主権者として憲法改正に向き合う
~「満16歳」以上の投票に賛成か、反対か~ 単元名:公民的分野「C 私たちと政治 (1)人間の尊重と日本国憲法の基本的原則」郡司 直孝教諭
北海道教育大学附属函館中学校
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本時のねらい
本時は、「主権者である国民」として、憲法「改正のための国民投票の具体的な手続きも法律によって定められていることについて理解」した上で、憲法改正における国民投票の投票権を有する年齢を切り口として、日本国憲法の基本原理の1つである国民主権への理解を深めることをねらいとする。
授業の実際
本時ではまず、生徒が『SKYMENU Cloud』[ポジショニング]を活用して学習課題に対する自らの考えを表出する。次に、授業者が国民主権や憲法改正、学習課題のポイントなどを説明したのち、生徒は4人1組のグループを構成し、[発表ノート]にそれぞれの考えを示した上でグループワークを行い、学習課題に関する議論を展開する。その後、他者との議論を踏まえながら、改めて学習課題に対する自らの考えを[ポジショニング]に表出し、その変容を生徒自身が把握できるようにする。
なお、本授業では、[ポジショニング]を生徒個人や学級全体の考えとその変容の様子を的確に捉えることに活用するとともに、グループでの議論を円滑に行うために[発表ノート]を活用する。
単元計画(全5時間) | ||
第1時 |
人権の歴史と憲法、日本国憲法とは |
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第2時 |
国民主権と私たちの責任(本時) |
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第3時 |
平和主義と日本の役割 |
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第4時 |
基本的人権と個人の尊重 |
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第5時 |
学習のまとめと振り返り |
本時の展開
学習の流れ | 主な学習活動 | 指導のポイント (タブレット端末活用場面) |
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導入 |
本単元の学習の目標と展開、学習課題を把握する。 |
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展開① |
[ポジショニング]を活用して、学習課題「次のような意見について、あなたは賛成ですか、反対ですか?『国民投票法における投票権の年齢を、満16歳以上とする』」に対する、自らの判断を明らかにして、その理由を説明(入力)する。 |
1学習前の自己の考えの表出([ポジショニング]機能) |
展開② |
授業者から国民主権や憲法改正の具体的な手続きに関する説明を受ける。 |
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展開③ |
4人で1グループを構成し、学習課題に対する自らの判断や考えを交流する。その際、[発表ノート]で[グループワーク]を活用する。とくに、学習課題の内容について「効率」と「公正」の視点から捉え直す。 |
2他者との議論([発表ノート(グループワーク)]機能) |
まとめ |
グループでの議論を踏まえて、再度[ポジショニング]を活用して、本時の学習課題「次のような法律案について、あなたは賛成ですか、反対ですか?→「国民投票法(日本国憲法の改正手続に関する法律)」における投票権の年齢を、満16歳以上とする」に対する、自らの判断を明らかにして、その理由を説明(入力)する。 |
3本時の学びの表出([ポジショニング]機能) |
タブレット端末活用のポイント (効果と児童生徒の反応)
1学習前の自己の考えの表出
ポジショニング
冒頭に学習課題(「次のような意見について、あなたは賛成ですか、反対ですか?『国民投票法における投票権の年齢を、満16歳以上とする』」)に対する自らの考えと理由を、これまでの学習や経験等を根拠に入力させた。これは、学習内容への関心を高めるとともに、授業末の再入力の際に学びによる自身の変容を把握する「布石」として取り組むものである。
2発表ノートによる他者との議論
発表ノート(グループワーク)
授業者が[発表ノート]内で準備したノートに、<場面①>で入力した「理由」をコピーして貼り付けさせた。その後生徒は、[グループワーク]を活用して、同じグループのメンバー全員の考えを閲覧・共有できる環境を整えた後、学習課題に対する議論を行った。議論の中で生徒自身が重要だと考えた点は、ノート内に逐一メモするとともに、自分の考えが揺れ動いた際には、[ポジショニング]を活用して表現することとした。
3本時の学びの表出
ポジショニング
他者との議論、学習課題に対する自らの考えと理由を、これまでの学習や経験等を根拠に入力させた。これは、本時の学習のまとめとして取り組むとともに、授業冒頭に入力した内容からの変容を把握するために取り組むものである。授業者は、生徒が入力する内容を自身の端末で閲覧しながら、とくに変容が大きい生徒の考えや、比較的多く用いられている語句等を抽出して、クラス全体にフィードバックを行い、本時の学習のまとめと振り返りを行った。
こんな場面でも使える!実践を振り返って
[ポジショニング]で、「賛成」と「反対」の間にある無数の「グラデーション」を表出させ、把握する
協働的な学びには、生徒一人一人が自身の考えをしっかりと持った上で他者と向き合うことが重要だ。[発表ノート]は、まずは個人でノートを作成し、[グループワーク]で一瞬で共有できるため、教科等を問わずに広く活用できる。
また本時において、「賛成」と「反対」の間を表明することは紙やアンケートアプリでは、難しい。[ポジショニング]は、「賛成」と「反対」の間にある無数の「グラデーション」を表現し、二者択一では回収しきれない生徒の思いを表出・把握できる。
(2021年10月掲載)