実践レポート

中学校1年生徒1人1台の活用 1人1台 × SKYMENU Cloud 『SKYMENU Cloud』を活用した
学級づくりのポイント

佐伯 真依 教諭

名古屋市立笹島中学校

川村 朋也 教諭

名古屋市立笹島中学校

レポート作成

磯部 征尊 准教授

愛知教育大学

本取り組みのねらい

生徒一人ひとりが『SKYMENU Cloud』を活用した学級づくりを進めるためには、どのような場面で何の機能を活用することが大切か、生徒たちの成長のために何をさせたらよいか。実践者である、名古屋市立笹島中学校 佐伯 真依 教諭、川村 朋也 教諭と共に提案する。

取り組みの実際

実践者の佐伯教諭と川村教諭は、これまで、生徒たちが学級の一員として、自律的かつ、能動的に学級力向上に取り組むことができるような働き掛けを考えてきた。特に、特別活動については、R-PDCAサイクル(Research〔診断〕、Plan〔計画〕、Do〔実施〕、Check〔評価〕、Action〔改善〕)を意識した取り組みを行ってきた(以下、R-PDCAサイクル)。また、川村教諭は、佐伯教諭の学級づくりに向けて、効率的かつ、効果的なタブレット活用の視点で関わってきた。

今回紹介する実践事例は、生徒と教師、そして、生徒と生徒同士がつながることを目指して、『SKYMENU Cloud』を活用した学習活動である。具体的には、毎日の朝の会と帰りの会の時間帯は、同期型(同時に皆で視聴する)で、健康観察や本日の予定の確認等を行う。休み時間には、非同期型(自分の好きな時間に視聴する)で、学級をよくするために気付いた意見や思いを発信する。また、1か月ごとに、R-PDCAサイクルを大切にした「学級集団づくり」の授業を同期型で展開する。表1

表1『SKYMENU Cloud』を活用した学級づくりのススメ

場面①

朝の会及び
帰りの会(同期)

[電子連絡板]で、本日の予定や明日の予定を確認する。朝の会の場合、[健康観察]で、本日の体温と体調を入力する。担任は[出欠ノート]で確認する。

場面②

日常生活
(非同期)

[発表ノート]の[グループワーク]機能にて、教師や生徒同士で挨拶や会話などを気軽に行う。[発表ノート]で、友人や教師との会話を楽しんだり、黒板に自由に絵を描いたりする。

場面③

特別活動の
事前準備期間
(非同期)

学級の雰囲気で気付いたことを[発表ノート]に記入する(Research)。[提出箱]には期限を設けず、いつでも[発表ノート]を[提出]できるようにしておく。担任はある一定の期間で確認する。

場面④

特別活動
(第1週)(同期)

学級の雰囲気からの課題や、紙面、もしくは、別のアプリで行った学級力アンケートの結果を踏まえて、[発表ノート]の[グループワーク]機能を用いて、改善策を考える。企画をグループで計画して、学級で提案する。その中から1~2の企画を決定し、実施する(Plan、Do)。

場面⑤

特別活動
(第2~3週)
(同期)

実施した学級レクなどの企画についての振り返りを[発表ノート]の[グループワーク]機能で行う。「ルール」「司会」「参加した人の態度」について、良かったところや課題について、グループで話し合う。その内容を各グループの代表者が発表し、全体で共有する。その後、学級力アンケートを行って、学級の状況を確かめたり、課題を改善できる取り組みを実行したりしていく(Check、Action)。

SKYMENU Cloud活用のポイント (効果と児童生徒の反応)

1朝の健康観察と、本日の予定の確認

健康観察、出欠ノート、電子連絡板

写真1生徒の体温や体調が一覧で表示される[出欠ノート]

佐伯教諭は、朝の体調の確認及び、本日の予定を確認するために、『SKYMENU Cloud』の[健康観察]と[電子連絡板]を活用した朝の会を行った。まず、生徒に[健康観察]に本日の体温と体調を入力するように伝えた。佐伯教諭は、写真1の[出欠ノート]の画面で生徒の入力が終わったかを確かめながら、朝の体調の確認を行った。入力が終わったところで、職員室で確認することができるよう、[出欠ノート]の内容について、データの書き出しを行った。次に、本日の予定や持ち物、連絡内容を伝えるため、[電子連絡板]に書かれた本日に関する内容を画面提示しながら、全体で確認した。

2タブレットを活用した休憩中の様子

発表ノート、グループワーク

ある1日の1時間目の授業が終わった頃、生徒たちは休み時間となった。佐伯教諭は生徒たちとの会話を楽しみながら、学級の様子を見守っていた。生徒の姿は様々である。佐伯教諭の周りに集まって会話を楽しむ生徒もいれば、『SKYMENU Cloud』の[発表ノート]で同じグループに入るのを誘う生徒写真2や、黒板に描画するかのように[発表ノート]に絵を描くことを楽しむ生徒写真3など、タブレットを活用する様子も見られた。

写真2同じグループに入るのを誘う生徒
写真3[発表ノート]への描画

3学級の雰囲気で気付いたことを記入しよう

発表ノート

佐伯教諭は、生徒に「時間がある時、学級の中での良いことも悪いことも含めて、何か気になることがあったら、[発表ノート]に入力してください」と伝えた。しかし、最初の頃はあまり提出されることがなかった。

佐伯教諭は、1学期から生徒の悩みを聞き、それに時間をかけて解決したり、どんなことにも感謝の言葉を口にして、生徒の良さを認めたりして、生徒との信頼関係作りに努めた。また、学級力アンケートの結果から課題を考えさせ、生徒同士での解決を促し、学級の仲間意識を作り上げた。2学期初めの教育相談では、複数の生徒から対人関係の悩みを聞き、それらを丁寧に解決していった。担任からの「ありがとう」の声掛けにより、生徒の自己肯定感が高まり、生徒同士や生徒と担任との関係が確かなものになっていった。

ささらに、学習に対する意識が高まった生徒を学級で認めたり、学習に困っている生徒を個別で支援したりしたことで、多くの生徒が勉強へ意欲的に取り組むようになった。そのような学習面や生活面での変化により、学級の雰囲気も改善されていった。それに気付いた生徒の一人は、[発表ノート]に「授業の前に用意ができている人が1学期と比べて多くなったと思う」と記述し、[提出箱]に入れていた写真4。これ以外の生徒からも、クラスの雰囲気で感じたことを提出するようになった写真5

写真4学習面での変化に着目した生徒の[発表ノート]
写真5生活面の変化に着目した生徒の[発表ノート]

4学級レクの企画に向けて話し合おう

発表ノート、グループワーク

2学期も2か月が過ぎ、各委員会メンバーも新しく替わった。そこで、佐伯教諭は、第3回の学級力アンケートを実施した。アンケート結果を踏まえて、学級委員を中心にどの項目を高めるかについて、学級内で話し合った写真6。その結果、今まで上がり続けてきた自律力と、3回とも最も低い規律力に着目することになった。その二つのうち、どちらかが高まる学級レクの企画を、各委員会に分かれて考えることとした。

生徒は、[発表ノート]の[グループワーク]機能を用いて、企画に向けた話し合いを行った写真7。自律力や規律力が高まる企画には何があるか、メンバー内で考えた。初めは全く思いつかなかったため、「ドッジボールで良くない?」や「勝ちたいから、鬼ごっこにしよう」などと、自律力や規律力といった力を高めることを考えずに発言していた。そのため、佐伯教諭は、ゲームの内容でけじめを付ける手立てを工夫したり、学習の項目につながるようなおしゃべりをしない時間を作ったりしてみるとよいことを伝えた。すると、多くの委員会で活発に意見を出し合う様子が見られた。全委員会の企画が決定したところで、全体で発表し合い、時間を見て行動したり、おしゃべりをしないようにしたりする部首クイズに決まった。

写真6学級委員を中心とした話し合いの様子
写真7委員会でも[発表ノート]と[グループワーク]で企画を話し合う

5学級レクを振り返り、良さや課題について話し合おう

発表ノート、グループワーク

写真8[グループワーク]で、委員会の良かったところや課題を振り返る

学級レクが終わった後、各委員会で[発表ノート]の[グループワーク]機能を用いて、良かったところと課題について話し合った写真8。良かったところとしては、「学級力を上げるために、みんながしっかりと意識をもちながら行動できたこと」や「けじめを付ける点や時計を見て行動することを意識できた」など、学級力の項目に関連して考えた記述があった。課題については、レクの司会の説明や、その際の学級の雰囲気に着目して、ルール説明での分かりづらさや、その際に学級がうるさくなったり、文句を出したりしたことを挙げていた。話し合いで出た内容を、各委員会の代表者が発表した。

その後、第4回の学級力アンケートを実施した。アンケート結果によると、自律力の時間については改善が見られなかったが、自律力のけじめと規律力の学習については、高まりが見られた写真9。今後は、学級でアンケート結果を踏まえて、取り組むべき課題を話し合ったり、課題の改善に向けた取り組みを考えたりしていきたい。

写真9自律力と規律力のアンケート結果

こんな場面で使える!実践を振り返って

本実践では、毎日の朝の会と帰りの会の時間帯は、非同期型による健康観察や、1日頑張るめあて(振り返り)を発信し合った。1週間のうち、特別活動の時間では、同期型での「学級集団づくり」の時間を設定した。その時間では、生徒たちの声を生かしながら、生徒たちと教員がともに活動を計画し、お互いの意見を共有したり、オンライン上でも実施可能な企画を実施したりした。このような生徒たちの学級づくりを保障する環境づくりは、学級や学年、そして学校全体として、さらには生徒一人ひとりの望ましい成長にとって、非常に価値の高いものである。

(2022年6月掲載)