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SKYMENU エキスパートTeacher勉強会レポート 探究的な学びを充実させる授業づくり

2025年10月25日に開催された『SKYMENU エキスパートTeacherスキルアップ公開勉強会』では、「探究的な学びを充実させる授業づくり」をテーマに、村井 万寿夫 先生と3名のSKYMENU エキスパートTeacherが発表されました。その内容をレポートします。

教科学習の中で、どのように探究的な学びを充実させることができるのでしょうか。「課題を見つける」「見通しを立てる」「方法を選択する」「まとめ方を考える」「振り返りをする」という5つの要素を意識することで、教科の中で探究する力が少しずつ身についていくと考えます。今回は、「方法を選択する」「振り返りをする」「見通しを立てる」をテーマに授業を紹介いただくとともに、探究的な学びを充実させる授業づくりについて考えます。

コーディネータ
村井 万寿夫 北陸学院大学 教授
パネリスト
山口 千晶 堺市立上野芝小学校 教諭
岩田 瑠一 愛知県西尾市立福地南部小学校 教諭
関戸 裕香 堺市立平井中学校 教諭

教科の学習で探究的な学びを
具体化するための「5つの授業エレメンツ」

村井 万寿夫 教授

北陸学院大学

村井先生 令和7年5月22日に文部科学省から探究に関する資料「論点資料補足資料(探究的な学びの充実に係る関係資料等)」が公表されました図1。資料では、Banchi,H.,&Bell,R.(2008)の論文を参考に、探究的な学びの分類について、教師から与えられる「問い」「手続き」「解法」の3つの提供範囲に応じて、探究学習を複数のレベルに分析しています。

図1探究的な学びの分類について

赤線は村井が加筆

出典:文部科学省「論点資料補足資料 (探究的な学びの充実に係る関係資料等)」令和7年5月22日

レベル1は、「確認のための探究」です。教科の学習で、まずは先生から問いや解き方が示され、結果も分かっていて、それを児童生徒自身で確認するという段階です。

レベル2は、「構造化された探究」です。問いとやり方だけを先生から示して、あとは児童生徒が進めていく。レベル1と2は、いずれも各教科の時間で行います。

レベル3は、「指導された探究」。これは問いだけが先生から示される、もしくは先生と一緒に確認して、あとは児童生徒で進めていきます。最後、レベル4は「オープンな探究」です。問いの発見、課題の設定を含め、最初から最後まで児童生徒に委ねます。

このような文部科学省による探究学習の考え方と同様に、白井俊は、自身が日本各地の授業を見て回った経験を基にした著書『世界の教育はどこへ向かうか(2025年,中央公論新社)』の中で、レベル1は各教科で、レベル4は総合的な学習の時間で行われており、レベル2、3は実施されていないことが多いことを指摘しています。

さらに、レベル1の各教科、レベル4の総合的な学習の時間と明確に分かれるのではなく、教科で少しずつ力をつけたものが総合的な学習の時間で発揮されることが理想的だともいっています。これは図1の資料と共通する見解です。

これらを踏まえて、探究的な学びにおける授業のポイントを考えると、「問い」「手続き」「解法」について「教師が与えるかどうか」、つまり「先生、もしくは児童生徒が」という視点が重要であることが見えてきます。

図25つの授業エレメンツ

図2は、「問い」「手続き」「解法」について学習の過程で時系列に置いたものです。「課題を見つける」「見通しを立てる」「方法を選択する」「まとめ方を考える」「振り返りをする」。この5つの要素が教科の中で探究的な学びを充実させる要素になると私は考えます。

この授業や学習における5つの「エレメンツ」、言い換えれば「授業進行上の5つの分節」を意識して取り組むことで、教科学習の中での探究の力が、少しずつ身についていくのです。

そこで今回は、教科学習の中で探究的な学びを具体化するための授業エレメンツをうまく取り入れられている3名の先生方に実践を紹介いただきます。

方法を選択する 小学校3年 社会 児童が「調べ方」や「共有の仕方」を選択
互いにつながり学びを進める

山口 千晶教諭

堺市立上野芝小学校

山口先生 今年度、私は小学校3年を担当しています。本校の3年生は、1、2年生のころから各教科で『SKYMENU』をはじめとしたICTの活用を積極的に取り組んできた学年です。2学期、社会「地域で働く人々」の学習で、スーパーマーケットの品物が日本各地、あるいは世界各国から仕入れられていることを調べる活動を行いました。その際、さまざまな調べ方を子どもたちに提示しました。

例えば、見学に行くスーパーマーケットの紙のチラシやデジタルチラシです。デジタルチラシは、あらかじめインターネット検索で見つけておき、そのURLを児童に共有。端末でも確認できるようにしました。

また、授業中は仕入れられた品物の産地を白地図にまとめたり、外国から仕入れられている品物の国の位置と国旗を調べたりする活動を実施。調べた結果をまとめる資料として、地図やインターネット検索の活用の有無を選択させました。

さらに、すべてを一人ひとりが行うと時間がかかるため、班のメンバー同士で「誰が何を調べるのか」を話し合い、役割を分担。活動が終わった後に[グループワーク]機能で、それぞれが調べた内容を一つのノートにつなぎ合わせたり、ほかの班の内容と結果を見合わせたり、さらにはみんなで作品を閲覧するなど、さまざまな方法で共有し、子どもたちの学びをつなげました図3

図3グループで役割を分担し、協働。その後、[グループワーク]機能などで調べたことを共有した

その結果、児童は「どこの都道府県からの仕入れが多いのか」「どこの国から何が仕入れられているのか」、また「同じ種類の品物でも多数の産地から仕入れられていること」に気づけました。

そこから、疑問をインタビュー内容としてまとめ、スーパーマーケットの見学に。見学当日は、タブレット端末を持って行くか、探検ボードに紙のワークシートを挟んで持って行くか。子どもたちが選択しました。それぞれのツールの良さを生かし、配付した[発表ノート]のページを増やしながらメモを取る姿や、店内図に鉛筆で細かくメモを書き込む姿、また、端末のない児童が班のメンバーに写真の撮影をお願いする様子なども見られました。

それぞれの方法に「しやすさ」があると思います。それらを生かした学習結果をいかに共有させるか、子どもたちの学びをつないで学習内容を広げ深めるかが大切だと感じています。そして、子どもたちが学習するなかで、お互いがつながることを望んでいると感じられました。

村井先生 子ども同士がつながり、学びを進められるようになった。これまでの学習を積み重ねた成果ですね。総合的な学習の時間で発揮できる基礎力が身についていると思います。

振り返りをする 小学校6年 体育 学びをつなぐ振り返りの工夫で、
次の学びを生む

岩田 瑠一教諭

愛知県西尾市立福地南部小学校

岩田先生 私は、振り返りの質を高めるICT活用について、6年生の走り高跳び、運動会、体力テスト、マット運動での実践をご紹介します。

図4走り高跳びの振り返り

例えば「走り高跳び」では、子どもたちが目標の高さや意識したことをタブレット端末に入力。上手な友達の跳び方を動画で撮影させてもらって、跳び方を確認。自分の感覚だけでは分からなかった課題に気づかせました図4

「運動会」では、写真を使って振り返ることで、そのときの感情がよみがえってきて、普段あまり振り返りを書かない児童が意欲的に入力していました。また、文字を書くことに苦手意識のある児童も、タブレット端末に自分の思いをスムーズに入力していました。行事ごとに振り返りを行うことで、学んだことを次の行事や普段の学校生活に生かそうとする姿が見られました。

「体力テスト」や「マット運動」では、[発表ノート]で記録シートを作成し、最後に振り返りを入力する[発表ノート]を用意。それを[ライブ公開提出箱]に提出させました。ここでも上手な人から学ぶことで、意欲的に取り組むことができ、必要感のある関わり合いも生まれたことが、振り返りから分かりました。特にマット運動では、自分の演技を撮影してもらい、動画で客観的にフォームを見ることで、自身の課題が具体化できたようです。

図5動画の挿入で教師も子どもも成長を捉えやすい

[ライブ公開提出箱]に提出しているので、前時の振り返りシートを基に、本時で練習したい技を決めることもできました。例えば、側転を練習していたある児童は、前時に意識したことが、次の授業ではより具体的な内容になっていました図5。また、児童が自分の技を動画に撮って振り返りシートに載せてくれるので、教師側は子どもの成長を捉えやすくなるという利点もありました。

「目標を決める」「コツや意識したことを調べる」「上手な人から学ぶ」「自分の技を動画で客観視する」、そして「振り返る」。このサイクルをつくったことで、授業を進めるごとに子どもたちは意欲的に学習に取り組めるようになりました。振り返りは、感想で終わるものではなく、次の学びを生む時間になることが見えてきました。

これまでの取り組みから学びをつなぐ振り返りの工夫として、「活動の流れを整理しやすい振り返りシート」「必要感を持った関わり合い」「獲得したデータの蓄積」、そして「振り返りから次の課題を設定すること」が大切だと感じています。子どもたちが自分自身の学びをどうつなげるか。ICTを適切なタイミングで取り入れることで、運動量を確保しながら深い振り返りができたと思います。

村井先生 「振り返りの質を高めたい」という先生の意図が、実践の成果として表れていると感じます。「次はこうしたい」という言葉が振り返りの中に含まれていて、学習が次につながり、とても良いと思いました。

見通しを立てる 中学校2年 国語 ゴールの明確化で、
生徒が逆算思考で学びを進めていく

関戸 裕香教諭

堺市立平井中学校

関戸先生 私は「見通しを立てる」とは、「学習後の自分の姿をイメージできる」ことと考えています。具体的には、生徒が学習を終えたときに、「自分にどのような力がついているのか」「その力をつけるためには何が必要なのか」「それはどうやって身につけるのか」が分かっている、ということです。生徒がそのような見通しを持つために、私は[発表ノート]を活用しています。

まず、単元の導入の際に、必ず1冊の[発表ノート]を生徒に配付します。最初のページにめあてと単元のゴール、その下に単元の流れ。それ以降の[発表ノート]には、詳しい学習内容を記載しています図6。これは、生徒がめあてに向かって自走できる状態になれることを意図して作っています。

図6単元の導入で学習内容をまとめた[発表ノート]を配付

この[発表ノート]を毎時間見返すことで、自分の現在地を確認しながら学習を進められます。また、欠席した生徒も、前の時間にどのようなことをしたのかがおおよそ分かります。どの単元も基本的に同じ形式にしています。生徒が見やすく、理解しやすいように配慮しています。[発表ノート]の活用は「紛失がない」「保存しやすい」ことも利点です。

図7単元のゴールや手順、評価をルーブリックを示すことで、生徒は見通し以上のことを考えられる

なお、私は言語活動に力を入れていて、例えば単元の最後に作文を書く場合は、毎回単元の初めに手順や評価のルーブリックを[発表ノート]の最後の方に添えて配付します図7

手順とルーブリックの2つを示すことで、生徒は「言語活動に向かうためには何をすればいいのか」を具体的に考えられます。特にルーブリックがあることで、「自分が何を知りたいのか」「何を知らないと次に進めないのか」「進んだ先に何があるのか」を具体的に考えられます。

ゴールを明確にすることで、「今は何が分からないのか」「どうすれば分かるようになるか」「どこに着目したらいいのか」を意識して教科書の本文を読んでいけます。見通し以上のことを考えられると思います。

村井先生 生徒が見通しを持つことで、ゴールを明確にイメージできますね。ルーブリックの活用も、ゴールに行くための思考に役立っていると思いました。

課題を見つける 「どうして?」「なぜ?」を探究の入口に

まとめ方を考える 教科学習の経験が、総合的な学習の時間に生きる

村井先生 では、ここで私から「課題を見つける」「まとめ方を考える」という2つのエレメンツについて解説したいと思います。

「課題を見つける」という点については、どの教科にも共通すると思いますが、例えば児童生徒が「どうして?」「なぜ?」という意識が少しでも高まれば、それが探究の入口になると思います。

もう一つの「まとめ方を考える」。これは教科学習と総合的な学習の時間を良い意味で分けて考えるとよいと思います。教科学習で、『SKYMENU Cloud』をはじめさまざまなまとめ方を経験すれば、やがて子どもたちから、教科学習や総合的な学習の時間で「こういうまとめ方やってみたい」「これでまとめられないの?」といった声が出てくるでしょう。教科学習と総合的な学習の時間の往還を考えることが重要です。

「課題を見つける」「見通しを立てる」「方法を選択する」「まとめ方を考える」「振り返りをする」。学習の段階で並べていくとこの5つになりますが、先生方が日々の実践を積み重ねることで、きっと子どもたちにじわりじわりと探究の力がついていくのだろうと思います。

それでは最後に3名の先生方に、2学期後半以降に取り組みたいことを教えていただきます。

各単元、時間で児童と課題を設定し、方法を選択していく

山口先生 小学校中学年の学習は、子どもたちの実生活に即した内容が使われることが多いです。学んだことが自分たちの生活のどこにつながっているのか。なぜそれを学ぶのかを意識して、各単元、各時間で、常に子どもたちと課題を設定することをこれからも意識したいと思っています。

今後は、学習した内容に応じた校外学習の企画や地域の施設訪問など、「実物に触れる」学習を進めていきたいと思います。その中で、学ぶ方法や一緒に考える相手、記録の方法、学習のまとめ方などについて、これからも児童に選択させる場面を設定していきたいと思います。

「自分で振り返る力」を育て、学びを「点」から「線」に

岩田先生 私が2学期後半、最高学年として特に意識したいのは、やはり振り返りを行うことです。この時期は新しい学びを増やすというよりも、これまで積み上げてきた学びを自分の力として定着させる段階だと考えるからです。

高学年になると、活動をやりっぱなしにするのではなく「なぜうまくいったのか」「どこが課題だったのか」「次にどうつなげたいのか」を自分の言葉で整理できるようになります。この「自分で振り返る力」を育てることで、学びが「点」ではなく「線」になり、そして質のいい学びに生きると思っています。

振り返りは単なる感想ではなく、次の学びを自分たちでつくるためのステップです。2学期の後半は、教師の問いかけに頼らず、他教科でも子どもたち自身が何を振り返れるかを考えられるようにしたいと考えています。その積み重ねが、3学期、そして中学校につながる自立的な学びの土台になると思います。

探究のサイクルを自ら回せる生徒に

関戸先生 今、生徒たちは方法の選択ができるようになってきたところです。今後は、「まとめ方」まで生徒たちが考えられるようにしたいと考えています。

また、中学校は義務教育の最終段階ですので、生涯学習の視点で「学ぶとはどういうことか」「どうしたらできるようになるのか」「その方法をほかのことに応用できないだろうか」と、学ぶときの思考の流れや方法を意識できるような振り返りをさせたいと考えています。探究のサイクルを自らで回せる生徒になってくれたらいいと考えています。

村井先生 関戸先生の「探究のサイクルを自分で回す」。これは、生徒自ら見通しを立てて、ゴールを明確にイメージするという「学びの段階」を意識することで、探究のサイクルを自分で回せるようになると思います。教科の学びが、探究的になり、次へ次へとつながっていく。今回の3名の先生方のお話が、全国の先生方の「日々の教科学習でこれを意識したい」と考えるきっかけとなり、全国でどんどん探究の芽が生まれていくことを期待しています。

(2026年2月掲載)