実践レポート
小学校4年 道徳児童1人1台の活用 1人1台 × SKYMENU Cloud

ポジショニング機能を使った気持ちの変化

単元名:大きな絵はがき

佐藤 明日香 教諭

仙台市立錦ケ丘小学校

本時のねらい

自分にとっての「友達」とはどのような存在であるかを考え、友達と互いに信頼し合い、助言し合いながら友情を深めていこうとする心情を育てる。また、助言によって考えに変化や深まりがあったかどうかを自分自身で振り返らせる。

授業の実際

授業の導入では、イメージマップを使って、自分にとっての「友達」という存在からイメージするキーワード集めに取り組んだ。その後、題材を読み聞かせ、ストーリーを確認した。遠くへ引っ越してしまった仲の良い友達から絵はがきが届いたが、大きな絵はがきだったため、料金が不足していた。代わりに支払ってくれた兄から「料金不足だったことを教えてあげた方がよい」という話があった。そこで主人公は葛藤場面に出会う。仲の良い友達という関係を今後も続けていきたいという前提で「仲の良い友達だからこそ、間違いを教える」「相手を傷付けたくないから、葉書のお礼だけ伝える」という二つの視点で、自分だったらどうするかを考えさせた。その際、[ポジショニング]機能を活用して、初めの自分の考えと、共有することで変化した考えの軌跡、そう考えた理由を記入欄に書かせた。最後に画面を共有しながら理由を発表させ、考えの変化に友達の考えが取り入れられたことや、友達の考えを聞いたけれど自分の考えが変わらなかったことを振り返らせた。

SKYMENU Cloud活用のポイント (効果と児童生徒の反応)

1自分の考えを表現する

ポジショニング

葛藤場面において「仲の良い友達だからこそ、間違いを教える」「相手を傷付けたくないから、葉書のお礼だけ伝える」という二つの視点で、自分だったらどうするかを考えさせた。自分の考えがどのポジションにあるかということを視覚的に実感することで、明確な理由を考えることができていた。二つの立場のうち、どちらかはっきりさせなくてもよいという点が、自分の考えを持たせやすくすることにつながっていたと感じる。また、途中で考えが変化したら動かしてもよいという場面を設定したことで、友達の考えを取り入れることや自分の考えに自信を持って表現することにつながっていた。その機能によって、自分の考えの変化の軌跡が視覚的に捉えられていた。

こんな場面でも使える!実践を振り返って

本単元を実践するにあたり、道徳のいくつかの授業で『SKYMENU Cloud』を活用した。葛藤場面のある題材には[ポジショニング]機能を活用し、対話したり共有したりする前後の考えの変容を見取るのに効果的だった。児童にとっては、考えの軌跡を自分自身で振り返ることで、自分の考えの変化やどの意見で気持ちが動いたのかを知ることができると考える。また、友達の考えを見ることができると、これまでにない視点から学びを深めることができる。

教師にとっては、児童にとっての良かった点に加えて、全体の考えを一覧で見ることができる点に、便利さを感じた。理由を聞く際には、同じポジションにマーカを置いている児童を意図的に指名し、考えの違いを聞くことができた。また、真ん中にマーカを置いている児童には、なぜ迷っているのかという理由を聞くこともできた。

今回の実践は道徳の授業だったが、日々の学習では国語科や図画工作科で[発表ノート]機能を活用していることが多い。国語科では、ワークシートを作成・配付して活用した。図画工作科では、長期保管が難しい粘土の作品や、繊細な造形作品などを写真に残し、[発表ノート]に作品の工夫点などを入力させて、[提出]機能を使って回収している。それを評価したり[添削]したりできることや、学習の振り返りを書かせて蓄積できるという点が教師にとっての使いやすさにつながっているため、活用頻度が上がっているのだと実感している。また、文字を書くことに苦手意識のある児童にとっては、自分の考えや調べたことをすっきりとまとめられることに使いやすさを感じていると話していた。

(2021年10月掲載)