回が経過していた。進み具合に個人差があり、ともすれば中だるみも起こりうる。しかし、児童は前時の振り返りや教師からのアドバイスを確認し、本時の目標を明確にした上で、より意欲的に造形活動に取りかかることができた。児童は、添削後に返却された1枚の[発表ノート]に、振り返りを追記する方法を会得した。蓄積された学びの過程は、可視化されて見やすく、長い期間積み重ねた自分の取り組みに達成感を得ているようだった。また、それらは児童ひとりひとりとの交換日記のようであり、教師が児童の学びを個別に把握できることはもちろん、児童への励ましを重ねていく中で、皆で共に作品を創っているという喜びにもつながっていった。製作時間が長期間でも、児童が学びに向かう力を持続できる一要因になったと実感する。

▲ 教師の添削後に返却された[発表ノート]

3ひとりひとりの学びの蓄積を、みんなで共有!

発表ノート、グループワーク、提出したノートの一覧表示、資料置き場、カメラ、学習者同士での閲覧設定、スライドショー

児童にとって、図工の授業での最後の鑑賞活動の時間。これまでの鑑賞時のように、実際の作品を観あう活動だけでは物足りない。また、できるだけ密をさけて行わなければならない。そこで、長期間にわたって、[発表ノート]に毎時間つづってきた振り返りを、全員で共有する活動を取り入れた。まずは、互いに実際の作品を十分に鑑賞し合ったあと、自分の作品を[カメラ]で撮影し、これまでの[発表ノート]の続きに貼りつけさせた。

▲ グループワークの途中にメッセージを入力している様子。[付箋]を使ってメッセージを書き入れた[発表ノート]を[グループワーク]で共有している

次に、[資料置き場]の付箋を活用して、自分の想いを入力。その後、[グループワーク]を行う際にも、別の付箋を使って互いにメッセージを入力した。また、[ページ一覧]から、自分のページだけを提出させ、[学習者同士での閲覧設定]を有効にすることで、全員で[発表ノート]を共有した。これまでの振り返りと、本時での鑑賞の場面をもとに、班内でディスカッションを行った。

日頃から、1人1台端末を児童主体でいつでも活用させてきたおかげで、こうした『SKYMENU Cloud』の様々な操作にも時間をとられることはなかった。

児童は、より充実した新しい鑑賞活動を体験し、小学校での最後の図工の授業を終えた。(2022年2月)

▲ [提出したノートの一覧表示]で全員の[発表ノート]を共有する
▲ 複数の[発表ノート]を[スライドショー]表示し、共通点や相違点を確認する

こんな場面で使える!実践を振り返って

[発表ノート]を活用した振り返りでオンライン授業でも充実した鑑賞活動が可能に

これまで紙に書かせていた振り返りは、配布や回収に時間がかかることや、筆記作業が困難な児童もいたが、『SKYMENU Cloud』を導入してからは、[発表ノート]に付随した様々な機能に助けられた。日々、このような学びを取り入れておくことで、オンライン授業になった際にも、より充実した鑑賞活動が可能になったことはいうまでもない。

本市では、中学校でも『SKYMENU Cloud』を活用しており、小学校で経験した様々な事例を、中学校でも生徒主体でより一層活かしていけるよう願っている。また、学習だけでなく、委員会活動やクラブ活動などにも活用の幅を拡げ、より効果的に利用できる機会が数多く増えることだろう。もちろん教師も、手立てを研究し続け、準備しておく必要がある。

(2021年10月~2022年2月実践 / 2023年5月掲載)