ICT活用教育のヒント

「教育の情報化とIT活用教育」コラム 原克彦

IT新改革戦略と教育

1月19日に「IT新改革戦略」が発表されました。「いつでも、どこでも、誰でもITの恩恵を実感できる社会の実現」をスローガンに、ユビキダスネットワーク社会の実現に向けた取り組みに一層の拍車がかかる様相となっていきました。その中で今回は教育の情報化に関する次のような目標が明確に示されました。

  1. 教員一人に一台のコンピュータ及びネットワーク環境の整備並びにIT基盤のサポート体制の整備などを通じ、学校のIT化を行う。
  2. 教員のIT指導力の評価等により教員のIT活用能力を向上させる。
  3. 自ら学ぶ意欲に応えるような、ITを活用した学習機会を提供する。
  4. 教科指導におけるITの活用、小学校における情報モラル教育等を通じ、児童生徒の情報モラルを含む情報活用能力を向上させる。

教育の情報化に欠かせない「教員1人1台のコンピュータ」がやっと実現しそうな雰囲気になってきました。早急に取り組む必要があると言われ続 けてきた項目です。他の3項目については、これまでの取り組み内容と大差はなく、より充実させるための具体的な方略案が示されています。特徴的なのは、小中高校に情報システム担当外部専門家(学校CIO=Chief Information Officer:情報統括責任者)の設置を推進し、2008年までに各学校でIT環境整備計画を作成するという項目です。

これまで進められてきた、教育の情報化のさまざまな施策に対して教育委員会や学校現場も努力を重ねてきました。しかし、その効果はあまり現れず、地域によっては導入されたコンピュータをはじめとする機器やネットワーク、教育用ソフトウェアがほとんど利用されず、費用対効果を疑問視するケースも出てきています。小中高校への学校CIOの設置が、教育の情報化や情報教育の推進に積極的に取り組むきっかけとなり、現状を打破する原動力となることを大いに期待します。学校外の知識や知恵、改革精神を学校へ吹き込むことで、新しい学校教育が芽生えるかもしれません。

さらに、今回のIT新改革戦略では、評価指標も明確に示されており、学校における学校CIO及びIT環境整備計画の有無を調査報告することが義務付けられる可能性もあります。このことで、この制度が正しく運用されているか互いに知らしめ、恒常的に相互評価を行うきっかけになればと思います。

今回、これだけ具体的な内容が発表された背景には、遅々として進まない学校教育のIT化へのテコ入れの意味合いが大変強く感じられます。たまっている課題を迅速に解決し、一歩も二歩も前に進めることが必要な時期にきていることは確かです。

IT新改革戦略
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/060119gaiyou.pdf

(2006年1月掲載)

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