授業でのICT活用

百分率で乗車率を求めよう

授業の様子
本時のねらい

本時は百分率を学習した後の時間である。これまでは比べられる量はもとになる量(基準量)を超えていなかったが、今回は比べられる量が1(100%)を超える問題を扱う。

乗車率を通して比べられる量が100%を超える割合があることを理解することをねらいとした。

授業の実際

まず百分率と割合の考え方の違いを想起した。その後初めて出てくる言葉「乗車率」について意味を確認し、問題文から「比べられる量」「もとにする量」を見つけた。今回も割合で考えていくという見通しをもたせた後に図や表、式や言葉などを使って自分の考えをノートに書かせた。自分の考えをもてた子には、考えのもてない子に教えてあげたり、考えをもてた子同士で交流をさせたりして、全員が何かしらの考えをもてるようにした。

全体交流では、タブレット端末に映した子どもたちのノートを発表してもらい、様々な考えを共有した。比べられる量がもとになる量を超えても割合の考え方に変わりはないということを確認した。

単元計画(全12時間)
第1時 数量の大きさを捉えるときには割合が妥当な場合があることを理解する。
第2・3時 割合の意味と表し方を理解する。
第4時 百分率の表し方を理解する。
第5時 百分率が100%を超える場合を理解する。(本時)
第6時 歩合の表し方「割」を理解する。
第7時 基準量と割合が分かっているときの、比較量の求め方を理解する。
第8時 比較量と割合が分かっているときの、基準量の求め方を理解する。
第9・10時 割合を(1±a)とする問題の解決の仕方を考えることができる。
第11時 割合についての学習を活用し、問題を解決することができる。
第12時 基本的な学習内容の理解と定着を図る。

本時の展開

学習の流れ 主な学習活動 指導のポイント
(タブレット端末活用場面)
前時の想起 割合と百分率の違いを確認する。

1前時の板書を大型テレビに投影し、内容を想起させる。

学習課題をつかむ 乗車率を求めよう。  
個人で思考する 図や表、式や言葉で乗車率の求め方を考える。

2自分の考えをもてた子どものノートを撮影する。

全体で共有する ノートに書いた考えを発表し、共有する。

3撮影したノートを投影し、考え方を説明する。

今日の学習を
まとめる
比べられる量がもとになる量より大きくても、考え方に変わりがないことを確認する。  

タブレット端末活用のポイント(効果と児童生徒の反応)

前時の学習を確かめよう
カメラ、マーキング

割合は5年生の子どもたちにとって決して簡単な学習ではない。そのために前時で学習したことをすぐに想起できるかどうかがポイントになってくる。算数では、割合の学習に入ってから毎時間の板書をタブレット端末の[カメラ]機能で撮影し、保存している。こうすることで、次回の授業の導入時に前時の板書を大型テレビに投影することができ、子どもたちは即座に授業で学習したことを思い出すことができる。そしてその日の課題にスムーズに取り組むことができる。

考えを比べよう
画像の比較表示

子どもが自分の考えを発表するときに、よく似た考えや違う考えが出ることがある。そんなときには『SKYMENU Class』の[画像比較]機能を使って、大型テレビに投影すると「何が似ているのか」「どこが違うのか」を比べることができる。本時では既習事項を使って考えを発表した子どものノートと前時の板書の画像を並べて投影した。すると発表を聞いていた子どもたちにも目で見てわかりやすいので、何が似ているかをより簡単に理解させることができた。

自分の考えを発表しよう
カメラ、マーキング、拡大表示

子どもたちが考えた乗車率の求め方を発表するときに、教師用のタブレット端末を渡して発表させた。こうすることで自分の考えの強調したいところをマーキングしたり大きく表示したりすることができ、よりわかりやすい説明につながった。また、子どもにタブレット端末を渡して発表させることで、考えを聞いている子どもも、よりわかりやすい発表の仕方を学べるという思わぬ副産物もあった。

こんな場面でも使える!実践を振り返って

グループごとの発表を動画撮影し、振り返りに活用

私が日常的によく使う機能は、[動画撮影]機能である。子どもたちは自分のことを客観的に見ることはなかなか難しいが、タブレット端末では[動画撮影]機能を使って自分の姿を見ることが容易にできる。私が実践したのは、国語の提案文を発表する場面で、グループごとの発表を撮影し、各グループの振り返りに活用した。客観的に自分の姿を見た子どもたちは、集中して視聴し、ワークシートに振り返りを書いていた。

(2016年4月掲載)