学習指導要領/教育の情報化

新学習指導要領と教科「情報」 永井克昇(千葉商科大学教授、前文部科学省視学官)

「日本型情報教育」の正しい理解を

情報教育の目標を正しくご理解いただきたい。未だに「情報活用能力=コンピュータの操作スキル」「情報教育=コンピュータの操作スキルアップのための教育」と理解されている先生方がいます。我が国の情報教育は、諸外国とは異なり、「情報活用の実践力」「情報の科学的な理解」「情報社会に参画する態度」の3つの力をバランスよく身につけさせることをねらっています。決して指先のスキルを身につけさせることがねらいではありません。先生方には、この「日本型情報教育」を正しくご理解いただき、推進してほしい。

「情報活用能力」は全ての国民必須の素養であり、『読み・書き・計算』にならぶ4つ目の基礎力として身につけさせなければならない力であることを改めてご認識いただきたいと思います。

新学習指導要領実施にむけた準備を

学習指導要領の全面実施に向け、各高等学校におかれては教科「情報」の実施に関して、次の3点についての配慮をお願いしたい。

1つ目は、可能な限り「社会と情報」「情報の科学」の両科目を開設していただきたいということです。学校側が予め開設する科目を決めるのではなく、生徒が主体的に科目を選択できるように配慮していただきたい。

2つ目は、学習指導要領では、各科目ともに総授業数に占める実習に配当する授業時間の割合をあえて示していません。これは「実習をどの程度取り入れるべきか」という判断を、生徒の実態や指導内容に応じて、先生方の裁量で判断して決めていただきたいと考えているためです。「実習を行わなくてもよいのでしょうか?」といったご質問をいただくことがありますが、学習指導要領を熟読いただき、ご理解いただけていれば、そのようなことはありえないと考えています。

3つ目は、各科目の実施年次については、原則として同一学年次で履修することをお願いしたい。各校のカリキュラム編成の上でさまざまに事情があるかと思いますが、1単位分履修の教育的効果などを充分勘案され、教育課程を編成していただきたいのです。

学校現場の声を基に 次期改訂につなぐために

たくさんのお願いをさせていただきましたが、学校現場の先生方からもさまざまなご意見を頂戴しています。例えば、

  • 「現在、教科『情報』の教員は採用されていない」
  • 「『情報=コンピュータ』という考えの先生が多い」
  • 「少ない授業時間で実習と知識をバランス良く学習させることは困難であり、ある程度の情報リテラシーを身に付けさせるためには3単位は必要である」
  • 「2単位という時間数では、実践が不足がちである」
  • 「生徒のコンピュータスキルに差があるので、一斉にコンピュータを活用させることが困難」
  • 「高等学校入学時における生徒の情報活用能力の差への対応が必要である」

などです。このような貴重なご意見を、是非、積極的に発信していただきたい。先生方の声を次期学習指導要領改訂につなげていきたいと思っています。

(第3回全国高等学校情報教育研究会の基調講演から)
(2011年1月掲載)