「校務」&「セキュリティ」

文書管理の電子化を軸に校務情報化を推進

藤本慎也先生・浦嘉太郎先生堺市教育委員会では、平成22年度に校務支援システム『SKYSCHOOL Agent』を導入されました。教育委員会(教育センター)と市内全150校の学校園で、メールや掲示板による情報共有の推進や、文書管理業務の電子化を推進されています。
 同市の校務の情報化を中心となって進められている堺市教育委員会の藤本慎也総括指導主事、浦嘉太郎指導主事にお話を伺いました。

管理職から段階的にPCを整備

本市には、幼稚園10園、小学校94校、中学校43校、支援学校2校、高等学校1校があります。全学校園および教育委員会事務局、関係機関は超高速光専用回線による教育用イントラネット「教育情報ネットワーク」で接続されています。

「教育情報ネットワーク」は、平成18年から運用を開始。各校園の管理職には専用のコンピュータを整備し、校務の情報化を進めています。

学校の校務はそのほとんどが教頭先生を通っています。本市は、その教頭先生の業務をいかに効率化していくのかを校務の情報化を検討する上でのポイントと考えました。

そのため、校園長先生、教頭先生のコンピュータはノート型ではなく、ある程度処理能力があり、画面も大きく仕事で使いやすいデスクトップ型を整備しました。

そして、平成22年のスクールニューディール政策の中で教職員の校務用コンピュータが整備され、現在、5,000人以上いる教職員のうち8割程度にコンピュータが整備されています。

教育に特化したグループウェアが必要

「教育情報ネットワーク」の運用開始時は、教育用ではなく、企業などで一般的に使われているグループウェアを導入しました。学校専用ではなかったのでメール、掲示板、教育委員会から学校へのお知らせの機能などしかありませんでした。しかし、平成18年から管理職の先生方が自分専用のコンピュータを持ち、仕事を進めていく上で、その便利さや仕事が効率的になることを徐々に実感されてきていました。

そして、平成22年度の大型整備でより多くの教職員がコンピュータやネットワークに触れると考え、併せて教育専用で校務を処理するための機能を備えたグループウェアの整備が必要と考えました。新しく整備する教育専用のグループウェアには、メール、掲示板、お知らせの機能は必須であり、子どもたちの出欠管理や、教育委員会や学校間で執り行うさまざまな文書のやりとりを電子化できることなど、学校特有の機能が必要になると考えました。

また、教職員の多くは初めてグループウェアに触ることから、インタフェースが直観的であることもポイントとしました。

旧態依然とした情報共有手段の改善を

そこで、校務支援システム『SKYSCHOOL Agent』に注目し、さまざまな情報共有の仕組みの中で、特に[文書管理]機能が有効と考えました。

現状、学校と教育委員会の情報のやりとりは、電話や紙、FAXなど多種多様な手段でやりとりされています。そして、それらはすべて教頭先生に伝わり、各教職員に伝達されます。また、大事なことは朝の職朝で口頭伝達をするといった旧態依然としたやり取りが行われています。

情報伝達の効率化が必須であること明確であり、コンピュータやネットワークが持つ通信機能で、今学校に欠けている「情報共有」の部分を補いたいと考えました。

「校務の情報化」といわれると、「成績処理」というイメージがありますが、成績処理は、以前からExcelや専用ソフトなどで取り組まれており、それぞれの教員や学校の中で完結していることが多いのではないでしょうか。それらを何か新しい仕組みに統一することは、ドラスティックで大きな変化をもたらし、パワーと時間がかかります。

また、「Excelのときより使いにくくなった」「必要な情報が出てこなくなった」といった声もきっと出てくるでしょうし、何より、仕組みの統一にかかる労力の割に、結果として大きな効果を期待しにくいのではないと考えます。

しかし、ネットワークで情報を共有し、教職員が一体となって業務に取り組むことへの理解がきちんと根づいたその後に成績処理システムの整備を行うならば、円滑に進むよう思います。そのような考えをもとに、本市ではネットワークの有効活用に焦点を当てた整備計画を進めています。

【教委⇔学校】管内学校へのお知らせや訃報の伝達に

[教育委員会からのお知らせ]機能では、教育委員会から学校へ伝達しなければならないさまざまなお知らせや文書を掲載しています。運用のルールも定めており、例えば、急を要するものは【緊急】と書いて掲載しています。文書も添付できるので、印刷して学校の中で配付するという使い方をされています。

また、[管内連絡]機能は、訃報連絡に利用しています。これは非常に活用度が高く、大事な情報を確実に伝達できるので、伝え忘れの心配もなくなりました。

[お知らせ掲示板]機能も、校内外のさまざまな連絡手段として利用されており、校内では、情報共有の手段の一つとして活用がすすんでいます。

【管内】個人情報を含む情報は管内学校メールで

本市では、これまでフロッピーやUSBメモリ、メールなどで個人情報を含んだデータのやりとりを行っていました。

電子データの取り扱いを厳密化し、より安全にデータのやり取りを行いたいと考え、業務において必要な個人情報を含むデータの教委学校間、学校間でのやり取りは、普通のインターネットメールではなく、必ず「管内学校メール」機能で行うこととルールを定めました。

「管内学校メール」機能は、「教育情報ネットワーク」内のユーザ間のみでメールを交換できる機能であることから、各校管理職もこの運用をご理解されています。

使わざるをえない状況を作り、活用を促す

グループウェアは使われなければ意味がありません。導入する立場として、どうすれば学校に使ってもらえるか、また、使用することによってこれまでにないメリットのある状況をどのようにして作りだしていくかを常に意識しています。

[文書管理]機能は、昨年から運用を開始しており、第一段階として教育委員会から学校へ回答の必要がない文書を電子配信しています。学校は『SKYSCHOOL Agent』で文書を確認されており、すでに『SKYSCHOOL Agent』の画面を見ないと仕事が立ちいかないと感じています。

各校の管理職の先生方からも「文書の処理が早くなった」という声を聞いています。「送った、送ってない」という話もなくなり、確実性が格段に上がりました。

また、これまで学校では教頭先生が文書を簿冊に綴じていました。現在はシステムで整理されているので、[文書管理]機能を用いて教育委員会から電子配信された文書は、簿冊に綴じる必要がなくなりました。その結果として負担も軽減され、評価も上々です。

【教委⇔学校】文書を即座に収受・確認

[文書管理]機能の本格運用は平成24年9月から予定しています。学校の業務の根幹に近い部分ですから、きちんと行えなければ、学校が混乱します。

また、文書管理システムの運用は、システムが持っている能力に加え、計画が非常に大事です。文書の受け手の教頭先生、事務職員のICT活用スキルには、当然バラつきがあります。運用を一気に進めると混乱をきたすでしょう。すべての教職員が利用できるように、スモールステップで確実に運用していきたいと考えています。

[文書管理]機能で管内150校に文書を送ると、あっという間に20校、30校で受信『済』のマークが付き、受け取られていることがわかります。非常にスピード感がありますね。

すでに数名の管理職の先生方から、教育委員会が起票した調査票に各学校が回答を記入し、結果を自動集計できる[調査・申請]機能の運用を早く開始してほしいという声が出てます。

もっと多くの人がそのようなイメージを持った上で[調査・申請]機能の運用に入っていけたらベストだと思っています。「便利さ」は確実に実感していただけているのではないでしょうか。

文書の確認イメージ

「素早く」「的確に」「効率よく」情報を共有

SKYSCHOOL Agent』は、教職員の職務、職制に応じて必要な情報が表示されます。自分が見たい情報、今日、明日に必要な情報を忙しい業務の中でも一目でわかるようになっています。今後も、パッと画面を見れば必要な情報が一目でわかる、集約されているインタフェースや機能を強く望んでいます。

今、学校の業務の流れの中で「ボトルネック」となっているのは教頭先生の業務です。

SKYSCHOOL Agent』は、教頭先生に集中する情報を、素早く、的確に、効率よく処理をするツールとして、多くの人に恩恵を与えていると思います。この「多くの人」の中には、もちろん「子ども」も含まれています。

紙からグループウェアを利用した文書管理に切り替わるにあたり、本市の文書管理規定の見直しも同時並行で進めています。どのような規定が学校の業務をよりスムーズにできるのか、[文書管理]機能を運用しながら検討を重ねています。

規定の検討にはすでに2、3年かかっています。時間はかかりますが、学校の業務の拠り所となる部分ですのできちんと整備していきたい。

また、『SKYSCHOOL Agent』の各機能は、その目的に合わせたルールを予め策定しており、学校に説明しています。もし学校側で、ある機能を利用したいと考えた際には、そのルールを参照して使ってほしいと考えています。

今後の課題としては、やはり[文書管理]機能の本格運用を確実にすすめることです。そして将来的には、成績処理や指導要録、子どもたちの出欠管理、さらには学校における出退勤の管理なども『SKYSCHOOL Agent』で取り組んでいきたいと思います。

(2012年6月掲載)