実践レポート
小学校3年 算数児童1人1台の活用 1人1台 × SKYMENU Cloud

算数科における発表ノートの工夫

単元名:かけ算の筆算

橋本 順徳教諭

茨城県北茨城市立平潟小学校

本時のねらい

2年生で加法の結合法則について学習してきた。この既習事項を基に、本時では、乗法でも結合法則が成り立つことを理解していく。また、形式的な処理ではなく、具体的な数を確認しながら活用することで、結合法則の便利さを実感させ、数に対する豊かな感覚を育てる。

授業の実際

本校の児童は、筋道を立てて自分の考えを整理すること、友達に自分の考えを表現することが課題であり、[発表ノート]を活用することで、その課題解決を図ろうと考えた。

その手立てとして、課題のイメージ動画に沿っていること、情報を整理しやすくすることを意識して[発表ノート]を作成した。

児童は、[ペン]の色を変えたり、図形で囲んだりしながら、自分の考えを表現できていた。また、ペアで自分の考えを説明し合う場面では、用意しておいた画像を動かしながら説明することができた。さらに、適用問題では自分のペースで答え合わせをし、早く終わった児童が友達にアドバイスする姿が見られるなど、効果的・効率的に学習できていた。

単元計画(全13時間)
第1・2時

何十、何百のかけ算

第3~6時

(2けた)×(1けた)の筆算

第7~9時

(3けた)×(1けた)の筆算

第10時

かけ算のきまり(本時)

第11・12時

かけ算と言葉の式や図

第13時

たしかめ問題

本時の展開

学習の流れ 主な学習活動 指導のポイント
(タブレット端末活用場面)
課題をつかむ

1. 動画を視聴し、課題を共有する。

大型ディスプレイに動画を映す。

自力解決する

2. タブレット端末を使って、自分の考えを整理する。

1[発表ノート]を活用して、自分の考えを整理する。必要に応じて、ヒントページを活用する。

ペアで説明する

3. タブレット端末を使って、ペアで考えを伝え合う。

2[発表ノート]に整理した自分の考えを友達と伝え合う。

全体で解決する

4. 児童の考えを比較しながら、課題解決をする。

大型ディスプレイに児童の[発表ノート]を映す。

まとめる

5. 結合法則についてまとめる。

練習する

6. 適用問題に取り組む

3適用問題に[発表ノート]上で取り組ませ、答え合わせもできるようにする。

振り返る

7. 学習したことを振り返り、結合法則の便利さを確認する。

SKYMENU Cloud活用のポイント (効果と児童生徒の反応)

1自力解決をアシストするために

発表ノート

▲ [発表ノート]で、児童の自力解決を支援

自力解決のための[発表ノート]は、3ページ構成にした。情報や自分の考えを整理するための1ページ目、式と答えを書くための2ページ目、そして自分の考えが整理できない児童のために、3ページ目をヒントページとした。式と答えだけを記入するページを準備したことで、提出された[発表ノート]を効率よく確認、全体で共有しやすいよう工夫した。また、ヒントページは児童の考えのきっかけと捉え、構成をスモールステップ化した。

▼ [発表ノート]で作成した教材を配付。児童が自分の考えを筋道を立てて整理することや自分の考えを友達に表現することに役立てた
▲ 3ページ目のヒントページの内容

2考えを表現するために

発表ノート

▲ 説明のためのページ(上)と活用例(下)

自分の考えを友達に説明する際に画像を自由に動かしながら説明できる[発表ノート]のページを準備した。児童には、このページを使って友達に自分の考えを説明することをあらかじめ伝えたことで、その点も意識しながら自分の考えを整理しようとしていた。授業では、画像を動かしたり、[ペン]機能で画像を囲んだりと、表現を工夫し、分かりやすい説明ができていた。また、意見を交流する中で間違いに気付き、自分の考えを修正する児童の姿も見られた。

3一人一人のペースで学習するために

発表ノート

▲ [発表ノート]による答え合わせの工夫

適用問題に要する時間は児童によって異なる。児童一人一人がそれぞれのペースで答え合わせができるように[発表ノート]に図形で隠した状態にして解答を載せた。色付きの図形にしたことで、適用問題を終えている児童が大型ディスプレイで即座に分かるようにした。

児童は自分で答え合わせをし、学習アプリケーションを進めたり、適用問題が分からない友達にアドバイスしたりするなど、個別指導をするための有効な機能であった。

こんな場面でも使える!実践を振り返って

本実践で、画像を動かしながら楽しそうに自分の考えを説明する児童の姿が印象的であった。[発表ノート]を使ったことで、児童が筋道を立てて考えを整理したり、分かりやすく説明したりすることができて、いつもと違った手応えを感じることができたようだ。

今後は、録画した自分の説明の様子を視聴させ、改善する活動を取り入れることで、自信をもって自分の考えを発表できる児童を育てていきたい。

(2022年4月掲載)