ICT活用教育のヒント

校内LAN活用の3つのポイント 高橋 純

情報安全への取り組み

交通安全のように、情報安全への取り組みを

学校の情報化について「情報化の影の部分に配慮するべきだ」とよく言われる。ここでは、情報漏洩の問題がある、セキュリティの問題があるといった影だけは詳しく列挙され、肝心の配慮の部分についておざなりになっている例は多い。これにより、事情に詳しくない管理職の人が、情報化について否定的なイメージを持ってしまったり、影の問題が解消するまで校内ネットワークの積極的な活用を避けるといった対応を取る場合がある。

そこで「交通」を例に考えてみる。現代は車社会であり、排ガスや交通事故など多くの問題を抱えている。しかし、車への依存度は小さくなるどころか、年々大きくなる傾向がある。もはや車社会を否定することはできないのが実情である。そこで、これらへの対応は、交通社会の影を列挙しても問題解決にならないことから、交通安全運動や道路の改善といった方向に向けられる。

情報化にあてはめてみると、官公庁や企業は当然のこと、電子メールや携帯電話の利用は小学生にも及び、車と同様に、情報化への依存度は年々大きくなっている。もはや、情報化を避けることはできず、影の部分を含めて上手に付き合っていくしかないのが実情である。

したがって、影の部分の列挙より、利用者が安全に情報化に対応できるように、情報安全への取り組みを行ったり、ネットワークやコンピュータといった設備の構築や改善を、どのように行っていくべきかが検討のポイントになる。

例)情報モラルの育成

情報モラルの育成は、一回の学習だけではなく、継続的な学習が必要である。また、授業のみならず、インターネットや校内ネットワークをある程度自由に使わせたいといった場合、情報モラルに関する授業をどのタイミングで行うかは悩ましい。

そこで、大学の場合ではあるが、これらを解決する一つの方法として、 e-learningを使って情報倫理を学ぶ事例がある。ここでは、学習者が一斉に集まる必要がなく、繰り返し理解できるまで学習ができるe-learningのメリットを活用している。

入学時にこのシステムを使って学ぶことが義務とされ、合格しないとインターネットが利用できない。また、継続的な学習が必要であることから、運転免許証の更新のように、定期的にチェックをする仕組みの導入も検討されている。

例)うっかりミスを防ぐプリンタ共有

「校内ネットワーク活用ガイドブック」(文科省 2003)では、情報漏洩を防ぐため、校務情報を扱うネットワークと、学習用のネットワークを分離することが推奨されている。しかし、既に校内ネットワークが導入されていたり、費用等の面で、このような設定ができていない場合もある。そこで、悪意を持った不正アクセスは防ぐことは難しいが、うっかりミスを防ぐ設定や操作手順がかんたんに導入できるならば、導入した方がよい。

プリンタを例にすると、プリンタをネットワーク共有すると便利であるため、多くの学校で行われている。しかし、教室や職員室の行き来がある教師用コンピュータを利用している場合、名簿等の重要書類を職員室のプリンタに印刷するつもりが、誤って児童生徒が使うプリンタに印刷してしまうことがある。

しかも、印刷した本人は、プリンタの不都合で印刷されないのだと思い込んでしまったり、目の前のどこにもその書類が見あたらないため、結局、その重要書類は放置されてしまうことがある。

そこで、コンピュータ室や教室のプリンタは、職員室から利用できない設定を行う。パソコンを使ってプリンタ共有している場合、アンチウイルスソフトとセットになっていることも多い。数千円のfirewallソフトの導入で設定することもできる。

実際、情報漏洩は、人為的なミスで起こることも多い。校内ネットワークの安全確保のため、外部からの不正アクセス防止等には専用の設備を導入する必要があるが、人為的ミスを防ぐためには、このような設定や、安全な操作手順の確立など、手軽にできることもある。

(2003年11月掲載)

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