ICT活用教育のヒント

「教育の情報化とIT活用教育」コラム 原克彦

「教育情報化リーダ検定試験」を考える

6月18日に、「教育情報化リーダ検定試験」が実施されました。この検定試験は、学校の情報化を推進する校内リーダに必要な知識や技能、資質を確認するもので、今年度からスタートした教員向けの検定試験です。

この検定試験では、教育の情報化に関する政策・施策をはじめ、ICTを活用した授業の方法や教材の準備、情報モラル、ネットワークに関する問題など、学校の情報化に関する幅広い内容が問われていました。

さて、このような検定試験が始まった背景にはさまざまな理由が考えられます。そのひとつは、教員免許の更新制度との関わりです。運転免許の更新のように、講習を受けて済むようなことは考えられません。教員を続ける上で必要となる新たな知識や考え方、変化する社会への対応など、様々な力を要求されることは間違いありません。これらの力を、短期間の講習で済ますのではなく、今回のような検定試験を受け、その資格を得ることで認定することがひとつの条件となる可能性があります。公的な機関が実施する確かな検定試験などに合格することで、先生の資質を高め、教育全体の質の向上を図ることが今後の流れとなってくることは、間違いないと考えられます。

二つ目の理由は、遅々として進まない「教育の情報化」の推進です。本来なら、学校教員のすべてが「教育の情報化」に取り組まなければならないはずですが、現状は大きく異なっています。また、コンピュータやネットワークを活用することだけが「情報化」と勘違いされていることも少なくありません。情報化を適切にしかも確実に進めるために、正しい知識や技能を持ち、分かりやすく仲間を導くことのできるリーダが必要です。

これまでは、ITCE(教育情報化コーディネータ)が中心となって教育の情報化を推進してきましたが、その具体化を学校現場で推し進める役目のリーダの欠如が問題となっていました。その役目を担うのが、「教育情報化リーダ」だと考えられます。

今後は、校務の情報化をはじめ、職員室や学校全体の情報化、教育委員会、地域との連携などで情報化の推進がますます要求されることは間違いありません。全教職員が意識を高める上でも重要な役割となってきます。

三つ目はICTを活用した「分かりやすい授業」の確立です。これまでも繰り返し言われてきましたが、全ての先生には浸透せず、一部の先生だけの実践で終わっています。ICTの有効性は、さまざまな研究や統計資料で明らかになっていますが、その事実はあまり流布されず、研修も十分ではありません。

校内で効果的な活用を理解し、教員が互いに理解し伝え合うことで全体的な活用が促進されます。そのような中心的な役割を果たす存在として活躍が期待されるのが「教育情報化リーダ」です。学習場面での正しい使い方や、教材の選択方法、さらには教材化の手法などを身につけ、校内の教員に適切に指導できることも必要です。

この他にも、これからの学校での取り組みが重要となってくる「情報モラル」や、問題が広がらないうちに対応が必要となる「ネットワークポリシー」の確立など、社会の情報化に追いつかなければならない問題が山積し始めています。

これらの問題を確実に解決できる能力を持った「リーダ」が必要であることは間違いありません。ひとつの学校に一人ではなく、複数人存在することで、互いに補完しあいながら「情報化」が推進できるようになることを願っています。

(2006年6月掲載)

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