ICT活用教育のヒント

「教育の情報化とIT活用教育」コラム 原克彦

再考、情報モラル教育2

「情報モラル」に関する教育を学校で取り組むようになったのは、ここ数年のことで、まだ十分に普及していないのが現状です。したがって、その取り組み内容には標準的なカリキュラムがあるわけではなく、それぞれの地域や学校が独自に考えた内容で指導を進めているようです。私の参加する研究グループでは、これまでに行われてきた情報モラル指導の内容を集め、それらを分析し、どこの学校でも取り組むことのできる内容の検討を進めています。ワークショップなどの活動をとおして、情報モラルに関するさまざまな事例を洗い出し、それぞれの目標や指導内容などを整理し、その中で出てきた意見や内容をまとめ、素案づくりを行い、再度ワークショップで検討しながら内容を検討してきました。

これらの作業をとおして、現時点で情報モラルを次の3領域に区分することができました。

  • 自分自身に関すること
  • 他者との関わりに関すること
  • 社会との関わりに関すること

この3つの項目は、現行の小学校学習指導要領「道徳」の4つの領域の中の3領域の内容に極めて似ていることが分かってきました。その3領域とは次のとおりです。

  • 主として自分自身に関すること
  • 主として他の人とのかかわりに関すること
  • 主として集団や社会とのかかわりに関すること

これらの道徳的な指導を適切に進めることが、情報モラルの育成の成否を握っているのではないかという考え方に立ち、発達段階に応じ、しかも情報関連メディアに強く依存しない指導内容や、日々の学習の中に埋め込んだモラル指導の内容についての研究を進めています。

一方、これまでのワークショップをはじめ、教育現場で見聞した範囲で、次のような声をよく聞きます。

  • 教育で「情報モラル」を身につけても社会で守られていない現状がある
  • 「情報モラル」が軽んじられている日本の情報社会の現状で、教育でどこまで行えばよいのか
  • 企業が危険を認識しながら製品や仕組みの普及を先行させていないか

などです。社会全体で情報モラル教育に取り組む場合、このようなことは他の道徳的な場面でも見られます。そのための法整備も必要なのかもしれません。社会の中で守るべき約束事について必要な情報モラル指導の要素は何か、発達段階に応じてどこまで指導すればよいかなどについても再度検討を進めていかなければならないと考えています。

(2005年12月掲載)

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