情報教育/モラル

研修レポート 埼玉県狭山市立入間川東小学校 携帯電話の情報モラル指導研修 模擬授業で授業イメージと携帯活用の実情を知る

模擬授業で情報モラル指導のイメージをつかむ

志村 充康 教諭このほど、埼玉県狭山市立入間川東小学校では、夏季校内研修として携帯電話の情報モラル指導に関する研修が行われました。研修を企画された同校情報教育主任の志村教諭は、昨年度、「学校教育における携帯電話の情報モラル教育研究会(主査:中川一史・放送大学教授)」が主催する「携帯電話の情報モラル教育実践セミナー」に参加され、子どもたちにコンピュータ上で携帯電話を疑似体験させられるツール『SKYMENU Pro 仮想携帯』と付属する「教材セット」を活用した情報モラル指導を体験。セミナーで体験された内容を基に校内研修を企画された。

「本校の情報モラル指導はこれからの段階。仮想携帯を体験してもらい、先生方に子どもの情報発信の実情や課題を把握してほしい。また、模擬授業形式の研修で授業のイメージもつかんでほしい」と研修のねらいを話される。

疑似体験をしてもらい指導への興味関心を高める

仮想携帯に付属する「携帯電話の情報モラル指導実践ガイド」や大判の提示教材を使いながら模擬授業を展開研修の冒頭、志村教諭は「情報モラル指導は、子どもたちが『いやだな』『大丈夫かな』と実感することが大事。携帯電話の疑似体験ツールを利用して、コンピュータ教室の安全な環境の中で、子どもに失敗体験をさせたい」と話され、先生方を子どもに見立てて模擬授業を実演された。

模擬授業は、「教材セット」に同梱されている「携帯電話の情報モラル指導実践ガイド」に指導案が掲載されている2つのモデル授業「メールのせいで?」「プロフはかんたん!?」を紹介された。

指導案には、学習活動や必要な仮想携帯の操作方法、板書例、発問例など詳しく記載されており、志村教諭は一つ一つ流れを確認しながら模擬授業を展開された。

仮想携帯で携帯電話のメールやプロフの利用における問題を疑似体験学習者機1台1台に仮想携帯が表示されると、先生方からは「本物の携帯電話みたいだ」と驚きの声が上がり、メールやプロフを作成する場面では、集中して取り組まれていた。特に、プロフに関しては、仮想携帯を通じて初めてその問題点を理解された先生もおられ、「なぜプロフに登録しようとするのだろうか」と子どもたちの情報発信について疑問に思い、先生方同士で話し合われる姿も見られた。疑似体験を通じて、先生方の情報モラル指導への興味関心が高まっている様子が見受けられた。

『いやだな』という感覚を磨く指導を

研修のまとめでは、志村教諭が作成されたプレゼン資料で情報モラル指導の必要性を説明された。模擬授業を振り返り、体験を通じて子どもたちに思考・判断させることや話し合いなどの言語活動を大事にすること、最後は教員がまとめ、本時の学習を実生活と結びつけることがポイントと解説された。

そして、昨今話題となっている「ネットいじめ」を例に挙げ、その特徴や恐ろしさを説明されるとともに、書き込みを発見した場合は証拠を残すことや、管理者に削除依頼を行うなどの具体的な対処方法を紹介された。

また、相談しやすい信頼関係作りや教員が子どもの変化を敏感に感じとるといった、普段の学級経営を大切にしてほしいとまとめられた。

模擬授業のポイント研修の総括は同校の永倉常一郎校長が話され、「インターネット上では、心無い言葉が非常に多くやり取りされている。情報教育は人権教育と通じており、『いやだな』『だいじょうぶかな』という感覚をいかに磨いていくのかが大事。文字だけのコミュニケーションでは気持ちがなかなか伝わらない。我々大人でも、言葉が足りなくて伝わらないことがある。それでも、子どもたちの情報活用はどんどん進んでいく。教員が時代に遅れないようにこれからも研鑽していきたい」と教員一丸となった情報モラル指導を訴えられた。

先生は『何でもお見通し』指導で子どもに示す

研修の企画にあたり、志村教諭は携帯電話の情報モラル指導案がまとめられた「携帯電話の情報モラル指導実践ガイド」を参考にされた。実践ガイドには、仮想携帯の操作解説資料や学習活動の流れや発問例、指導上の留意点などが詳しく記載されている。授業で使える大判掲示教材やワークシート、プリントもセットで提示されている点もご評価いただいた。

また、このような教材・ツールを利用して、教員が自ら指導することが重要といわれる。

「外部講師による情報モラル指導も効果的ですが、子どもの傍にいる先生方が指導することがとても重要だと考えています。先生が子どもの情報発信の実情について正確な知識を持ち、指導することで『先生は何でも知っていてお見通しだ』と理解させ、それが先生への信頼感とともに子どもたちへの抑止力にもなると考えています」。

年間指導計画に沿って、系統的な指導を

何かトラブルが発生してからの情報モラル指導は、一面的で、対症療法的な指導になってしまい、やがて次のトラブルにつながる。問題が発生する前の指導が重要であることは明らかだが、授業時間の確保の難しさを志村教諭は指摘される。また、新学習指導要領では、各教科指導の中で情報モラル指導を行うこととされており、どの科目の、どの単元で、どのように指導を行うのか。より具体的な指導場面や年間指導計画の検討が今後の課題とのこと。

「情報モラル指導は、継続的な指導が重要です。仮想携帯で子どもたちに失敗体験をさせることは非常に効果的ですが、年1時間だけの場当たり的な指導では高い学習効果は得られないと思います。まずは1週間に5分でもよいので、情報モラルに関する話題を継続的に子どもたちに伝えることから取り組んでいきたい。そして年間を通じた指導計画を軸に、段階的な指導を行いたい」とお話しいただいた。

(2012年10月掲載)