授業でのICT活用

ICT活用教育最前線

岩井浩 指導主事

ICT活用推進と児童生徒の情報能力育成のために

― 実践的・体験的な研修機会を提供 ―

山内 隆彦(岡山県総合教育センター 情報教育部 部長)

貝畑 和明(岡山県総合教育センター 情報教育部 指導主事)

人間尊重の精神を基調とし、「生涯学習社会おかやま」の実現をめざす岡山県。教育行政重点施策は、「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」の育成を通して、たくましく心豊かな人づくりをうたう。昭和23年に県教育研修所としてスタートした県教育センター、昭和39年に県商業教育共同実習所としてスタートした県情報教育センターがこれまで同県の教育推進に貢献してきた。この両センターが平成19年4月に再編統合され、岡山県の学校力・教育力向上の拠点として、岡山県総合教育センターがオープンした。このほど、同センターで情報教育の推進を担っている情報教育部を訪問し、山内隆彦部長、貝畑和明指導主事に、その施設設備や取り組み内容などについて、お話をお伺いした。

(2007年7月取材)

活力ある学校と魅力的な教職員を

岡山県総合教育センター岡山県総合教育センターは、活力ある学校を創るための支援や、専門性や使命感にあふれる教職員の資質の向上を図る研修を担っています。組織は、総務課、教育経営部、教科教育部、生徒指導部、特別支援教育部、情報教育部の1課5部で構成されます。

「実践的で魅力ある研修講座」「教育現場で生きる調査・研究」「ニーズに寄り添い課題解決に役立つ教育情報の収集・蓄積・発信」「生きる力を育てる教育相談」「特別支援教育の推進」「情報教育の推進」の6つが大きな柱になっています。

研修では、教員の経験年数に合わせた「求められる教師像」を明確にし、経験年数別研修や職能別研修、教科領域別研修、課題別研修などを実施しています。

「わかる」を実感できる研修講座

情報教育部では、教員のICT活用指導力の向上に向けた支援、情報教育推進リーダーの養成、学校の情報化の支援、情報モラル・セキュリティへの意識の高揚、ネットワークの管理運用の支援、学校支援情報の充実と提供、教育情報ハイウェイネットワーク管理運用を主な業務としています。

情報教育部担当の研修講座情報教育に関する研修講座は、頭で理解する座学主体の研修ではなく、実践的・体験的な研修を重視しています。私たちは、ICTの研修を通して、「わかる」を実感していただきたいと考えています。また、依頼を受けて学校へ指導主事が出向いて、学校の施設設備を使って研修することもあります。このような「わかる」を届けることも重視しています。このいわゆる「出前講座」は平成18年度、県内20校で実施し、452名の先生が受講されました。平成19年度は、さらに30校に拡大する予定です。

多数のディジタルコンテンツを公開

岡山県総合教育センターのwebページ当センターの事業の一つである「教育情報の収集及び提供」も担っています。資料としての学習指導案や県内外の教育情報のWebへの掲載、ディジタルコンテンツの公開も行っています。

教育用のディジタルコンテンツの公開と利用促進は、特に力を入れています。平成19年6月現在、動画6,301点、静止画51,624点、コンテンツの活用場面を示した簡易レシピが549点となっています。利用者数のバロメータであるアクセス数は、平成19年4月が60,757件、5月が72,099件と増加傾向にあります。現在、公開をめざして、英語のeラーニングや体育の種目別コンテンツなどの新しいコンテンツを開発中です。また、簡易レシピも多数配信予定です。

情報教育の推進をさらに充実させる

今後、力を入れていきたい点は3点あります。まず、研修講座の体系化です。ICT活用教育の課題は日進月歩です。

この2月に文部科学省が公開した「教員のICT活用指導力のチェックリスト」に基づき、研修講座の見直しをかけていく必要があります。次に、研修の指導方法の改善です。例えば、自宅でのeラーニング研修と当センターでの研修講座のブレンディングも考えています。

最後に、ディジタルコンテンツのさらなる充実です。情報ネットワークを活用することで、当センターまで来ていただかなくとも、教材コンテンツを配信できますので、これから、ますます重要なチャンネルになります。

県教育センターと県情報教育センターが再編統合したことで、他部の協力が得られやすくなりましたので、さまざまな教科のコンテンツ開発がさらに加速するものと期待しております。

用途に応じた情報研究室

当センターの館内には、業務系、研修系、外部公開系など複数のネットワークセグメントを設置しています。また、研修系ネットワークにはワイヤレスネットワークも採用し、研修の利便性の向上を図っています。センター内では20台程度のサーバが常時稼働しています。

情報教育部の管理している情報研修室1~4はそれぞれ、各教科でのICT活用、ネットワーク、マルチメディア教材開発や美術・音楽でのICT活用、eラーニング、と特徴を持たせています。授業分析や授業設計に関する研修を行う教育工学研修室もあります。これら5室の研修室には、効果的な研修講座を行うために、ICT活用教育支援ソフトウェア『SKYMENU Pro』を導入しています。その他、個別の要求に応える部屋として、教材開発室とメディアセンターがあります。

研修講座の中でのICT活用教育支援ソフト

今年度の情報教育部担当の研修講座は、75講座。定員はのべ2,910名が予定されています。

研修には、日頃忙しい先生方が学校の仕事をやりくりして来られます。研修講座では、よりよい授業を行うためにできる限り多くの情報を学校に持ち帰っていただきたいと考えています。そのためのツールとして、『SKYMENU Pro』を活用しています。最も大きな効果は、研修時間の確保です。先生方は、必ずしも当センターと同じコンピュータを使っている訳ではありませんので、電源を入れる操作から説明が必要になります。この場合、その操作自体が目的ではないのですから、こちらで一斉に電源を入れた方が時間の短縮になり、研修内容に先生方が集中できます。

今回の研修講座「授業に生かすはじめてのパワーポイント研修A」は小学校、中学校、高等学校のすべての校種に対応しています。研修では、まず[電源ON]、[ログオン]を一斉に行い、[ソフトウェア起動]により、研修で使うソフトウェアを立ち上げました。そして、[教材配付]機能を使って、研修用教材のパワーポイントのデータを配付しました。プレゼンテーションの研修の場合、プロジェクタでスクリーンに投影した時の状態とコンピュータ画面上で作成している時の状態で、見た目に違いがあります。そのようなことをその場で体験してもらうために、スクリーンに投影された教員機画面と同じものを[画面転送]で学習者機に表示し、確認してもらうことも有効でした。

その他、数日に及ぶ研修の場合、[教材の配付・回収・再配付]機能がとても助かります。これは、当センターでは、毎日、異なる先生がコンピュータを使いますので、次の日には初期状態に復元する機能を使っています。そのため、ローカルに保存したデータが消えてしまいます。前回の研修の続きから始められるようにするために、[教材の再配付]機能を使えば、とても簡単に準備できて助かります。

また、ディジタルコンテンツを紹介する時に、[お気に入りの転送]や[かんたんWebページ閲覧]はとても重宝しています。また、1回だけで終わる研修でも、[出席]機能を使えば、どの席にどの先生がお座りなったかがわかるので、先生方とのコミュニケーションを図るきっかけにもなります。[かんたん操作パネル]のような、シンプルな操作性は、他部の先生方にも好評で、当センターの情報研修室の稼働率をあげることに貢献しています。