ICT活用教育のヒント

アグレッシブな環境整備が分かりやすい授業を生む 中川斉史

利用者が守るべき運用ルールを

環境は大切…でも

校内ネットワークに限らず、ITなどを学校現場で利用するときに、「環境が整ってなくて・・・」という声をよく耳にする。何気なく使う「環境」という言葉だが、実は教師や子どもの行動に大きな影響を及ぼすものである。

環境という言葉の意味は、大きく分けて2つある。EnvironmentとSituationの2つの意味である。校内ネットワーク環境というのは、設計者の意図が明確であることを考えると、Situationという意味が強いはずである。

つまり、校内ネットワークを用意して、設計者側が何をどう変えたいかということをはっきりともち、利用者もそれをしっかり受け止めて利用するというスタイルが大切である。できること全てを用意して、使っても使わなくてもいいというような設計の仕方では、結局何をどうするのかよく分からないまま、使われない校内ネットワークができあがってしまう。こういう失敗は繰り返したくないものである。

校内ネットワークと一口に言っても

校内ネットワークという言葉は、とても意味が広い。物理的に教室間がつながれば、校内ネットワークは整備されたことになるが、実はその次が重要である。

物理的な線の上に「何」を載せるのか、「どうやって」載せるのか、「何のために」載せるのか、ということをきちんと計画してこそ、本当の意味での校内ネットワークができあがる。

【何を載せるか】

何を載せるかは、大きく分けて、教師にとって必要なものと、子どもたちにとって必要なものの2つがあるだろう。そしてそれらは、細かく分かれている。さらに、日々更新されるデータになっているはずだ。大切なのは、教師だけが見るものと教師も見るもの(子どものデータ)の違いである。

【どうやって載せるか】

デジタルデータであれば、とりあえず校内ネットワークに載せることができる。しかし、デジタルデータといってもさまざまな形式があり、どのコンピュータでも利用できるのかどうか、校内ネットワークに載せるべきデータかどうかを考える必要がある。

ワープロデータやデータベースデータは比較的ファイルサイズが小さく載せやすいが、そのデータを利用するためにはそれぞれのアプリケーションが必要である。また、校内ネットワークで最も多いデータは画像(写真)データであると思われるが、形式によってファイルサイズが異なる。サイズにこだわるのは、1対多でやりとりする場合に思わぬ時間がかかり、せっかくの校内ネットワークを生かし切れないことがあるからである。

同様に最近は動画などを校内ネットワークで利用するため、載せるデータのサイズを気にすることは、大切なことである。

【何のために載せるか】

校内ネットワークは、データを共有するためにある。共有するとどんなことが便利になるのかを共通理解しておくことは大切なことである。データの共有でしてはならないことは、『共有データを自分のものにしてしまわないこと』と『最新状態をキープしないこと』である。

校内ネットワーク上にデータがあり、頻繁にそれを更新する人にとっては、いつもそのデータを手元に持っておきたいのが心情である。だからといって、そのフォルダをコピーして別の場所(ローカル)においたりすると、最新のデータが共有されないことになる。

もし、これが学校行事のデータであったらどうなるであろうか。「ファイルはそうなっているが、実はこの日が○○で・・・」という会話が一部の人だけに伝わり、結局いろいろな準備などで支障をきたすことになる。特に教員は、日中ほとんどを教室で過ごす。そのため、職員室でどんな会話がなされ、どんな風に計画が変わっていったかというプロセスを知ることはない。まして、朝以降途中で変更になった話などを知らないまま、子どもたちに明日の用意を伝えたなどということも起こりうる。朝、年休を取って途中から合流した先生や、昼から出張の先生など、ずっと顔を合わせられない人もいる。たまたまその日、その時間職員室にいた人だけが情報を知り得ていたのでは困る。

【以上のことから…】

つまり、校内ネットワークは、物理的なインフラとしての機能以上に、利用者側が守るべき運用のルールがあり、それをしっかり守るような組織があって、初めて有効に機能するものであるといえる。自動車が便利なのはみんなが交通ルールを守るからである。

校内ネットワーク整備の責任をもつ者は、整備と同時にルールも一緒に考える必要がある。

(2005年5月掲載)

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