ICT活用教育のヒント

「2005年」の学校に対応した校内ネットワークの設計 高橋 純

設計時に特に検討された事項

前回述べた設計モデルを用いて、F小学校において導入を行った。

F小導入時には、さまざまな事項が検討されたが、その中で、特にセキュリティ設定とソフトウェア選定に関する検討のポイントを述べる。

セキュリティ対策

学校でのセキュリティ対策は、主に学校外からの不適切サイトへのアクセス制御、不正アクセス防止、ウイルス感染防止、個人情報保護とされる(文部科学省 2003,2002)。これらの具体的な対策は、教育委員会や学校組織によって内容が大きく異なると思われ、単純に他地域の内容をそのまま利用できない難しさがある。また、技術的な対策のみならず、人的な対応や運用規定なども必要である。

技術的な対策については、多層防御という考え方が参考になる。分けられた「層」ごとにきちんと対策をすることで、より安全に、より簡単にセキュリティ対策を行うことができる。

例えば、「境界の防御」の層においてはファイアウォールを利用し、「ネットワークの防御」では校内ネットワークでの教師系と生徒系の分離や無線LAN対策などを行い、「ホストの防御」ではクライアントとサーバの保護、「アプリケーションの防御」ではセキュリティの考え方をアプリケーションに導入、「データの防御」では暗号化やバックアップといった対策が行える。場当たり的なセキュリティ対策をしないためには、多層防御の考え方は参考になる。

人的な対応、セキュリティポリシーや運用規定などは、情報セキュリティのマネージメント規格であるJIS X 5080(ISO/IEC17799)などが参考になると思われる。例えば、秘密性に関するセキュリティ事故において、起こりうる事故の内容や対策などが示されている。これらを学校に当てはめて検討が可能であると思われる。

ソフトウェアの選定

学校に導入されるべきソフトの種類を示す。

一般的に導入するソフトウェアを検討する際は「学習用ソフト」の検討が焦点となることが多い。そして、それ以外のソフトウェアはあまり検討されずに業者任せになり、導入されないこともある。

しかし、基本的なセキュリティソフト、校内のコンピュータ・ネットワークを管理する教育用ベースウェア、校務の情報化ソフトの導入も重要である。児童・生徒5.4人に一台の時代において、従来通り校内に一人の情報担当者で管理・運用するならば、教育用ベースウェアなしではその遂行は困難である。

また、教育用ベースウェアは使い勝手も重要である。教育用ベースウェアでできることは、多くの無料ソフトを組み合わせで実現できる。しかし、これでは操作方法に一貫性がない。また、実行までは簡単にできても、得られたデータは詳細すぎるか、専門的すぎることが多い。ネットワークの専門家ではない先生は理解不能で活用できない。

したがって、多くの研修が必要になったり、説明書との格闘になったり、諦めて人力での解決になったりする。教師の時間単価は高い。あっという間に市販の教育用ベースウェア費用くらいはかかってしまう。市販ソフトなら、ビジュアルに必要な情報だけが、一貫した操作でわかりやすく表示される。

ワープロなどと違って教師にとって不慣れな分野のソフトであり、わかりやすさが重要である。

終わりに

安心感のある校内ネットワークの設計のためには、単につなげればよいだけではなく、数多くの配慮点が要求される時代となっている。本稿では「2005年の学校」に対応した校内ネットワークの設計方法の主なポイントについて述べてきた。他にも多くの配慮が必要であるが、今後の課題としていきたい。

(2005年5月掲載)

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