ICT活用教育のヒント

「2005年」の学校に対応した校内ネットワークの設計 高橋 純

校内ネットワークが抱える問題点

1.規模拡大。少数の担当教員では校内ネットワークが管理困難に

コンピュータ数の増加や校内への分散配置といった「2005年の学校」では校内ネットワークの規模が大きくなり、管理運用は専任でも専門でもない教員では困難である。特に、情報科教員などの専門性の高い人材がいる高等学校よりも、小学校の方が多くの困難に直面すると予想される。管理業務の低減に充分に配慮する必要がある。

2.個人情報漏えいやウイルス感染事故など、専門性と作業負荷の高い作業が日常業務に

個人情報漏洩やウイルス感染事故の頻発などが社会問題にもなっている。個人情報保護法が制定され、保護者や地域の人の権利意識も強くなってきている。もしも、校内のサーバから児童・生徒の個人情報が流出したら、その責任の一端を負う可能性も高い。1998年に宇治市の情報漏洩事件では、原告1人あたりの賠償額が1万5千円であった。仮に在校生1000人の個人情報が漏れた場合は1500万円の賠償である。学校でのセキュリティ対策は、主に学校外からの不正アクセス防止、不適切サイトへのアクセス制御、ウイルス感染防止、個人情報保護とされる(文部科学省 2003、2002)。

従来は不正アクセスや不適切サイトなど学校外から被害を受けないことを重視してきたが、近年の企業等における相次ぐ個人情報流出や、感染後に他人に被害を与えるウイルスの増加といった背景から、学校が加害者になることも想定される問題となっている。このセキュリティ対策は場当たり的には対応できないレベルに達しており、校内の担当教員だけでは適切な対処が困難である。

校内ネットワークの導入時からの総合的な検討が必要となってきている。

3.ノウハウ不足、理解不足で予算減

セキュリティ対策を含む管理運用の対応にかかる費用は、例えば最先端の学習用システムを導入する事に比べ、華々しさや目に見える効果がわかりにくいため軽視されがちである。さらに将来にわたる運用管理のしやすさはサーバ等の設定の作り込み、つまり導入時の人件費にも大きく関わる。しかし、導入費用を抑えるためや、教員が将来の学校ネットワーク像を予想できないためにヒアリングではこれらは要望にあがらず、適切な費用が配分されないケースも多い。

以上から、校内ネットワークを設計する際に配慮すべき問題点は次の3点に集約される。

  1. セキュリティや個人情報保護といった学校外とも密接に関連した問題
  2. コンピュータの増加や分散配置といった規模の拡大、ネットワークの高速化や技術の高度化に管理担当の教員が対応しきれない問題
  3. 設計時に、運用管理のしやすさといったことが重視されずに、納入費用が安価であることや先進性が重視されがちである問題

(2005年1月掲載)

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