授業でのICT活用

ICT活用教育最前線

池田宗一

教員1人1台時代のネットワーク管理

池田 宗一(鳥取県立米子西高等学校 教諭)

校内LANの整備や普通教室へのコンピュータの導入など、学校の情報環境は急速に進展してきた。政府の「IT新改革戦略」による「教員1人1台のコンピュータ整備」が完了すれば、学校のネットワークはさらに大規模化していくことが予想される。授業でのITの活用を進める一方、コンピュータやネットワークの管理にも対応していかなければならない。
鳥取県では、すでに教員に1人1台のコンピュータを整備するなど、先進的な環境を実現している。活用を広げる工夫とそれを支える運用の手立てについて、池田宗一先生(鳥取県立米子西高等学校教諭)にお聞きした。

「人」と「システム」役割分担を

校務・授業で活用広がる

鳥取県では文科省の教育情報化施策に基づき、平成14年から県立学校のIT整備を推進。校内ネットワークや普通教室へのPCとプロジェクターの設置、県の予算措置で教員に1人1台のPCを整備するなど、先進的な環境を実現している。

県立米子西高等学校(塚田安雄校長・生徒数960人)は、14年度末と県内でも早い時期に整備が行われた学校だ。当時の情報担当だった池田宗一教諭は、「導入から4年が経過し、校務・授業の両面で校内ネットワーク活用の裾野が広がってきた」と話す。

校務では、県教委が進める配布書類の電子化に対応する一方、行事予定や生徒の出欠情報、成績関連データの共有などが行われている。

授業では、国語科や保健体育科など、これまでIT活用の見られなかった教科でも、デジタル教材を授業のワンポイントで見せるといった活用が増えてきた。「資料を提示しながら画面に書き込みをしたい」という声に応え、今年度は教室用PCの一部にタブレット型を採用。また、社会科を中心に教員の自作教材の活用が進んでいることを受け、デジタル教材をネットワーク上で手軽に共有できる新たなシステムも導入したという。

管理負担を軽減する工夫

こうした活用のベースになるのは、校内ネットワークの安定稼動と、それを支える日常的な運用管理だが、同校のように約200台のが分散配置され、教員と生徒合わせて1000人以上のユーザーを抱える大規模ネットワークともなると管理の負担は大きい。

教諭は、「システムでできることと、人が対応すべき課題を切り分け、情報担当者の業務を明確化することが大切」と指摘。そのうえで、管理負担を軽減する手立てを講じる必要があると話す。担当者の主な業務としては、年次更新を含めたユーザー管理やPCの設定と、トラブル対応がある。

例えば教員用PCは、毎年の人事異動に合わせ、初期化とユーザー登録、メール設定などを1台ずつ行わなければならない。「鳥取ではすでに1人1台のPCが整備されているので、この手間は無視できない。今後は他の自治体でも、教員用PCの管理負担が課題になるのでは」と教諭は言う。

支援ソフトでユーザ管理を効率化

同校では、ソフトのインストールやファイル管理といった日常の利活用は教員の自己責任とする一方、ユーザー管理やPCの設定作業は、ICT活用教育支援ソフトウェア「SKYMENU Pro」(Sky株式会社)を使って軽減しているという。

「前の先生が使っていたPCをきれいにする作業も、『SKYMENU Pro』で作成しておいたディスクイメージをコピーするだけで済むので便利。生徒用のID発行など年度始めは作業が集中するので、手間を減らせるのは大きい」と教諭。

生徒側のユーザー管理も、利用者の名前から個別のユーザーIDや個人フォルダを自動作成する機能を活用して効率化しているそうだ。

「生徒の名簿ファイルを読み込めば一括処理も可能。数百人の生徒1人ずつにIDを作成し、個人フォルダをつくってアクセス権限を設定するのに比べると、年次更新の作業は格段に楽になりました」

作成したユーザー情報は、年度始めの教科「情報」の授業で生徒に配布。同時に、パスワードの設定やネットワークへの接続、サーバー上のファイルの取り扱いといったネットワーク活用の基礎を指導しているという。

運用管理も見据えた整備を

ユーザー管理の手間は支援ソフトの導入で軽減可能だが、日常的なトラブルの多くは「人」が対応しなければならない。この点について池田教諭は、運用管理まで見据えたネットワーク設計や管理システムの導入が不可欠と強調する。

「校内ネットワークはよく水道に例えられますが、それならば、しっかりした配管や水漏れを検知するシステムが必要なはず。どこでどんな障害が出ているか把握できるといった必要最低限の備えがあるだけでも管理負担は軽減できますが、現状ではそれすらもないケースが多いのです」

教諭は、教員1人1台PCの普及が、校内ネットワークの現状を見直す契機になると予想。「『1人1台』のネットワーク環境で従来業務がどう改善されたか、それを実現するためにはどんな運用管理の備えが必要なのかを知ることが大切。先行事例をモデルに、校内ネットワークのあるべき姿を問い直す必要があるのでは」と提言する。

(協力:日本教育新聞社)