ICT活用教育のヒント

校内ネットワーク活用のモデレーションを 中川斉史

校内ネットワークがよい授業をつくる

教師が便利になるためだけの校内ネットワークでは、物足りない。やはり授業に結びついてこそ、その必要性も賛同してくれる。具体的な利用について例を挙げておく。

データの共有

デジタルカメラの映像は、学校でどのように処理されているだろうか。1人の教師や子どもが撮影したものを自分だけが使うのではなく、校内サーバで共有させることで、「この先生はこういうところを撮っていたのか」、「この子はこういうことがとても気になっていたのだな」など、新たに他人の視点を知るきっかけにもなる。あるいは、授業において、何かを説明するときにとても有効な写真を一人が隠し球として占有するのではなく、学校としての共有財産にすることで、結果的に「よくわかる授業」が展開されることになる。データの共有は,ただ単にみんなで使うと便利だということ以外にも、こういうメリットがある。

ネットワークに何を載せるか

PCもプロジェクタも所詮機械であり、「何」を映すのかが大切であることは周知のことだと思う。「何」の部分は絵の具や色紙のように多くの種類から選べることが必要だが、常に三原色から色を作るのではなく、あらかじめよく使う色を作っておけるような仕組みも必要である。授業で利用するデータは時期によってほとんど固定化されており、その学校独特の文化になっているといえる。少しの間本気で、学校で利用されるデータを集め、整理することで、とてもよいデータベースを作ることができるはずだ。

しかしそんな時間がないと嘆く人もいるはず。何も教員が何でもやる必要はなく、そのデータベースづくりそのものを授業として成り立たせることもできる。校内のネットを利用して個人のデータをサーバへ登録することで、次の年に利用できるデータベースが作成される。このように同時に同じ作業をしたり、それらの情報を一度に利用するなどの芸当は校内ネットワークがないと不可能である。

ドリルソフトと学習履歴

基礎基本が重視される中、ドリルのような反復学習がブームになっている。ドリル学習は単純作業の繰り返しになるため、その子にとっての必要感がないと意味のない時間を過ごすことになりがちである。跳び箱がうまく跳べなくて、自分から進んで何度も練習するというシーンと、宿題に出たから計算ドリルをがんばって練習するというシーンの違いはどこにあるのだろうか。それは、その子自身が感じている必要感だと思う。跳び箱の場合は、子どもにとっての目標を自覚しやすいため、進んで練習するという行為につながりやすい。しかし、計算や漢字の反復練習では、その練習が自分のどういう目標につながるのかを意識させることで子どもにとっての必要感が変わってくる。そのためには,自分で気づくような仕組みが必要である。たとえば、学習履歴を校内サーバへためておくことで、自分の練習の成果を振り返ったり、教師がそれを確認し、その子にあった適切な対応(課題の変更、励まし、賞賛)をとるなど、教師の感覚に頼らない指導を行うことができる。

このように教育の個別化や複線化、選択が増える中、個に応じた指導を徹底するには、もはや校内ネットワークなしでは実現できない状況になっているといえる。それらに気づいている学校や地教委はどのくらいあるだろうか。手作業での限界を見極め、何をデジタル化して、何を人間がするかということをはっきり組織として考えている学校は、非常にスマートな校務処理をしている。そこでは、本来時間をかけるべき子どもとの関わりにたっぷり時間をとっているという現実がある。

(2004年12月掲載)

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