ICT活用教育のヒント

学校の情報化を支える教育情報化コーディネータ 中川斉史

学校が抱える問題

今の学校が抱えている教育諸問題と校内ネットワーク

現在の教育問題(学力低下、総合的学習や情報教育への取り組みの差、忙しさ、問題行動を起こす教員、評価の迷い、開かれない学校づくり…)は、教員や学校の中での情報共有がうまくいっていないことがすべての原因ではないだろうか。

学校の中での情報共有をうまく働かせることで、これらがクリアされると思う。それらを解決するための校内ネットワークモデル(システムにとどまらず運用や研修、教材も含めて)が必要だろう。

これらは、単なる校内の小さなネットワークで考えることではなく、地域のネットワークという物理的なものから、地域ネットワークコミュニティといった、社会力を持ったネットワークに成長できるようなネットワークが必要となる。

校内ネットワークを有効に利用するための基本概念

校内ネットワークの整備とともに、必要なのがすべての教員が端末としてのコンピュータを利用できる基礎的スキルである。

しかしながら、現状では個人持ちのコンピュータを前提としているケースが多い。昔から、教員は身銭を切って必要と思うものを購入してきた。これは、かつて学校が文化の中心であったころからの教師文化の一つではないだろうか。

個人持ちのコンピュータは、当然購入時期もバラバラ、アプリケーションもバラバラ、ましてネットの接続形態やメールアカウントの利用方法などもバラバラである。同僚の机を見ながら、「そろそろ私も…」と言い出せない教師は、こっそり通信教育のコンピュータ講座に大金を払っているかもしれない。

あるいは、コンピュータが得意という先生がいて、「まず買いましょう」という言葉に乗せられて購入したものの、使い始めるまでの設定と説明をしてくれず、毎日職員室の机の上で充電だけを繰り返しているなどという笑い話もある。

コンピュータを苦手と思っている人は、年齢に関係なく存在する。コンピュータの操作は、概念化(イメージ化)が大切といわれる。場合分けで操作を覚えようとする人はなかなか上達しない。

これらのマイナス方向に向かないためにも、校内ネットワークの設計は大切である。たとえば、操作をすべてブラウザで統一するとか、目的を達成するために極力クリック数を減らす方法にしているとかである。

また、特にネットワーク上での失敗(メールの誤送信、共有ファイルの削除)などは、校内でどのようにフォローするかで、今後も利用するか、二度とさわらないかを決める重要な振る舞いである。

教員も子どもも使いやすくするために

校内ネットワークの設計や運用は、ネットワークスキルを持った人間が一方的に決めるべきものではない。基本は、「使う側」が便利だと思うように設計すべきである。

通常、校内ネットワークといえども、かんたんな現場のヒアリングのあと、導入業者や導入側が、「便利だろうな」と思う立場で、設計して納めるという形が多い。ここに大きなズレがあるため、不便なネットワークができあがる。

行政側も、大金をかけて校内ネットワークや地域ネットワークを組んだのだから、使ってほしいと思うのも当然である。しかし、この両者には、使う側が出てこない。そこで、これら学校現場(教員)、行政(教育委員会)、業者の3つの立場の三角形の中央に存在する位置づけとして、ITCE(Information Technology Coordinator for Education)がある。

(2004年2月掲載)

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