ICT活用教育のヒント

校内ネットワーク活用のモデレーションを 中川斉史

校内ネットワーク運用成功事例の共通点

2つの現場の声

「ここ数年の文科省の提言や指示、方針などは、社会的背景を受けて、数も多くなっているし、そこで述べられている内容が半年で変化したりするので、現場は大変です。結局何をどうすればいいか分からず、そんなことより目の前の子どもの抱えている問題をまず解決してあげることが優先しますよね・・・」

・・・よく聞かれる現場の会話である。今年度に入ってからでも衝撃的な問題がたびたび起こり、学校で子どもたちに指導していかなければならないようなことがどんどん増えてきている。教育活動のできる時間は限られており、その時間枠の中で、何をどうやって子どもたちと一緒に考え、指導していくか頭を悩ませている。

一方、「2005年」という言葉を、情報系の人たちは合い言葉のように使っている。e-Japan戦略の提言などをバックグラウンドとして、校内ネットワークを整備し、授業での活用や教員間の利用促進などをすすめていくことが必要だと、職員間のMLをつくったり、グループウェアの導入や、校内サーバの管理などにがんばっている。

どうやら現状は、これらのような「情報化に限らず、なんか現場は大変。 やっぱり目の前の子どもよね」という考えと、「でも、教育の情報化は現実問題なので、少しはみんなの流れに合わせてください」という2つの立場が交錯しているのではないだろうか。

これらを解決するために

これら2つの主張、それぞれはまちがってなく、現場を経験したことのある人は、「そちらもそうだ」と納得するであろう。新しいことを推進する者と、新たな仕組みに順応しなくてはならない者との意見の相違がおこるのは仕方のないことである。

そこで、これら2つの考えをうまくモデレーションする必要がある。現場の先生方が「大変だ」、「忙しい」、「いっぱいいっぱいだ」と感じる原因をまず考えることから始める。そして、本来の校内ネットワーク管理者は、何を考えて、どんなことをすればいいのかについて、考えていく。

校内ネットワークの運用がうまいところは

校内ネットワークの運用がうまくいっているところの共通点は、「管理職・事務職の積極的利用」がある。世の中の流れとして、何事もボトムアップがよいスタイルだと思われているが、校内ネットワークを効果的にかつ真剣にすすめるためには、管理職や事務職がトップダウン的に関わることが必要である。

校内の情報の多くを扱っているのが、実は管理職と事務職。何をどのように処理するのかについて、職員の共通理解を図らねば、校内ネットワークはみんなのものにならない。みんなのものにならないということは、校内ネットワークは、あってもなくても困らないということになってしまう。つまり、校内ネットワークは、物理的な部分(仕組み、インフラ)と、利用者の行動(利用の約束、手順)をはっきりとさせることの両方が必要である。

そしてさらに、その約束事をきちんと守らせるためにトップダウンが必要になってくる。

職場の雰囲気はシステムに依存する

もう一つは、校内ネットワークを、怖く恐ろしいものでなく、便利だと感じさせている職場かどうかということである。サーバにある共有データを使ったら、それをきちんと戻しておくことで、次の人がまた使いやすくなるんだという意識を持っておれば、年度末には、その年に使った最新のデータが、サーバに残っているはず。しかし、整理がしにくいフォルダ構成であったりすると、どこに何があるか分からず、校内ネットワークは便利だとは思わないはずだ。さらに、間違えてファイルを消してしまって、そのことを責め立てられたりすると、二度と使う気にはなれない。

そうならないための工夫を校内ネットワーク管理者が設計しておくことで、失敗を恐れず、みんなが便利に共有データを利用するはずである。

(2004年10月掲載)

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