ICT活用教育のヒント

「2005年」の学校に対応した校内ネットワークの設計 高橋 純

設計方法のモデル化

「2005年の学校」に対応した校内ネットワークの設計方法のモデル化

安心感を確保し、さまざまな問題に対応した校内ネットワークの設計のためには、先進地域や、専門的な知識と豊富な経験を持つ企業などからの設計段階からの支援が欠かせない。

そこで、設計をする際に、導入する学校や地域の要望を考慮する段階より前に、先進地域や企業の実例を元に、設計原案を作る段階を組み入れた設計方法をモデル化した。設計原案には、先進地域の実例から、運用上の問題点やノウハウを含める。先進地域とは、年次更新作業などを考えると校内ネットワーク運用において、少なくとも3年以上順調に稼働していることが条件になると思われる。

一方で、ネットワークの導入実績の多い企業からのセキュリティなどの技術的な情報や、設計や導入ノウハウも設計原案に含める。その後、導入する地域や学校の要望を汲み取り、設計原案に組み込んで設計を完成させていく。その際には、必要に応じて、要望の実現の可否などについて、地域や学校に設計案を示して修正を繰り返す。

以上により、セキュリティ対策や管理運用の容易さ等を実現しつつ、導入する地域や学校の要望も満たした設計ができると考えられる。

設計方法モデルの適用と評価

本設計モデルを用いて、富山県F小学校において導入を行った。F小学校では、これまでに校務用に全ての教員にコンピュータが配布されており、児童向けにはコンピュータ室のみに20台あった。本導入では児童用コンピュータを倍増させ各教室前にも設置する。プリンタも校内に分散配置し、サーバも導入する。設計原案は、徳島県M郡と大阪府S社の実例を元に作成した。設計原案には、認証方法、バックアップ、アップデート方法、ウイルス対策など管理運用やセキュリティ面からも多くの内容が含まれた。

その後、F小の教員に対して、校内ネットワークへの要望を自由記述でアンケート調査をした。その結果「子どもの学習の足跡が見えにくい」などの要望が寄せられた。主な要望は、学習指導上の要望に集中しており、管理運用のしやすさやセキュリティ対策等などはほとんどなかった。本設計方法のように、学校からの要望とは別に管理運用などを盛り込むことが必要であることが示された。その後、設計案をF小に示し、いくつかの修正を行った後、設計を完成させ導入を行った。導入後3ヶ月経過しているが、ほとんどトラブルは発生していない。

この間、F小の教員に対して2度の校内ネットワークへの要望のアンケート調査を行ったが、機器の不調などに関する要望はほとんどなくなり、授業への活用方法などに内容が変わっていた。

<導入前によせられた要望>( )は件数

  • 指導のしやすいコンピュータの設定・配置(11)
  • ネットワークやプリンタ機器動作の確実性(5)
  • ネットワークやプリンタ機器動作の確実性(5)
  • 情報・ファイル共有など、校務処理のしやすさ(4)
  • 児童向けコンピュータ動作の確実性(2)
  • ウイルス対策(2)
  • ホームページの作成のしやすさ(1)
  • アカウント等の年度更新のしやすさ(1)
  • 迷惑メール対策(1)

<導入1ヶ月後の要望>( )は件数

  • 子ども全員分コンピュータがないので、授業の利用には工夫が必要(2)
  • 共有フォルダがクリックしてから開くのに時間がかかる(2)
  • 自由に使えるコンピュータはどのように子どもに使わせることが適切か(1)
  • 子どもたちがデジタルカメラで撮影した画像を取り込んだり加工したい(1)
  • 共有フォルダが利用できないコンピュータが1台ある(1)

(2005年2月掲載)

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